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泥棒は嘘つきで 10



 クソっ……



 解釈の違いとかものは言いようとか言ってたじゃねーか!……肝心な所がどストレートじゃんかよ。



 なんだよあのバカ姫…こんなの聞かされたら寝覚め悪すぎるだろ!!


 最初から最後まで馬鹿にしやがって。




 ………とうしようもないよな。




 うん…コレばっかはどうしようもない。



 クソったれた人生から転生して、なんか上手い事パワーアップして、なんか強くなったよ?

 うん、でも俺は俺なりに晩年は反省して生きてたんだ。だから傲慢な事は言えねーよ、ちょっと強くなったからって人を助けるなんて簡単には無理だってね。


 そりゃ強さを活かせる場面なら助けられるだろうさ?でもそんなのこういう世界だから多少機会が多めってだけで実際人を助ける程人ってのは強くないんだよ。


 なんなら悔しがるのだって傲慢だ。


 俺なんてそんなもんだし、俺だけじゃない、これが他の誰だろうと大多数の人は同じく助けれやしないさ。少なくとも今回のパターンはね。



 せめてダイスさんの約束は守ってやらなきゃな……



 って本当に無理かな?



 いや、あんなポンコツにここまで悩まされる必要はねーんよ。

 でも…やっぱもう知り合ってるわけだし、仮とは言え同じパーティーだった訳だし、同じ釜の飯を食った仲だし…



 アイツ、なんていうか俺に対して悪意はあったけど嫌な悪意じゃなかったよな。

 そういう奴って俺からすると結構貴重なんだよね……それに俺達パーティーって実は人見知りだからあんな馴染めるヤツって貴重なんだよなぁ。


 ウチの3人、エリスが死んだら悲しむよな…黙ってた俺を責めるかも…いや、それはないかな。


 クソっ!!酒が回らねぇ!国とは言わない、なんていうかすんごいワガママだけどとりあえずエリスとその周りだけでもいい…でも駄目だな。この考えは後でキツくなるからやはり可能なら戦争をやめて欲しい



 無理ゲーだろ?



 あのバカ最後は突撃するとか言ってたけど…なんやかんやと助けてくれるヤツはそっちに居るのか?


 ……いや、アイツバカだから多分最後は華麗に散ってとか思ってるんだろうけど、イザ本当に死ぬってなったら無様に泣け叫びながら散って逝くのが想像出来るわ



 駄目だ、思いつかねぇ!


 俺って実は結構頭良いと思ってたんたけどやっぱり馬鹿でした。ってのが生前の俺評なんだけど…変わんねーな



 ヤマト村の皆に泣きつこうか…いや、それだけは駄目だ。   

 多分なんかこう…色々と駄目なヤツだ!何よりそれでどうするかという事が具体的に浮かばない時点で掛ける迷惑の大きさが俺のキャパを超え過ぎちゃうもん



 俺1人で何とかなるなんて思う気は無いが…そもそも策が浮かばん。



 あーあ、お姫様…攫っちまうか!そうすれば全て一旦ストップする…いや、もう王暗殺の報復するって腹積もりだから多少遅らせたとしても変わらんか。



 攫う…攫う……ねぇ…







 くくくっ、攫うかどうかはさておき、俺は勘違いしてたな。

 そうだよ、そうだ!

 俺1人で助けるなんて傲慢だが何も助ける必要なんかねーんだ。助かりたきゃ勝手に助かれってね。


 俺にゃ国がどうとか姫がどうとか戦争が…なんて事をどうにもする力は無いけど、俺の得た強さとあんなことやこんな事を屈指したら…人1人掌で転がす位は出来る可能性は充分に高いしこれは傲慢でも無謀でもなく現実的じゃねーか


 やるか


 だがどうしても1人じゃ無理だ…気が引けるけど、とんでもない事に巻き込んじゃうけど…こればっかりは頼み込むしかないな
















「みーさん、こんな真夜中にどうしたんですか?」


「リリィさん、いや、ルピン。頼みがある」



 俺はリリィさんに協力を要請する事にした。


 ジェノサイダーズの出番です





「待ってました!!!遂に、遂にみーさんからやってくれる時が来たんですね!!!こんな夜中に何かと思いましたが…やります!やりますよ!!やらせてください!!実はずっと私から頼んで連れ回してて少し悪いかなぁとは思ってたんですよ!」



 うわぁ…まだ何の事情も話してないのにとんでもなくやる気出して来ちゃったよ。

 思ってた展開と違う…なんかもっとこう、俺が頭下げて仕方なくなんだけど相棒がどうとかそんな良い話風になると思ってたのに。

 リリィさんがこんなにやる気出すと不安しかないです。が、今はこれが頼もしくもあるです



「ありがとうございます!では一連の話を説明しますので」



 俺の理解してる範囲の事は事細かに話しつつ、ざっくりとした計画と流れを話してみた




「それってもしかしてアレですか?盗んじゃうんですか?きゃーーー!!みーさん流石ですぅ!!今回はみーさんがルピンで行きましょう!!その計画でしたらある程度私の道具で賄えますので…因みに拡声器とかもあった方がいいですよね!?ありますよ!!お任せ下さい!」



 おっぱいデカい!!そして柔らかい!!最高ーー!!じゃなくてちょっとくっつき過ぎ!顔も近い!お兄さんはリリィさんにそんな近付かれると我慢出来ない…って今はどう見てもそんな場面じゃないから落ち着かねば!



「ありがとうございます。この借りは必ず返しますよ」


「何言ってるんですか!そんな事気にしないで下さい、私は相棒ですよ!私達がその気になれば世界だってひっくり返せますからね!」


 アナタなら本当にやりそうで怖いわ



 結局この日、午前3時くらいまで計画を練りつつ準備をして、宣戦布告する前日の午後から出動する事にした。

 根回しするとせいらさんに怪しまれるので後で色々言われるのを覚悟でガントさん達との付き合いで泊まると皆には言って出て行こう、ある程度のリスクは仕方ない。






 決行前日


 今俺は、イストに来ている。


 暑いです。こっちは夏なのか?それとも年中こんな気候なのか?思った以上に砂漠って感じはしないけど砂漠地帯の茶色い感じの雰囲気もやっぱあるな、でもかなり栄えてる感じがするよ。じっくり観光したい。


 それはさておき明日迄に地道な作業を少しでも進めておきたいジェノサイダーズは地形なんかを最低限は頭に入れつつ首都を回っていた。


 リリィさんはイストに転身は出来なかったのだがこの人世界各地の主要都市の転身の魔石を持ってたのには驚いた。

 出処はカイルと世界を回ってる外交官秘書、ロザリーさんの息の掛かった人経由だとの事。

 ゼスト人さん等は思ったよりジェノサイダーズを重宝してるっぽいよな。






 そんなこんなで作戦の第一段階を決行する時がやって来ました。

 夜中、現在イストの王宮前でございます。

 俺は今リリィさんから掛けてもらった認識を阻害出来る魔法が掛けられてます、声も認識阻害されるんだとか。

 そんな魔法があるのか?と驚きましたがあのお方、自身の薬と合わせ技でこういう至難の業みたいな魔法をやってのけたり出来るそうで。


 リリィさんってトータルで見たら俺とかせいらさんより強いんじゃねーかな?



 さて、言うまでもなくお姫様の所に向かうわけだが…このデカい城の何処に居るというのか。

 バカと煙はなんとやら、高い所行ってみるか。おや?あそこなんかはバルコニーも大きいっぽいし怪しいな



 居ました。一発で見つけられました。俺怪盗の素質あるのやも。

 だが落ち着け、まずはみーサーチからの…視認。よし、1人しか居なさそうだし特に魔法も掛かって…って流石に部屋の出入り口は魔法が帯びてるな。

 でもそこには用はないので大丈夫!流石にこの高さだと窓にまで魔法は掛けてないようだ。

 静かに侵入しますか、ねばのーるくんがあれば窓開けるなんて余裕ですので。どーせなら遮音結界掛けて極力音も漏らさない様にしましょう




 問題なく入れたよ、入っといてなんだけどもう少しセキュリティしっかりした方が良いと思うの。

 それにしても広い部屋だな、ベッドで寝てる様だけどまだ10時だから起きてる可能性は高いので念の為遮音結界を部屋中に掛けとくか。って結構気付かれないもんなんだな。

 さて、そろそろ気付かれるように振る舞うか



「誰!?」



「泥棒です」



 よっしゃ!!コレがやりたかったんです!もう満足なので帰ろう!…って落ち着け!ちゃんとルピンになりきるのだ



「泥棒…まさか先日予告状を送ってきたジェノサイダーズ…ですか?」


 そう、100%出してる訳じゃないけどジェノサイダーズは予告状を出してるんです


「御名答、本日はご挨拶に伺いました」


「イストのティアラを狙ってるのですか?あれは建国より祀られてる国宝です……盗むのは…やめてもらえませんか?」


 何コイツ…警戒心丸出しなのは分かるけどそんな清らかな感じのキャラじゃねーだろ!良い子ぶりやがって…超ツッコミたいけどここは我慢、今の俺はあくまでルピンだ


「ご安心下さい。我々はその様な皆に愛され大切にされてる様なお宝には手を出しませんので。狙いはそれよりもっと大きな物です」


「そう、なのですか?」


「泥棒は嘘はつきません」


「では何を?…まさか」


「今日はご挨拶に伺っただけで御座います」



 私を…とか思っただろ!今ちょっとズッコケた感出したな。もしかしたら俺達の前に居たのが作られたキャラかと思ったがちゃんとエリスはエリスだった



「そう、いっその事私を盗んでくれても良かったのに」


 あら?……無理もないか、エリスなりに色々煮詰まってるんだろうし


「おお、なんて事だ!こんな大きな城にこの様に美しくも気高いお姫様が自分を盗んでなんて言う程苦しんでいるとは…んん………んん……」



「な、なに?……なんですか?」



「はっ!!………今はこれが精一杯」



 よし終わった、帰ろう。もう満足だ



「ぷっ…ふふ、ふふふ、な、なんですの、それは?」


「若くして黄泉への道を行かんとする麗しい少女への救いの標でございます」


「え!?とうして…」


「アナタの父君であるアリバス王と母君であるエルミア王妃には借りがございまして、と言っても大昔イストのティアラを触れてみたいと思い侵入してしくじった時にお目溢し頂いたのですよ。それ以来いつか恩を返そうと思い馳せ参じた次第です」



「そ、そうなの?」



 大嘘である。嘘をつくなら大きい方がバレないだか効果的だったりするそうです



「はい。実はお姫様にお願いがありまして。明日、私達ジェノサイダーズがあなた様の身柄を少し拝借する時が来ます。それに少しお付き合いして頂きたいというのと、それまではその美しいお顔は笑顔のままで居て貰いたいのですがいかがでしょう?」


「本当に父や母を…アナタは明日…いえ、何処まで御存知なのですか?」


「何も知りませんよ、何も知らないままで終わらせに来たのです」


「そんな事…」


「勿論タダでとは言いません」


「では何があるのですか?」


「父君や母君、兄様の為になりますよ」


「!!?………その言葉の重み、分かってるの?」


「泥棒は嘘はつきません」


「……分かりました。少しだけです。コチラは別に決定的なタイミングとか無い…筈なのでお付き合いしましょう」



 エリスにしては頑張ったほうか、多分宣戦布告のタイミングとか段取りとかよく分かってないんだろうけど姫さえ黙ってればそれまでは取り返しがつく筈だ



「それではまた明日、お伺い致します」



「きゃっ!?」




 キマった!リリィさんから闇雲の魔石をいくつか貰ってたのが役立ったな。

 この流れで普通に窓から出てってちょっと決まらないからね。

 ここまで来ると明日の作戦も成功させて心盗みました迄やりたいっす





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