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仕込み  作者: 真鍋
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 全く脈絡のない言葉に驚いたが先生はお茶を啜ると静かに語ってくれた。


 先生が高野山を出て4年程経った頃、都内の方で怪異が起こると噂になっている河原があり先生は向かわれたそうであった、水辺とは比較的怪異が起こりやすいと言うそこが境界にあたるからだ、単純に陸地と川との境界を意味するだけではない常世と現世の境界、そして水辺ではその境界が曖昧になる時が多々ある、まるで川が氾濫し陸地を飲み込む様に、川が干上がり陸地が迫り出す様に、互いに干渉し合い境界が曖昧になる。


 水辺と言えば最も有名な怪異は“河童”であろうか、しかしあれは時代背景が作り出した言わば被害者という事らしい、人里離れた山中の水辺を生息域とする極々人間に近しい生物の群れ、水辺で独自の進化を重ねてきた猿である、泳ぎが得意であり体毛も陸上の猿とは違っていたのであろう山中に分け入った人がそれを見掛け物珍しさに里へ降りてくると人々に語ってみせる面白おかしく、この時点でレッドデータブックのる個体数であったとすれば遭遇は滅多にない今と違って写真などない曖昧な記憶、それが伝言ゲームで脚色される人間の都合で、ここにその肉は等と風評が出回れば、それは絶滅もしくは生息域を移さざる得ないこれが高野山1200年の歴史に記された真実、頭の皿は水草が偶々頭に乗っていたのであろう皿の淵の造形を見れば明らかであろう。


 さて先生がその河原に赴かれると早速水辺を調査された河原に沿って上流へ登り下流へ下る、時刻が黄昏時へ近づいた時その川に掛かる橋の下で兆しを感じられた、流水が橋脚で裂かれる音、橋下を抜ける風の音、土手を覆う草の揺れる音、それに混じり咽び泣く様な声が微かに聞こえた、先生は所轄の警察署へ向かい事件事故両面で聞き込みをした、橋上の道路では事故が5年で18件、これは結果かもしれないが特に原因に繋がる事件等は見つからなかった続いて先生は地域の図書館へ行き地域史に目を通すとそれは見つかった。


 明治初期、戊辰戦争は西から東へ戦線が拡がりこの地域にもそれは及んだ、戦場にこそならなかったが地域の者は江戸の外れという事もあり幕府支持、徳川様の為何か出来ないかと思案し考えついたのが新政府に恭順の態度を示し新政府軍を招き入れるともてなし毒殺しようと、無論素人考えすぐに軍の士官に露呈すると関係者、無関係者構わず撫で斬り、逃げ仰た者たちは命からがらあの場所から船で下流へ逃げる算段であったが捕縛、女子供関係なく斬首の上骸は燃やされた、なんとも戦争とは言え凄惨な事件が起こっていたのだ。


 多分であるが寝ているところを起こされ眠い目を擦りながら親に連れて来れれた河原、子供は未だ自分の置かれた状況を把握できずひとり今でも親を探して彷徨っているのであろうとの先生の見立であった、先生は橋上より広域に場を清め橋下に降りると子供と語らった、そしてその時起こった事に先生は恐怖で動けなくなった。

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