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第56話 益公図書館の資料が少なすぎる

第一巻は、残りあと一話です。

その後は第二巻を公開しますので、どうぞ楽しみにしていてください。


目の前の光で、私は目を覚ました。

いつの間にか、居間で寝ていたらしい。


丸い球になった長松が、紫の光を明滅させていた。


私はそっと身を起こして座る。

時報魔法では、もう夜の十二時だった。


「こんな遅くに、長松。

子守歌でも聞きたいの?」


私は球体を見つめた。

すると光が、また数回またたいた。


私は寝る前の予定を、

もう一度頭の中で整理する。


朝になったら、一般図書館と、公会図書館へ行く。


酒場の多いあの通りは騒がしい。

でも、珍しい情報は集まりやすい。


夜は図書館が閉まる。

そのあとは、上級冒険者が集まる、

酒場を何軒か回ろう。


公会図書館に行った時は、窓口で依頼も出しておく。


匿名で、公会の依頼掲示板に、

夢魅族の情報を募るつもりだ。


やることを整理し終えて、

私は球体を抱えて部屋へ戻った。


長松をベッドの端に、

そっと寝かせる。


そして私は、静かに歌を口ずさんだ。


球体の紫の光が弱くなっていく。

それを見ながら、私もまた、ゆっくり眠りに落ちた。


次に目を開けた時には、

もう朝の七時だった。


長松の球体は、

私の隣で少しまぶしい光を放っていた。


「長松、お留守番しててね。

回復したら、また標本店に行けるよ。

この数日は、先に休もうね」


私は前に長松へ贈った誕生日プレゼントを、

球体のそばに置いた。


火蜥の頭蓋骨だ。

標本店の店長いわく、幸運を呼ぶらしい。


だから長松は、

それをとても気に入っていた。


私は、

さっき浮かんだ考えに思わず笑ってしまう。




もしかして私も、一個ほしいかもしれない。





球体が光るのを見ながら、

私は部屋に、もう一度気配を隠す法陣を張った。


長松に別れを告げて、

私は早足で図書館へ向かった。


案の定、

話は私の想像ほど順調には進まなかった。


私はもう二十冊目の本を読んでいる。


それでも、

夢魅族の特性がまるで分からない。


一冊前の本には、

夢魅族は無機物でできていると書かれていた。


でも今、手に持っている本では。

著名な植物学者が二十年かけて、

証拠と伝承を集めた末に。


夢魅族は晴来菇が見せる幻覚だと結論していた。


晴来菇が胞子をまき散らすかららしい……。


私はその場で、

ぴたりと動きを止めた。


そして目を閉じる。

目の前は、ただの闇だった。

「玉秀、老子から見て、

顔色が悪いぞ。

何かあったのか?」


その声を聞いて、

私はすぐに目を開けた。


どうやらまた、

二柱の男神がいる空間に来たらしい。


私はかなり驚いた。

いつも私を迎えるヘフィスがいない。

その代わり、

プリーモスが小部屋にいた。


プリーモスはいつも通り、

かなりラフな格好だった。


六尺褌だけを身につけ、ソファに深くもたれている。


その隣には、肌の黒い男が一人、

ソファに寝転がっていた。


その男はのんびりクッキーを食べていて、

それから顔を上げた。


プリーモスと同じ茶色の目が、

きらきらと私を見てくる。


若い顔立ちは整っていて、

かなりの美形だ。


下半身に、

薄い布しか巻いていないと気づかなければ。


ヘフィスみたいに、

上品で澄んだ空気までまとっている。


「そいつは老子の実の兄弟だ。

自慰と開放の神、カイオスだ!」


「鳥人族って、

服を着ない習慣はなかったよね?」


正直、もしあるなら、

私はしばらく、住みに行っていたと思う。


いや、今はもっと大事なことを

考えないと。


「違うぞ。

そいつは夢魅族との混血だ。

老子とは母親が違う。」


「君が玉秀だね?

会えて嬉しいよ。


プリーモスが、

ここに入る時は戦闘服を着ろって言うから、

僕はこの格好で来たんだ。


その反応……。

ん?

僕、勘違いした?」


カイオスだは、

気だるそうに手を振ると、

またソファに寝転がった。


私は衝撃を受けて、彼を見てから、

プリーモスを見る。


私は二柱の男神には、

こういう格好でいてほしい。


でも、さすがに他の客まで 同じ格好にしろとは

思っていない。


「玉秀が不機嫌になると、

お前が面倒なんだぞ!」


プリーモスは カイオスだを見て、

呆れた声を出した。


その顔はまるで、

私が普段から 彼をいじめているみたいだ。


「私はそんな人じゃない!」


私は深呼吸した。

落ち着かないと。


え?

今、何か 大事な言葉が聞こえた。


「カイオスだ、

君は夢魅族なの?」


「そうだよ!」


「じゃあ、夢魅族の生態について聞いてもいい?」


私は一気に気持ちが上がった。

これが分かれば、長松を助けられるかもしれない。


カイオスだは 上半身を起こして、

私を見た。


「いいよ。君は兄さんの神の代行者だし、

君を助ければ、兄さんの助けにもなる!」


「玉秀!

俺の兄弟に、

変なことを聞くなよ!」


私はまず、何歳で成人するのかを知りたかった。


もしかしたら五十年で、

一人前になるのかもしれない。


それが普通の価値観だって、あり得る。


「違うよ。新しい夢魅族って、

生まれてから どれくらいで成人するの?

それと、性別はないの?」


「なるほど!

夢魅族に、自分の血を引く子を 産ませたいなら簡単だよ。

安定した魔力を ずっと与えればいい。

相手が望むなら、

生まれてどれくらいかは関係なく、

君の子を産めるよ!」


待って。

話が飛びすぎてる。

私が聞きたいのは、そういうことじゃない。


「私は、相手に子どもを産んでほしいわけじゃないの.......。」


「なるほど。

君の言葉の意味を、僕は取り違えてたんだね。

でも、君は産めないよ!

もし相手が難しいなら、僕が代わりに産める。

神は信徒に奉仕しないとね。

君たち、もう 魔力を混ぜたの?」


カイオスだは、

真剣な顔で説明を終えると、自分を指さした。


プリーモスは私を見て、

またゴミを見るような顔をした。


「私、夢魅族の友……



家族がいるの。



その子、身分を奪われて、様子もおかしくて。

私は助けたいの!」


言葉にした途端、

やっぱり胸が苦しくなった。


カイオスだは急に、

不安で重ねていた私の手を ぎゅっと握った。


「家族だったんだね!

どういうことか、詳しく聞かせてくれる?」

最後にうまく収まるのか、自分でもまだ少しどきどきしています。


物語について感想や提案があれば、ぜひコメントで教えてください。


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