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「小説家になろう」以外掲載の作品の評論集  作者: そら・そらら


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107/119

107.稲荷狐となまくら侍 -明治あやかし捕物帖-

【タイトル】稲荷狐となまくら侍 -明治あやかし捕物帖-


【作者】山口 実徳


【掲載サイト】カクヨム


【URL】https://kakuyomu.jp/works/16816700429108467966

忍者戦隊カクレンジャーという特撮ヒーロー番組をご存知だろうか。

今から30年前に放送された戦隊ヒーローもので、今見ると若干の古さも感じさせながら、高い独自性のある面白い作品だ。


戦国時代に封印された妖怪が現代に蘇って、カクレンジャーが戦うという内容だ。

注目すべきは、敵である妖怪たちのデザイン。科学文明の時代と作中で呼ばれていた現代に合わせた、ポップなデザインの妖怪が登場する。

いわゆる和風とは雰囲気が違った姿は、忍者というモチーフを用いながらもカジュアルな雰囲気も出している、まさに「ポップな忍者」の戦隊を彩るのに一役かっている。


あくまで聞いた話だから事実かは確証がないが、時代が変わって人が和装から洋服に着替えたのならば、妖怪も時代に合わせた装いになるもの、という考えもあったらしい。



この作品を読んでいる間、ふとカクレンジャーのことを思い出したから、こんな話をした。


読んだ。Xのフォロワーが書いてる小説。気になったから読んでみた。完結済で、手が出しやすいしね。


稲荷狐の少年と、元侍の男が、手を取り合ってあやかし達を封じていくとういう話。短めの話がテンポ良く出される、連作短編といった感じの構成で、様々なあやかしのエピソードが語られる。


舞台となっているのは明治9年。文明開化真っ只中の横浜だ。まさに時代の切り替わり。古き世のあやかし達が現代文明に出会う時代の物語。

あやかしが存在できる闇はガス灯に照らされて狭まり、人々の注目は来る科学時代に向いている。あやかしの時代は終わりつつある。そんな悲哀を感じさせる話でもある。


主人公側も、それぞれ時代に取り残された者たちだ。だから、あやかしの存在に同情的でもある。あやかしたちも、全員が悪いやつというわけじゃない。コミカルなやりとりも多く、話が話が暗くなりすぎないのも面白い。

キャラクターも良い。稲荷狐の少年は、少年でありながらヒロインでもあるという特殊な立ち位置。神様だから出来ることで、その可愛さを見せつけてくれる。


作中であやかしは、それぞれ新しい文化に出会う。それに戸惑ったり、惹かれたり。けれど決して、居場所を追われるだけじゃない。


そこがいい。文明開化で人が洋装を纏うようになったならば、あやかしだって変わるのだと思う。時代の変わり目に、ただ追いやられるだけじゃない。


だからもし、彼らが現代に蘇ったのならば、現代らしい装いになって、現代文明を楽しむんじゃないかなって思う。ポップなあやかしになったりして。そんな想像が出来るのが、なんか楽しい作品だった。

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