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第41話 野生の蛟人族・泰勇が現れた

あの時は面倒だと思ったけど、正直言って……

相手の魔力に合わせて姿を変えられる長松は、本当に使い勝手がいい!


パーティを組んでいる時に、どうしても隊員を一時的に離したい場面があれば、

長松の変身能力で私に化けさせて誤魔化せる。


たとえば、初めて曾廣たちと洞窟でスライム系の粘液怪を除去する任務に行った時。

あの時は増廣が粘液怪に侵食されて、

危うく死にかけた。私は怖くて気が狂いそうだった!

だって死人が出たら、ギルドが緊急で人を派遣して後始末することになる。

そうなったら、私はこっそり残れなくなる。


私の経験だと、普通の法杖を回収に出せば六十陽陰幣は戻ってくる。


でも新品の法杖は四百陽陰幣以上。法杖屋の、

あのイケメンの茶髪店員にボられてるんじゃないかと疑ったくらいだ。


あの日、法杖を買った時。

彼の真面目な顔がやけに近くて、値切れなかった……!


だから私は、運に賭けて秘道で宝を見つけて、損失を何とか埋めるしかなかった。


隊長の曾廣は助かったものの、正気じゃなくなっていて、まともに立つこともできなかった。

任務完了を確認したあと、私たちは急いでギルドへ戻って報告することにした。


私は長松に私の姿へ化けさせ、隊員と一緒に帰らせた。


そして私は自分に隠密魔法をかけ、風の精霊で音を拾いながら、

隊員たちが十分に離れたのを確認する。

それから少し時間をかけて、隠された秘道へと潜り込み、

探索を続行した。ついでに、宝も根こそぎ回収するために。


でも、その洞窟の秘道は本当に何の特色もなかった。

足早に奥まで辿り着いた時、そこはまるで食料倉庫みたいな環境だった!

床にはドライフルーツを保管する箱がそこら中に転がっていて、

机の上には雑穀袋や、布袋に入った飲み水が散らばっている。

唯一、端に置かれた香辛料の調味罐だけが少し特殊で、

味付けの用途のほかに、特殊状態を解除する追加効果まで付いていた。


「粘液怪って、こういう植物性の食品は消化できないから……『ゴミ捨て場』扱い?

はぁ、がっかり。宝石とか薬草とか、そういうのはないの?」


私は漁りながらも周囲に気を配った。

この辺りの商会が運んでいた荷物も、どうやらこういう生活物資ばかりらしい。


そして荷車が魔獣に襲われると、ここへ引きずり込まれる……ってことか。

もう何のサプライズもない。そう思った。


その時、左手に「特殊な術式で封じられた木桶」があるのに気づいた。


……もしかして、チャンス?


やっぱり法杖が「穢れ」を吸ったら、運まで悪くなるんだ。

もし今の私が、当時の私の隣に立ってたら、

隊長の体内に刺さっていたことのある、あのボロい法杖をへし折って、


木桶を開けるのを止めてたと思う。

私は素早く反転術を発動した。


鵝黄色の法陣が木桶の周囲をすり抜け、覆いのようにぐるりと包み込む。

木桶は金色の光を放った。


まるで「良いものがあるよ」と予告して、私を待っているみたいに。

しかし、開けた瞬間。

赤い粘っこい液体がどろりと流れ出して、私は驚いてその場で尻もちをついた。


倒れた木桶の中から、人型の輪郭をした何かが、

ぼやけたままゆっくり滑り出てくる。


赤い泥みたいな粘液の中には、灰色の鱗が少し混じっていて。

その光景を見た瞬間、魂が抜けかけた!


慌てた私は、隣の別の木桶にぶつかって倒してしまい、

上に残っていた封印の痕跡をうっかり擦り落としてしまった。

悲鳴が口から飛び出るより先に、その木桶から宝石のような青い長髪の中年男が転がり出てきた!


男はそのまま床に倒れ込み、灰黒色の鱗に覆われた痩せこけた体。


……見たところ、蛟人族だった。


「ま……まだ生きてるの?」


私は恐怖をこらえながら、法杖でそっと突いてみた。

干からびた胸が、かすかに上下している。呼吸してる……。


試しに回復術を使うと、白い法陣が花火みたいに散って、目の前で消えた。

どうしようもなくなった、その時。中年男が急に咳き込んだ。


「泰壽正?ソラース?本個体を連れ出してくれたのか? え?お前……?」


くぼんだ黒いクマと、骨ばった頬。

ホラー映画みたいに、ゆっくり私のほうへ顔を向けて、しゃがれ声でつぶやく。


ぎこちない動きで体を起こし、私に向かって這ってくる。まるで蘇ったゾンビだ。


私は反射的に、手にした法杖で彼の右側の顎を下から上へ、正確に叩き上げた。


「ぁう……。」


赤ん坊みたいな声で情けない悲鳴を上げて、どさっと床に伏せる。


「……生きてる、っぽい。」


私はその場で固まり、頭の中に仮説が洪水みたいに溢れた。


どうする?ここに置いたら、私の能力が漏れる?

口封じするなら、死体はどう処理する?


……いや、違う!違う!

この人、全然脅威がないし、さっき這ってきた時も、

顔は老けてるのに輪郭はちょっと整ってた。助けるべきだ。


私はまず現場を片付けた。

風の精霊に頼んで、使えそうな物資を収納棚に巻き込ませる。


それから虎寶を呼び、目の前の気絶した中年男を木桶に詰め戻して、

とりあえず連れ帰って落ち着かせることにした。


これが、私と泰勇の出会いの話。

あの日の慌ただしい決断が、まさか未来で「奇妙な同居人」を一人増やすなんて!


その記憶を思い出して頭が痛くなっていると、

長松はソファで眠っていて、泰勇は窓の外を見つめながら、

何かを思い出したみたいに立ち上がった。

玉秀の身近な愉快な仲間たちとの出会いは、これで全部紹介し終わりました。

そういえば、あの封印は古龍が張ったもののはず。

……でも、

なんであんなに雑なんだろう?ちょっと擦っただけで解けるって。

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