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仕込み  作者: 真鍋
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 久し振りにしっかり眠り気持ちよく目覚めた、携帯を見ると7時前、隣を見ると先生は既に目覚められて何処かに行かれているよう私は布団から出るのが惜しまれ顔まで布団へ潜り込むと二度寝を決め込もうと目を瞑った、するとガチャっとドアノブが回る音がすると入り口の襖がスーっと音を立て開いた、布団から顔だけ出すと浴衣姿の先生であった私は慌てて布団から飛び出すとおはようございますと挨拶をした。


「清井君、朝風呂を頂いてくるといい私は今行ってきたよ」


 先生はタオルで額を拭いながらそう言われたが私は謝辞してすぐ出発の準備をしますと布団を片付けた、すると先生は慌てなくて良いからお風呂を頂いておいでと再度仰るので私は申し訳ない感じで(はだ)けた浴衣を直すと大浴場へ向かった、先生は急ぎ出立したい筈である本当に申し訳ないとは思ったが湯船に浸かると全てが吹き飛んでしまったまったく愚かな弟子であった、言い過ぎた愚かな付き人である。


 部屋へ戻ると私は驚いた、布衣に袈裟を羽織り私の帰りを待たれているだろうと思っていたが先生は浴衣姿のまま広縁で新聞を読まれていたのだ、先生は私に気付くと言われた。


「どうだい、極楽だったろ、まぁ行った事はないけどね」


 と笑われた、私は何と返せば良いか分からず苦笑いを浮かべ急ぎ用意致しますと言うと先生は新聞を閉じ私を指差すと含み笑顔で『何か忘れてやしないかい』と言われた、私はハッとした、しかしハッとしただけで何も思い出せない昨日ココに着いてからの記憶の断片を掻き集める、しかしやはり何も出てこない、すると先生は思案にふけ困り果てている私に言われた。


「基本的欲求だよ、まさかそれも忘れたって言うのかい」


 ようやく気付くもやはり苦笑いしかでないでいると先生は座卓の上にあるルームキーを掴むと手招きし共に部屋を出て食堂へ向かった、食堂へ近付くとあの旅館の食堂独特の匂いが漂い一気に食欲に火がついた、しかしこの匂いの元は本当に何であろうホテルの食堂では匂わない実家の食堂など言うまでもない、旅館の食堂特有の匂いだった意外と芳香剤で販売すれば売れそうな気もするが元が分からなければ製造しようもないのであるが、結局私はお櫃をおかわりすると言う暴挙に出て今、後悔の真っ只中にいた。

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