泥棒は嘘つきで 12
ここは城からは直線で2キロ位、もう少しあるかな?くらいの場所に位置する国境付近であり、元いた魔王軍の砦があった場所付近とでも言うのか、一言で言えば緩衝地帯だ。
思えばイスト側は首都や城が近いとは言えこの近隣は最低限の建物しか無いのに対してトルクスは、まるでこれから人がどんどん来るようになるのを見越したかのように建物を建てているな。
この時点で山掘り起こす気満々じゃねーか。
俺が関与する気は無いけど昨日からの調査で聞いた話によるとこの辺の建物開発から砂漠地帯の道の整備なんかはソウセンの方でどうこうするとかなんて話を聞いた訳だが、黒鋼鉄絡みでも深くソウセンが関与してたらかなり厄介なのかも知れない…勝手な想像だけどね。
地味にこういう調査の方が大変だった気がする、みーサーチで色々聞き耳立ててたんだけどまあ都合良く聞きたい事聞ける訳でもないので
いずれにせよここからはもうお姫様のお時間だ
「お待たせしましたお姫様、これより先はあなた様のお時間です。物的証拠こそ無いですが…コイツ等はあなたの仇だ。ですがあなたの仇はコイツと一部の実行犯だけと言えます。とりあえず…とっ捕まえてみてはどうかな?それでもやるならやるのはコイツ等だけでって事で」
「あ、ええっと…分かりました。では」
「ええぃ、黙って聞いていれば!!コイツは賊だ!犯罪者だ!!早く殺せーー!!」
不自然なジェスチャーだな、だがそんなもんは想定内だぜ
「お姫様失礼!」
「…えっ!?」
お姫様を抱えて空に逃げる俺、既にいくつか仕掛けておいた無色透明の結界に乗ってますが…先に大きな布のような物を結界に敷くことで布で空を飛んでるように見せてるのですよ
因みに本来というか、別の作戦としてはあの王を上空に連れてって落下で脅迫とか、最悪そのまま拉致って自白強要とか、このままエリスに引き渡すとかも考えてました。その確率が7割はあると思ってたから予想より上手くいったので…あくまで想定内ではあるけど今の方がちょっと焦ってます。
こんな上手く行くとは思ってなかったネガティブみーくんじゃなくてルピンなの
この場に居るのは各国のお偉いさんだけどあくまでトップでは無い。
だから全てが上手く露呈しちゃった場合、コイツ等側からすればここに居る全員殺すって選択をするのはアリ寄りのアリな選択なのだ。なんてったってジェノサイダーズのせいに出来ますからね。
当然俺達も仕掛けと言いますか、それなりの量の兵は連れて来てるだろうからリリィ様にそいつ等の足止めを頼んでます。
ここは派手にではなく罠にハメるみたいなノリと頼んでありました。
実はここでリリィさんが暴れ出すかが、一番心配だったんだけどどうやら大丈夫でした。
でも兵は固まってる訳では無いと思うので全部を足止めは無理よね
「お姫様、タイミングが来ましたぜ!控えさせてた軍を呼んで下さい!」
「え!?や、やってしまってもいいの?」
無理もない、これに関しては急展開が過ぎるので状況が分からんでしょう。むしろいきなり宣戦布告されなくて良かったまであるし
一旦止まろう。ずっとお姫様抱えてるとこの子キレる可能性あるし。
正体がバレるような事を極力しないように飛ぶ時も仕掛けがあるかの様に直線でしか飛んでいないのです。
「いいですか?可能性があるとは思ってましたが今あのデブ王がやらんとしてる事は俺達を捕まえるふりしながらこの場にいる自国の者以外の殲滅です。皆殺しってやつっすね!」
「ええ!?そうなんですか!?」
「はい、今この場の人間全員殺してしまいさえすれば少なくとも姫のご家族暗殺は隠せます。そして我々ジェノサイダーズに濡れ衣を着させられますので当然と言えば当然でしょう」
「な、なるほど!では私はどうすれば良いですか?」
このエリスとはやり辛い、俺がボロ出しちゃいそうだよ
「今か今かと開戦合図を待ってる軍隊達に、皆を守りつつトルクスの連中を取り押さえるよう指示してしまえば良いかと思います」
「わ、分かりました!皆は何処に居るのかしら?」
「え?」
なんて?
「え?」
「ええっと…なんかこう、付き人的な人からは聞いてませんか?」
「とりあえず私が合図するとしか…」
コイツぅ……多分家臣達は察しててろくに説明もしてないんだろうよ。てことは今頃ダイスさんとかも困惑してる頃か、仕方ない!一旦あの場に戻ってエリスに号令させよう
「一旦戻るので捕まって!」
「はい!」
抱き着かれるとちょっとドキッとしちゃうます。ああ…この弓矢の中戻るのか…ヤダなぁ
「いっくぞー!!」
何とか現場に戻って向かって来る連中をいなしてると
「…あの、なんて言えばいいかしら!?」
「ええ!!?ええっと…ほら、あの辺り、どさくさに紛れてトルクス兵が知らんオッサン襲ってるだろ!?ああいうの助けてやれって言うんだよ!」
「分かったわ!!皆の者!!であえーー」
最初っからそう言えや!!なんだったんだこのくだり!
「ジェノサイダーズの御仁、恩に着ます」
うわっ!?いつの間にダイスさんが横に!?この人は鋭そうだから認識阻害してるとは言え気を付けないとな
「うおおーー!!」
「王の仇ー!!」
そう、拡声器諸々を首都にまで聴こえるように頑張って仕掛けてました。
なので彼等は今の流れをある程度理解してる筈なので宣戦布告ではなくこの場の鎮圧として動いてくれると…願う
「うわっ!?あぶねーなこのやろう!」
「何だ!?何故イスト兵がこんなに!?は、早く殺せー!!」
あ、やべえ!エリスも狙われてる!?
「こ、このやろー!!」
くっ、間に合えー!!
「ツメが甘いぜ、ルピン!」
おおー!!リリィ様ぁぁ!!っといけねぇ、今は俺はルピンだった
「助かるぜピゲン!」
「隙あり!!」
「させねーよ!」
今度はちゃんとお姫様を守れました。だいぶ混乱してやがんな、エリスを狙い出したら本当に後戻り出来なくなるってのに。
とりあえず危なっかしいからこの子をあの屋根の上で避難させよう
「お姫様、コチラに。不思議な道具でお守りしちゃいますんでね」
露骨に結界を使うとバレるのであくまで魔導具っぽくやって結界にこの子放り込んでおこう
「いい場所ですね!私もやりますよ」
え?
「行くわよぉぉぉ……プリンセス姫式、ぐらびとぅーん!!」
うわぁ…やりよった。この子そうだった、ぶっ放しちゃう子だったんだ。これまたえげつない威力で
「ふふふ、どうですルピンさん?私もやるもんでしょ?」
リリィさんも食らっちゃったよ…大丈夫か?
……しかし流石と言うべきか、イストの兵はちゃんと避難したようで
「そ、それじゃあ俺の仕事はここまでだって事で…ぴ、ぴげぇぇん!!」
「ぅぅ……私の朝はコーン茶…」
アカン、ダメージデカそうだ!回復回復
「だ、大丈夫ですか?」
「え、ええ…なんとか。おっと、俺は大丈夫だぜ、あのお姫さんは随分お転婆なようで」
良かった、大丈夫そうだ。何とかピゲンになりきってられてる
「ポーションも使っとけ!そろそろ俺達はトンヅラだ」
「え!?アナタの心はやらないんてすか!?いえでもやって欲しい訳では…」
やれるもんならやりたいけどとっつぁんが居ないしそれどころじゃ無いのよ
「俺達ゃお尋ね者さ、もうそんな時間はないでしょうよ。ほら、まだ向こうの兵も増援が来てるし何よりここからはアイツらの問題だ。さ、帰ろうぜ」
この時、背後から強烈な気配を感じた。剣を持ったヨウさん以上かも知れない。
そしてこれは少し覚えのある気がする気配……なんだろう、それなりに付き合い深くなったから分かっちゃうのかなぁ…ほら、リリィさんも同じ様に感じてるよぉ……マジっすか……クソっ!!なんでもっと早く逃げなかったんだ!
何繋がりで来たかなんて考えるだけ無駄だな。
世の中そんなに甘くないっすよねー、この流れかなり上手くいってたもん…でもそうは問屋が卸さないようで
「や、やっと動いてくれた」
「お、お願いします!少なくともアイツらは犯罪者ですので!!こ、こちらの事は後程失礼のないよう報告致しますがゆえ」
「丸く収まりそうなんだろ?お前等がクズって事で。んなもんどーでもいいわ!今日はあの有名なジェノサイダーズさんと遊べるって聞いたから来たんだよ」
あ、姐御ぉぉぉぉ……なんで来ちゃってるんすかぁ!!




