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Episode5:血液のような槍によるストレスについて

第5話です。


 私が善さんと楽しいショッピングモールデートをしている中、それは突然起こりました。

「キャーーーー!?」

 突然数人の悲鳴が聞こえたかと思うと、エスカレーター付近からこちらへ人が走ってきます。


「……なんだ?」

 善さんはぼそっと呟くと、さりげなく私の方へ寄りました。

 なおこの数秒後、「善さんが私の方へ寄ってきて可愛い」と思っていた自分を殴りたくなります。

「?…………………!?」

 ぼーっと、何も判断できていなかった私は、実は気付いたときには命の終わりが身に迫っていたのです。


「……危ない」

 さりげなく私の前に出た善さんは、私の方へ一直線に向かってきた()()()を私の心臓から僅か20cmほどの距離で掴んでいたのです。


「大丈夫?(めい)

「あ………あはい」

「よく分からないけど、この場所にいたら多分危ない。逃げよう」

「あ」

 善さんは私の体を掴むと、私を自らの体の中に隠すようにして抱え、そのまま走りました。そしてあっという間に逆側の出入り口までやってきたのです。

 そういえば、の話にはなるのですが、あとで客観的に考えれば私はこの時お姫様抱っこのようなことをされていたようです。しかしこの時の私はそれに気づく余裕はありませんでした。悔しい。


「……何があったんだ」


 既に善さんと私はショッピングモールを離れていました。

 中で何かあったことは明白ですし、確かにその場にとどまり続けるのは良くないでしょう。咄嗟にここまで冷静に判断できる善さんは流石としか言いようがありません。


 ……あ、そういえば。

 先ほど善さんが掴んでくれたあの赤い槍。あれは一体……。

 この国、いや、この世界にあのような奇妙なものが存在しているのでしょうか?


「あの、箱庭さん、あの赤い槍は、何なのでしょうか」

 

 あの槍のようなものは、私の記憶の中には存在しません。

 血液のような赤い尖った物体は、長さ30cmほどでそれほど大きくはありませんが、形状は槍と言っても良いものでしょう。


 私はこれでも『地神(ちしん)』であり、このあたりの土地を管理する者だったはずなのですが、あんな槍のことは全く知りませんでした。

 善さんに聞いても困るだけかもしれませんが、どこか不安を覚えて、口に出してしまいたくなったのです。


「……え?何?」


 ただ、善さんは何のことか分からない様子でした。


「あ、あの……先ほど私に刺さりそうになっていたのを、箱庭さんが掴んで止めて下さったじゃないですか。あれです」

「……ああ、あれか」


 箱庭さんは、胸ポケットから何かをつまみ出しました。


「一応折れたやつを持ってたんだけどね。何かあったら知り合いの警察に渡そうと思って」

「………え」

「?どうしたの」

「それ……で、間違い無いですか?」

「そうだね」


 箱庭さんが取り出したそれは、ただの黒い尖った棒。

 確かに鋭利で、飛んできたら刺さることは間違いありません。しかし、私があの時見たものとは全く違うものでした。


「………」


 私は、何か嫌な予感がしました。

 それは私が長い年月を地神として過ごしてきたからこそ感じた『違和感』から生まれたものなのかもしれません。




***




『速報です。K市のショッピングセンター⚪︎⚪︎の2階にて、死傷者多数。警察はテロとして捜査を進めていますが、未だ犯人の特定には至っておらず──』


 心が弱っているときには、直接関係のない事も、自分のことのように感じられることがある。

お読みいただきありがとうございます


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