119.調査報告書
【タイトル】調査報告書
【作者】波木 銅
【掲載サイト】赫本
【URL】https://www.aka-hon.jp/episode-03/
最後に試験問題があって、考察を促すタイプのホラー小説、第3段。企業の不祥事に関する調査報告書の体裁を取った、モキュメンタリーな面も大きい。
この作品群、全て"呪い"の存在を軸に展開されているように思える。呪いのかけ方も、結果も全て異なるけれど、呪っているのだけは共通している。
全部読めばきっと、見えてくるものがあるのだろう。
ずっと、モキュメンタリーホラーが流行ってるなあ。ホラーのジャンル全部それってわけじゃないけれど、どんどん増えてきてる。
モキュメンタリーが全部ホラーなわけじゃないけれど。先日、日テレで放送していた「この番組は番宣番組です」は面白かった。ホラーじゃないモキュメンタリー。作中で流されるフッテージは全部本物という、日テレのコンテンツ力を見せつける構成。テレビの現状と未来に対する自虐的な内容。そして、ぶっ飛んだオチ。モキュメンタリーって、こうやって終わらせていいんだなあって感心できる作品で、すごかった。みんなも見るといいよ。
話を本作に戻そう。ホラーのラストを、試験問題で終わらせるのは良い考えだと思う。ただただ文章を読むより、問題文に使われるであろう記述が時々でてくるのを見れば、より深く読もうと思える。問題文の選択肢から、考察を促させることも出来る。よくできていた。
今作では、VRゲームを介した呪いについて扱っている。
ゲームの映像も一部見ることができて、屋内の被災の状況で、なかなか緊迫感ある映像が見られて良かった。呪いによって起こった出来事は最初の方にまとめられていて、なかなかの大惨事になっている。淡々とした語り口で、怖いってわけじゃないが、凄まじさは感じる。
作中では、これ以上の被害が出るわけじゃない。だから、読んでいて他人事感は覚えてしまう。でも、読んでいくとちゃんと怖さが出てくるから、うまい。
何が怖いか。この呪いがこれからどうなるかを、考察させることだ。
呪いによって被害が出た。ゲームをしなければ、それで終わり、ではないらしいとか、呪いをかけたのは誰なのか、情報の表面上を見て判断できる人物だけではないとか。そういう考察を強制的にやらせてくる。それにより、物語の中身を深く考えさせて、自分ごとにさせる。そういう構図が、面白い。
作中で出てるのが、呪いの全部ではない。じゃあなんなのか。最初の方に示されたリアルな映像が、あとから怖くなっていく。こういう仕掛けは、うまいなと思う。ネットという媒体でこそ生きる作品だ。




