第14話 『壁の偽ヒーロー』②
集中講義つらい……
指名依頼、この1週間の間にブラベさんが教えてくれた。
冒険者の所属している事務所、または拠点としている協会を経由して冒険者個人を指名して依頼をする制度だ。
【事務所】個人事業のギルドみたいな物、協会を通した依頼の場合手数料を取られるが事務所の場合自分で処理するため手数料などが無いし、値段もこっちで決めれる。ただ協会直属か協会協力事務所じゃないと有名でもない限り中々仕事は来ない。
「ですがブラベさん、『壁の偽ヒーロー』は[種4級]案件ですよ?俺まだ種1なんで受けられないんですが……」
「僕も最初は断ったんだけどね、依頼主は「そんなもん階級を無理やりあげたらいいだろう!!」て言って取り下げないの一点張り、それに依頼主は中巣でそこそこ地位が高いの人だから立場上断れなくて……」
このイドロニス王国ではその人の地位がかなり重視される。それが巣をまたいでいるのなら尚更だ。
今回は商業街の財務課と治安維持課の役員、商業街運営の要みたいな人なので地位はかなり高い。
多分ブラベさんも地位を盾にして脅されて渋々了承するしかなかったのだろう。予想だが協会の何かを人質にされてるだろうし。
「それで依頼を引き受けたと…」
「いや正確には受け入れてないよ、受けるかどうかは冒険者の選択になってるから。ただ受けなかった後が恐ろしいけど……」
「そんなの受けるしかないじゃないですか……ちなみにですが何を人質にされたんですか?」
「この協会の冒険者と職員、僕の下巣での身分証、それと僕の家族の地位……」
「oh……」
かなりえげつない量の人質を取られてる……それにブラベさんは家族をめちゃくちゃ大事にする人だ、そんな家族が危険に晒されたのなら首を横に振れなかっただろう。
机の上に置かれた依頼書を見る。たしかに俺宛……!?報酬金8万爪!?ふぅ…まて落ち着けまず確認しなきゃいけないことがある。
「でも俺の階級はどうするんです?このまま受けると協会の評判も俺の評判も落ちるだけですけど」
「それなら問題ないよ、土下座して返答は2週間後にしてもらったからそれまでの間に階級をあげればいい。」
「簡単に言いますけどこの1週間で俺が受けれた依頼3つですよ?2週間で階級をあげれるほど依頼をこなせるとは思いませんが」
2週間で階級上昇は現実的に無理だ。一応階級の高い3級を受ければあげやすいけど種3級依頼は1番争奪戦が酷い、新参者の俺が取れるとは思えない。
「アウルくん、申し訳ないけどこれから2週間、協会側で確保した依頼を受け続けてもらうよ…2週間階級をあげるため地獄のようなスケジュールになるから覚悟してね……」
「はい……」
そしてここから2週間、本当に地獄のようなスケジュールをこなす事となった。
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1日目午前2時30分ごろ
「ウォォォォ!!」
俺は外巣にある森で朝にのみ花を咲かし、その花が薬になる薬草の収穫。それを筋トレ器具の耐久テストの依頼を含め、全身筋トレ器具まみれでこなしていた。
午前5時ごろ
「ウォォォォォォ!!」
協会周辺から下巣検問付近までの3200世帯への新聞配達、筋トレ器具ありでやっていた。
午前7時30分ごろ
「ウォォォォォォォォ!!」
農作物加工場での炊き出しの依頼、もちろん筋トレ器具ありである。
午前9時ごろ
「ウォォォォォォォォォォォ!!」「最近のサモンスターはすごいねぇ」「サモンスターじゃ無いです!!」
農作物の収穫、分別の依頼、サモンスターに間違われながら筋トレ器具をつけてである。
午前11時ごろ
「ウォォォォォォォォォォォォ!!」「おい!このチキンライス髪が入ってるぞ!!」「作ったの俺!!俺に髪は無ぇ!!」
加工場の昼炊き出し、筋トレ器具もありである。
こんな風に依頼をこなして行った。
途中何のためにこんな激務をしているのか、なぜ睡眠時間を3時間にしてまで働いてるのか分からなくなっていたが何とか耐えきり、期限日の2日前に種2級に昇格することができた。
「ツギノイライハドコデスカ?タダチニムカイマス」
「大丈夫だよアウルくん。期限日前に2級に到達、依頼でも手を抜いたりしなかったからかアウルくんの評判は一気に登ったよ!」
「ソウデスカ、ソレデツギノイライハ?」
「……アウルくん、しばらく休もうか。」
その後モカちゃんと遊んたり依頼のお陰で溜まったお金から外食したりしてしっかり休んだ。
今回のデスマーチで精神疲労抵抗Ⅰの能力を得たのはまた別のお話。
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次の日
「昨日はお騒がせいたしました…」
「いいよ、元と言えば僕が断れなかったのが原因だし……まぁでもこれで役者も揃ったよ。」
「役者も揃った?どういう事です?」
「実はアウルくんが依頼デスマーチしてる間に同じ依頼主からもう1人指名が入ってね。待たせてごめんね、入っていいよ。」
ブラベさんがそう言うと扉が開き、中から見たことの無い男が入ってきた。
「初めまして、僕の名前はオーウェン、呼び捨てでいいからね。今回君と一緒に任務を受けることになりました。よろしくね」
「こちらこそ初めまして、俺はアウル、俺も呼び捨てでいいよ。よろしくね」
少々青みがかった黒い髪、身長は俺よりちょっと低いくらい、素人がパッと見でわかるくらいに良い品であるローブと腰にある杖、手の細さから近接戦をするようには見えない。
顔は整っており、ちょっとだけ幼さを残し、それでいて爽やかさもある。あったばかりだがその目や表情からは優しさを感じ取れる。
「自己紹介したけど彼はオーウェン。君と同じ[種2級]冒険者で僕からを推したい種の1つだ。今回の依頼は2人でひとつのパーティとして換算、報酬金は2人の契約報酬金を足して2で割った物になる。」
「今回の依頼は2人を指名した物、本来なら協会の介入はしないけど今回は物が物だから協会側からも少しバックアップはするよ。」
「と言っても協会からできるのは被害者と目撃情報を渡すこと、あとコウモリの携帯眷属を渡すくらいだけどね」
「あとは契約期間と必要事項についてで……」
契約期間や契約履行時の条件など様々なことを聞いた。
簡単にまとめると『契約期間2週間』『討伐、捕縛に動くのは夜だけにしろ』『期間内に完了出来なかった場合報酬金分だけ徴収する』とのこと。
「期間2週間…まぁ俺のせいで伸ばしたんだから仕方ないけど報酬金分だけ徴収って報酬金8万爪ですよ?すっからかんどころか何も残らなくなる……」
「これは…かなり気合いを入れないと行けないみたいだね、頑張ろうねアウル」
「こればっかりはどうしようもない、一応今回は特殊な依頼って扱いにしてるから協会からも保証は出るから安心してね。……まぁ半分くらいしか出せないけど……」
新しくオーウェンが仲間になったけど依頼条件に不安しかない。
ブラベさんは保証してくれるって言ってるけど依頼主は中巣で地位の持ち主、絶対失敗しただけじゃ済まない。
俺はオーウェンを家に連れ、貰った資料からどうにか居場所を突き止める作業を始めるのだった。
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ステータス
名前:アウル ■■ ■■■
種族:ヒューマノイド
属性:水
称号:【巡る者】【第1の■】【閲覧不可】
所属:森林協会所属冒険者[種 2級]
魔法:低級
固有能力:耐性【完全防腐】
創出【素敵な糸】
能力:熱耐性IV
冷耐性Ⅲ
打撃抵抗Ⅱ
精神疲労抵抗Ⅰ
撥水Ⅰ




