罰ゲームはハードル高くて 5
リリィさんとあれこれした翌々日、リリィさんが改築祝いに来てくれるという事で良い食材やお酒等を用意して昼くらいから仕込みを始めつつ準備を進めた。
こういう時の料理の仕込みは楽しかったりするけどちょっと多いか?
15時に来ると言っていたので一通り仕込みを済ませ、まずはおやつパーティーから始めるのでおやつを並べよう。
メロニィに頼んで王都の美味しいおやつを買って来てもらったのだ
「お邪魔します、本日はお招き頂きありがとうございます」
な、なんと!?リリィさんの正装だ!!す、素晴らしすぎる!背中の大きく空いたドレス的な服だ。
持ち前の大きなお胸を強調する胸元、胸の大きさはせいらさんと互角だが、リリィさんは身長がせいらさんほど高くないのでより大きく見えてしまう。
これだけでもうなんか色々大満足です!
「おいみーくん」
クリスが何か呼んてる気がするが聞こえないふりしてそっぽ向いた
「そうだね、確かに普段はこじつけでキミをセクハラキャラにしちゃってた部分があるのは認めるよ。でもキミってばアレだよね?リリィさんには普通にセクハラしてる節があるよね?」
「み、みーさん?」
耳を閉じて目を瞑る事にした俺、リリィさんも困惑した顔で俺に声を掛けてくるが知らんぷり
「なんとか言ったらどうなのさ?ほら〜、素直に認めちゃいなよ〜。この男…耳から手を離さない、こうなったらこうだ」
クリスが俺の手を動かそうとするが頑張って抵抗していたら遂に禁断のくすぐりを敢行して来た、なんて奴だ
「や、やめろ〜」
こうして観念した俺は正装でって頼んだだけだという事でリリィさんの証言もありなんとかセクハラ疑惑は消えてくれた
「そう言われると恥ずかしいですぅ」
リリィさんはあくまで正装をして来ただけという気持ちだったので薄いストール的な物を羽織ってしまった。それでも良きです
そして晩御飯、果たして気に入ってくれるか
「頑張って作りましたぞ」
種類やジャンルは色々で鳥の唐揚げ、各種天ぷら、ツノザメの刺身等色々である意味一番力を注いだのが……小籠包だ。
決してプロがやる様な出来ではないが味は悪くない筈
「凄いですね、どれも美味しいです。流石ですね!今度家に作りに来て貰いたい位ですよ」
せいらさんと同じ事言い出したよ。でもこの人の料理もまた美味しいからむしろ食べさせてくれって気持ちです
「いずれは我が夫となり毎日作ってくれるようになるのですね」
こんな事言ってるが出会ったすぐよりは言う頻度は下がったのでそんな目くじら立てる程でもないか
「メロニィさんは相変わらずみーさんに求婚してるのですね」
「気を付けないとこの男はいきなり左右に振れ出すからね」
思い出させるな
「どういう事ですか?」
ここでぽんてもといカイルとの話をしたら、当人の事を知ってるのもあってかリリィさんも笑い転げていた
「そ、そんな面白い事をやってたんですね。ふふ……何となく想像出来て…ビキニパンツって……ふふふ、お腹いたいですぅ」
「ところでぽんて…じゃなくてカイルさんはリリィさんのお店を知らないようでしたが、何となく気持ちは察するのですけどやはり理由はそんな感じですか?」
「そうですね、あれは冒険者をそろそろ引退するみたいな時期に差し掛かった時の事です。
私も最初の頃と比べるとだいぶ馴染んでそれなりに仲良く喋ったりする様にもなってたと思うんですがある時、カイルさんが私に、お前の様なイカれた奴を嫁にもらおうなんて奴は現れないだろうからな、しょうがないから俺が世話してやるぜ!なんて振り返りながら言ってきたんです。
それ以来私は極力口は聞かないようにしてました」
「もうアレはぽんてで良いよね?」
「うにゅ、キュってするぽん?」
「あんなに有名で腕も立つのにそれ以外がここまで残念なのも珍しいですね」
「パーティー内での修行の一貫で立ち会う事がたまに合ったんですけど、あの人だけはくどくど言い訳ばかりしてましたね。関節技ばっか狙ってくるので一回殆どの関節を反対に曲げてあげたら立ち会いの修行はやらなくなりました」
酒が入ってるのもありかなり饒舌なリリィさん。
その後俺がバレないようにやった動きをしたりして皆でまた爆笑しつつ改築祝いは幕を閉じたのだった。
日付が既に変わっていたのでリリィさんは泊まってく事に。
リリィさんが家に泊まったという言葉だけでちょっとドキッとしちゃう
その日から数日後、俺は定期的に行ってる店の方に顔を出した
「オーナー代理、お疲れ様です!」
「わざわざお顔を出して頂きありがとうございます!」
やっぱりこんな感じの対応に変わったまんまか、この変貌ぶりにはいくつか理由がある。
まずはライオウを倒した事、せいらさんから詳細を聞いてたらしい。
それとこの店だ、お陰様で大繁盛しており連日満室で一ヶ月先まで予約でびっしりだそうで、それに伴い何人か増員してる程だ。
そして最後に俺の立ち位置だ、ガントさんは俺がなんちゃってオーナーで実質ただの用心棒的な位置付け位なもんだと知ってはいるが、最初の6人の客からの口利きで2回ほど俺を指名して話を聞きたいという人が現れたのでまたしてもある種の営業トークで対応し新たな顧客を増やしたりなど利益に貢献した。
それらの姿はやり手のビジネスマンにでも見えたのだろう、それにプラスして今回のライオウ討伐だ。
また、せいらさんと親しくしてる姿も相まって大物にでも見えてるのかも知れない。
実際はたまに顔出してちょい仕事するだけのこの世界ではまだ新人のひよっこなんだけどね。
そもそもせいらさんが居なけりゃこんな上手く行ってないから実際の所、彼等と俺はそんな大差ある立ち位置とは思っちゃいない
「連日満室だから発注が楽で助かるよ」
そんな事言いながら差し入れを渡す俺、こういうのはオーナーっぽいけど実際はただの代理です
「わざわざありがとうございます」
初期メンバーのティッツ君、キミまでなんでそんな畏まった対応になってるんだ?
「オーナー代理、クリーニング屋が新たな値段と訪問時間の変更をお願いして来ました。お目通しお願いいたします」
ハイメル君まで、初期メンにはもう少し緩くても良い気がするが…やる気にもなってる所を水指すのも良くないか。
彼等は決して真面目に生きて来た人達ではない、礼儀作法なんてボスであるせいらさんや先輩に平身低頭にしてればいい位の感覚だったがここで接客指導的なのを俺視点にはなるが行ったのに対して学んだというより理解してくれたのだろう、今ではすっかり物になってる
「かなり安くなるね、2回に分けるのもこちらには好都合だし……次来た時にでも了承しちゃって良いよ。ガントさん、対応頼んだ」
「お任せ下さい、それとみーさん。せいらさんがもう戻ってる頃です、話があるので後でお時間よろしいですか?」
「了解、ガントさんは?」
「私もすぐ行きますよ」
あのガントさんが自分を私というようになった。
まだ強面の雰囲気は消えきってはいないがかなり変わったな
「あ、みーさんお疲れ様です。掃除用具なんですけど今度新しく出た掃除用具に全部変えても良いですか?新しく出たやつ凄いやりやすいんですよ」
ルーミさんはあまり変わらないがこの子は実はかなりやれる子だ。
この何気ない話だけでも分かるんだが闇雲に新しい物を頼むのではなく事前にちゃんと調べた上で言ってくるのだ。
この話だけで見れば大した事ではないが彼女からのこういう話は必ず事前に調査がされていて、しかも良いものはちゃんと良かったりする
「いいよ、繁盛してるうちに買ってしまおう」
そして来ました、せいらさんのアジトへ
「みー、来てくれたか。ガントも居るな、早速話なんだが…前にも言ったが王都での出店の件だ」
そう、連日満室で予約で一ヶ月待ち、しかもその待ちは一旦停止の上での待ちだ。
つまりこちらが停止しなければまだまだ予約で埋まる可能性があるのだ。
今この店には20室あり価格は15000でこれを90分でやり掃除等の時間に30分。
つまり客一人につき2時間という計算だ。本当は宿泊や時間設定も考えたのだがすぐに大繁盛してしまったため今ではこのコースしかない。
店の開店時間は今の所ずっと10時間なので一日一室に5人入ってる計算で一室あたりの売上が75000円になる、それが20室なので150万を一日に売り上げている訳だ。
多少のキャンセルで減ることはあるがだいたいこの金額で諸々の経費等差っ引くと100万位が一日の利益となっている。
最初だけかもというのは拭えないが正直ここまでボロ儲け出来るとは俺もせいらさんも思ってなかったのでせいらさんに至ってはそこまで表立って関わりたくなかったというのを一旦我慢して王都に2号店を出店する計画になってるのだ。
そうなると今度はこっちに来る客が一気に減る可能性が高いので2号店出店予定である1ヶ月後位迄の間に、1号店での戦略を考えてるという感じです
「2号店の方はもう決まりましたか?」
「ああ、話はついたぜ。今回は60室だ。作りが中々良い感じで1ヶ月待たずに完成はしてくれそうだが、ここは慌てる所じゃないからな、しっかり作って貰えれば良いかと思う。
まず問題無くペイできると思うがみーも出資してくれて助かったぜ。まだ始めて間もないかつ、こんななんとも言えない事業にこの金額を1人で出すのはちょっと抵抗があったからな」
「みーさんも出資してたんすか?いよいよもってオーナーじゃないすか」
俺1人でまるっと貰ったあの魔王軍将軍格の賞金を全て投資してみたのだ。
変な汗出まくったけどもし何かの拍子で失敗したらせいらさんと2人でおにぎりはんぶんこにしながら食べて慰め合おうって事で腹を決めました
「せいらさんには流石に頭が上がらないですよ、せいらさんが真のオーナーで俺はオマケオーナーです」
「何言ってやがる、それよりお前も可能な限り2号店のオープンには顔出せよ。ライオウ討伐の件で貴族連中にはお前の名がかなり通るようになったからな、来ると来ないではかなり変わって来るだろう。それに最初に話した連中なんかはライオウ討伐抜きにお前の事気に入ってるようだったと聞いたぞ」
あまり距離を詰められるのは嫌なのだがこの場合は仕方無いか。
俺も2億出してる身だから最低でもペイするまでは上手くやらねば
「変なのに狙われでもしない限りは行きますよ、それより2号店の人員なんかはどうします?」
「それなんですがせいらさんは私に2号店の店長をってお考えなんですよ」
ガントさんか、良いのではなかろうか。ガントさんだって覚えられては居るだろうし新たな人員にも顔が効く人が良いと思うし
「良いんじゃないかな?ガントさんが王都に行くのどーしても嫌とかじゃ無ければ。ただ…そうだな、初期メンの誰かしらは一緒に行った方が良い気がするのと1号店の新たな店長は誰か?って話になるね」
「そうだ、みーから見たら誰が良いと思う?」
あの中で言うなら……
「掃除担当メインで意外かも知れないですけどルーミさんが1番適正ある気がします」
「せいらさんと同意見っすね」
せいらさんと同意見だとちょっと自信になる
「決まりだな、ルーミには私から話しておこう。ガントはそれとなくルーミに仕事を教えといてやってくれ。それとこれも同意見だが初期メンバーの中で、ティッツとハイメルどっちを連れて行きたいとかあるか?」
個人的には細かい所に目が行くハイメル君の方が割と大まかなガントさんと上手くマッチしてくれそうな気はするが付き合いやすいと言うか話しやすいのはティッツ君なんだろうな。
普段からこの二人は上下関係はあれど気楽に話してる感じだし
「……私もこの一大事業の店長を任されてますからね、分かってますよ。多分ハイメルの方が大雑把な私にゃ助けになるでしょうね。苦手って程じゃ無いんですがあまり合うタイプじゃないのも事実でして。ですが…向こうだって気を遣ってるのも分かるし悪い奴って訳でもねぇのも分かるんで上手い事やりますよ」
やはりガントさんはやれる人だな、せいらさんが取りた立ててるのも分かる。助け舟も出しとかねば
「ガントさんは大まかな所はあるかもしれませんがそんな問題に成る程でもないでしょうよ。どうしても合わないとかキツくなってきたらいつでも言って下さい。絶対って話じゃないですし交換したくなったらお試しでしたとか言ってティッツ君と交換しますので」
上下関係自体は出来てる人達なのであるとすれば手を出しちゃうとかになるのだがこの事業に関わる者達には基本的に暴力行為を禁止にしてるので今までのようにはいかない。
こういうのは禁止しないとそういう雰囲気が絶対何処かで出てしまうからだ。
それは対人商売においてほぼメリットがない、なので荒くれさんからすれば慣れるまでは結構なストレスになると想像はつく
「そうだぞ、無理すること無いからな?最初にみーが言ってたが楽しくやらなきゃ意味が無いからな」
「お気遣いありがとうございます。お陰様で楽しくやれてますよ。事業内容こそあまり人に言えませんがこんなふうに私が店長になって一つの店を任されて日々大儲けしてなんて人生になるとは思ってませんでしたからね」
因みにここの給料はある程度歩合的な所がある、最低限は保証の上でだ。
せいらさんだけ極端にボロ儲けなんてようにはなってないのがせいらさんが慕われる所以だろう。
こうしてこの事業の幹部会を終え最後に本題である改築祝いのお誘いをした
「今日にでも顔出そうと思ったんだが、準備があるとかなら明日にするぜ」
「いいっすね〜、私もみーさんの家行ってはみたいですがこの事業の事は確か秘密なんすよね?」
そうなのだ、だが…
「どうせならいつかタイミング見計らって初期メンバーは呼びたいよね。皆に口裏合わせ合わせた上でなら大丈夫そうじゃない?せいらさんの手伝いで知り合ったとかで。うん、何一つ嘘ではないから事業内容となんちゃってオーナーって点だけ黙っててくれれば問題無いっしょ」
「その時は私も一緒に行ってやるからより大丈夫だろ?」
という事で今度タイミングを見計らってこの店の初期メンバーも遊びに来る事になった。
あんまり畏まった対応もしない様に話しておかないとだな




