罰ゲームはハードル高くて 4
それにしてもぽんてのやつ、腕だけは確かにだっただけに色々残念な奴だったな。
1日経って改めて考えると最初のイメージが悪かったのとぽんての先入観でおかしくなっただけで実はそこまでウザい事もなかったのかも知れないなんてほんの少し反省の念もありつつ今日はリリィさんの所へ行きこの件を話しとく事にした
「カイルさんが!?そ、それはなにか申し訳無い事をしました。と、所でカイルさんにこの場所を教えたりは?」
余程嫌なのだろうか
「大丈夫です、有耶無耶にしようとしたら勝手に俺達も知らないと解釈してくれたので」
「それなら良かったです。私……あの人がどうも苦手で。冒険者としてやってた時は私も自分の事に夢中で然程気にしてなかったのですが……そうだ、よろしければ今時間大丈夫ですか?多分ゼストさんは今自宅に居ると思いますので転身で行っちゃいましょうよ」
という事で転身でゼスト家の近くへ。ゼスト家は王都の城近くの一等地だった。
良い所に住んでるな〜A級で取り立てられるとこんな生活になるのか。
てかこんな良い所に住んでる人の所にいきなり訪れて大丈夫かな?
「お、リリィじゃないか、みーさんも居るな。ま、上がってくれよ」
随分な豪邸だ、てか外の庭……かなり広いな。変な区分けではなくこの敷地全部ゼストさんの家だったのか?
早速その庭で久しぶりのゼストさんとの立会いを行った。
今回は元僧侶的な立ち位置の同じパーティーメンバーで、現在はゼストさんの奥さんをやってるロザリーさんが居るという事もあり、以前よりも本気の立会となった
「くっ、以前よりもかなり強くなってる…ライオウを倒したのも頷けるな。俺も修行はしてたのだが……どうだった?」
いやぁ……………強過ぎだろ?コイツさては加減が下手くそだな!?
修行でどれほど強くなったかは分からないけどそもそも前回は斬撃とか飛ばして来なかったよね?これ修行で身につけたとかじゃないだろ?前回の時から使えたのに使わなかっただけだよな!?
なんだよ、本気で焦ったわ!幾ら回復役が居るとはいえ首が飛んだら終わりたっつーのに…前回これやられてたら多分勝てなかったというかそのままお陀仏だったわ。
でも…内心焦りまくりで怒りすら覚える俺の心情には気付いてない感じか。
まあ、なんやかんやと今回も俺が勝ったからここは変に慌ててはいけない。
勝者の、大人の余裕を見せねばだよ
「いやぁ、見違えるほど強くなりましたよ。ライオウとだって良い勝負出来るでしょうに」
「良かった!自分でも強くなったと実感はしてましたがイマイチ自信が持てなくて……でもみーさんのお陰で強くなり指南役としてもかつてない程充実した日々を過ごせてますよ」
あら随分良い笑顔、いいヤツだというのは知ってるので悪い気はしない。
それにこの人は結構な苦労人だと改めてわかった。
同じパーティーのカイルがアレで奥さんこそ結婚してる位だから気心は知れてるとは思うけどカイルと……リリィさんだからなぁ。
リリィさんとはジェノサイダーズとして共にそれなりには行動してるから分かるけど、まあぶっ飛んでますからね。
以前ゼストさんと立ち会った後に2人だけで休憩してた時、リリィさんの冒険者時代のぶっ飛びっぷりは聞いてるので、それにプラスしてカイルなんか居ようもんなら……でもそれが今ではこんな豪邸でって思うと報われて良かったと思う
「アンタがみーっていうのかい?私はロザリー、こいつの妻をやってるよ、よろしくな。それにしてもライオウを倒すわコイツも倒すわって凄いな、リリィより強いのか?」
「私でも太刀打ち出来なかったですよ」
「ほう、あのリリィにそこまで言わせるとは大したもんだ。昔のコイツはろくにパーティーメンバーとも喋らないし、何かブツブツ言ってたりするわで、たまに喋ってみたと思ったら危ない薬の話ばっかりでねぇ〜」
「みーです、よろしくお願いします」
豪快な感じの人だな、そして冒険者を引退した反動だろうか、中々なぽっちゃりさんだが……可愛いっていうのはわかる。
「やめて下さいよぉ、昔の話ですからね。今ではちゃんとこう…社会性を学んだと言いますか」
世間では伝説とまで言われる元パーティーの実情はこんな感じたった
「ロザリー、みーさんは明確な歳は知らんが俺達より歳上説が濃厚だからその辺配慮してくれよ」
そう、彼等と知り合ったのはまだヤマト村で滞在してた頃、まだこの世界に来て間もなく世間知らずだったのと彼等がそれなりに大人だったというのもあり年齢を秘密にはしているものの、クリス達相手にするような頑なさで秘密にはしてなかったのだ。
頼むから俺のパーティーメンバーには言わないで貰いたいとこだ
「そうなのかい?そりゃまた随分と変わってるねぇ」
せっかくなのでざっくりと俺の経緯を話しつつ本題に入った
「カイルさんから既に聞きましたがゼストさんの話ってのも相違無いと見て良いですかね?」
「そうだな、グラン帝国とソウセン国絡みの依頼がもしみーさんの所に舞い込んで来るような事があれば要警戒だな」
他国絡みの依頼なんてあるのか?でもせっかくの忠告なので覚えておこう。
こういう話が出来るって考えるとその情報源たるカイルへの見方も少しは変わって来る
「カイルの野郎は情報の取り方が分かってないからねぇ〜、無駄とは言わないが結局の所私の面倒見てた秘書の方がまともに情報を寄越すんだよ。
必要になる事があったらその有能な秘書と渡りつけるから遠慮なく言ってくれ。逆にライオウを討伐したパーティーと渡りをつけてくれって頼まれるかも知れないからそん時ゃよろしく頼むよ」
カイルくん……
「ところでリリィ、それにみーさんも…理由が理由なのでみーさんがしばらくジェノサイダーズとして動けないのは分かるから余裕になってからで良いのだけど」
ゼストさんからジェノサイダーズへの依頼だった訳だが、こんな感じで話が進んでたのか。
ちゃんとある程度下調べというか何かしらの根拠に基づいてたんスね。
俺達パーティーが魔王軍に狙われてるっぽいというのがあってしばらくはジェノサイダーズの動きは自粛したいという事で話は触り程度で終わった。
それから色んな話をしてたら結構な時間になってたので今日はお開きに
「今度またゆっくり食事でもしながら話そう、いつでも歓迎するよ」
ゼストさんはなんというかしっかりした大人って感じでなんか憧れるというか羨ましいと思ってしまうよ、俺には無い物だからね。
指南役とか言ってたけど沢山の人に慕われているんだろうなぁってのがなんか分かるよ。
こうしてリリィさんの転身で戻ってもう一つの本題へ
「改築祝いという事で今度家に来て下さいよ!お料理頑張ります!」
「ふふ、ではお言葉に甘えて。それにしても先日のみーさんの正装、お似合いでしたよ」
なんか照れる事を言ってきた……そうだ!
「せっかくなのでリリィさんも正装で来て下さいよ〜」
「ええ!?正装ですか!?恥ずかしいですけど……分かりました、考えておきますぅ」
「とっても、楽しみにしているみーくんだよ!!」
苦笑いしているリリィさん、すると
「あ、あの…少し相談よろしいですか?」
改まってなんだろう?ちょっと怖い
「なんですか、改まって?」
「実は……ゼストさんなのですが、ちょっと強くなり過ぎてて」
なんと!?ゼストさんは本当に修行してあそこまで強くなってたのか!?
なんていうか個性派集団過ぎるだろこの元パーティー連中
「あれって……前は加減してたとかでは無くて本当に修行であそこまで伸びてたと?」
「はい、あんな斬撃飛ばすとか訳がわからないですよ。斬撃を飛ばす的な人や魔物は居ますけどそれはどんなに武器でやってるように見せてもあくまで魔法の範疇です。でもゼストさんのは魔法ありきではありましたけど剣技寄りでした。内心ドン引きでしたよ」
このイカれた魔法戦士にドン引きされてますよ、ゼストさん
「で、でも俺の見立てでは無惨業来を持ちうるリリィさんに軍配が上がると思いますよ?」
リリィさんもといジェノサイダーズの代表技、無惨業来は目の当たりにしたらこう思うだろう、終わった…と
「アレはジェノサイダーズ限定の必殺技なので……私達のパーティーでは戦闘面において自分で言うのはアレですが私が戦闘の筆頭格だったんです。そのおかげである程度ワガママも効きましたし相応の敬意は持たれてる節はあったのですが……ゼストさんがあんなに強くなっちゃうと私のアイデンティティが」
そうなんだよ、この人面倒くさい所で凄く拘りを持っちゃってるんだよ。
しかも割りと脳筋寄りだったりするし変な所で負けず嫌いだったりもするんだよなぁ。
仲間が強くなる事自体は凄く喜んでくれるタイプなだけにタチが悪いです
「いやぁ、もう解散はしてる訳ですしそこまで気にしなくても」
「そうはいかないです!私なんて…私なんて彼等からすると薬師としての腕なんて気にしないでしょうからパーティーでは一番強いって肩書きがないと私なんてただの残念な子になっちゃうんですぅぅぅぅ」
うわぁ~……そんな事言ってる事自体が残念な子だ。
きっと冒険者時代はかなり好き勝手やっててそれが引退して年月を経て気付いちゃった的な感じなんだろうなぁ
「そ、それでしたら俺も色々修行したい時なんかに一緒に修行しますか?」
「よ、よろしいんですか?みーさんと修行すれば即強くなれる気がします」
俺は知ってる、ここで断ったりしても物凄く食い付いてきて結局折れるしかなくなるだけだという事を
「んじゃ近い内に早速、その前に改築祝いですね。良かったらついでに、たまにでもいいので皆の事も見てあげてくださいよ。俺は強いのかもしれないけどまだこの世界の新人ってだけあって教えられる程色んなことに対して詳しくないんでね」
リリィさんは快く受けてくれた




