泥棒は嘘つきで 3
ネフィットの大領主さんとやらと顔を合わせる日、俺達はギルドの二階に来ていた
ギルドは意外と綺麗とはいえ、そんな大物が来るような場所では無い気がするなんて皆で話してはいたけど俺は知ってる、他国にも顔を利かせられるあの変態…じゃなくて同志であるニップル伯爵もお忍びでここより古い建物のあのお店に月2回は通ってたんですぜ。なので実は然程驚いてません
「待たせてすまない。私がネフィットで領主をやってるモリウスだ。今回は呼び立てに応じてくれて感謝する。早速だがある依頼を頼まれて欲しい…内容は簡単に言うと要人の警護だ」
まあそれくらいは想定内よ、問題は誰かって話と明確な敵さんの有無なんだよな
「遠路遥々お疲れ様です。私はこのパーティーの一員であると同時に白服に所属しているメロニィと申します。いきなりこのような事言って申し訳無いのですがその内容ですと我々としては気軽には引き受けられない、というのが本音ですね」
「ほう、それは何故?」
「魔王軍将軍討伐や王都壊滅レベルのコケッコの暴走を止めた等の功績で盲点になってしまいそうですが、我々は冒険者パーティーとしては決して熟練度は高くありません。
戦闘でこそ力を発揮出来るとは思いますが警護なんかに関しましては未熟なのが露見する事が目に見えております。
直近ですとリンガー国王子の護衛なんかももしかしたら我々の功績になってるように見られるかも知れませんが、我々は魔王軍将軍のバスティーを討伐して砦を破壊しただけで護衛に関してはジハン国の凄腕の冒険者が担ってたのです」
「なるほど、それは素直に話して頂きありがたい。なればこそ大丈夫とお見受け出来るな。実は警護と言うのは建前、形式上狙われてるというような演出は頼むかも知れんが本題は全然違うのだ」
なんか変な方向に話が進もうとしているよ
「と、言いますと?」
「我が古くからの友好国であるイストの宰相からの頼みでな、イストの王女が今月の末まで冒険者として過ごしてみたいという依頼なのだ。ざっくりいうとコチラに来るからその間世話してという感じで捉えてもらえばと思う」
なんと!?お姫様ってか?ついに来たか!!いつかあるとは思ってたんだよ、異世界のド定番だもんな。
だけど…少し気になるのは事実だけど俺としてはあまり関わらない方がいいかなって思う次第です
「ちょっと…仲間と相談させて貰ってもよろしいですかね?あ、ご紹介遅れて申し訳ないです、私みーと申します。お見知りおきを」
「うむ。必要なら席を外すが?」
「いえいえいえ!!コチラから外しますから!!ゆっくりしていて下さい!あ、私このパーティーのリーダーをやってますクリスと申します。よろしくお願いいたします」
別室にて緊急クリスサミットが行われた
「みーくん、キミの考えてる事当てようか?」
「俺も言おうと思ってたんだが奇遇だなクリス、俺も当ててやるぞよ」
「「いくよ、せーの……却下!!」」
「えぇー!?本気ですか?というか王女様と聞いてみーさんは食い付くかと思いましたよ」
「アチキもやでぇ!」
「へへん、こういう時だけは気が合うんだよね」
実際は結構考えが被るんだけどそういう事にしておこう
「うむ、王女護衛…ってなんかもう響きが怖いわ。ちげーんだよ、コルト君の場合は明確に狙われてたっていうかもっとこう何ていうか護衛的視点でいうと責任の所在が薄かったじゃん?それに実際は狙われてる訳では無いとかだとさ、もし問題とか起きて巻き込まれた場合、なんていうかこう…滅茶苦茶面倒かつややこしい事になりかねない怖さがあるんだよ」
「分かるぅ!!てゆーか王女護衛って響きがそもそも生々しいんだよぉ!それが怖いクリスちゃんです」
何でここまで考えてる事が一致するんだろ?それもちょっと怖いです
「まあクリスの気持ちは分かりますよ。みーさんはまだこの世界の新人でまゆもはヤマト村の人、私は腐っても貴族ですがクリスはあくまで一般人の視点になりますもんね。王族の護衛を直に受けるなんて、それが仮と言われようと怖いのは当然の話です」
そういう事か、でも俺も怖さはありますぜ?
「うーにゅ、確かに面倒事になった時は始末が悪そうぼぅん。アチキもリーダーに一票やでぇ」
「そうですね、かく言う私も決して受けたい類の依頼では無いので…お断りしましょう」
満場一致で断る事にした
「お待たせしました。改めまして、このパーティーのリーダーである私から…今回の依頼は誠に心苦しくはありますが…お断りさせて頂きたいと思います」
「そうか、うむ。まあそうだな、気持ちはよく分かる。ワシも大領主と言われ事実上のネフィットのトップに居る身とはいえ、あくまで王族では無い。そんな我々ですら自国ならいざ知らず他国の王族の子守り等はちょっとってなるぞ。だが何故そんな話になったのか聞いては貰えないか?」
ここで何故そんな依頼がされたのか、それは…
1年前、この国の王様、王妃、第一王子がお亡くなりになってしまい王女がこの国を継ぐ事になったのだ。
王女は当時13歳で英才教育も受けており国民からの人気も高く、国を継ぐには最低限問題は無いとされてたらしいのでこの1年はそういう事情もあり、お偉いさん達が一致団結して問題なく国は動いていたそうだ。
そしてここへ来て隣国で大国のトルクスメシアの第一王子と結婚するという話が頭角を現したとか。
元からお見合いはしていて顔は通ってるらしく、悪くはない話だそうだが現実は政治的な理由のほうが大きいらしい。
このお姫様の国イストは歴史的に見てかなり古くジハン国と並ぶ程に由緒正しいお国ではあるがその内情はというと砂漠の国というだけあり、決して豊かな国ではないのだ。
歴史があるという以外価値は薄いなんて言われる始末で、今回の政略結婚で事実上トルクスメシアと統合するのでは?なんて言われている。
そういったあらゆる政治的問題に対してお姫様はと言うと、気丈に振る舞いつつ真摯に受け止め向き合うっていくと言う姿勢を示した事で国全体は突然の王族の度重なる不幸にも混乱する事なくこの1年ほ問題なくやって来たそうだ。
そして婚約発表が2月頭という事で、この最後の自由の時間を兼ねてより興味あった冒険者をやってみたいとか、知らない国で自由に羽根を伸ばして過ごしたい、という最後のわがままを宰相なんかに話して紆余曲折を経て、友好国たるネフィットのトップが気を利かせて、現在最高峰の偉業を成し遂げてる冒険者であるボク達の所に来たという話なんだそうでした。
それを聞いた俺達は……
満場一致で依頼を引き受ける事にした
「感謝する。ワシの方でも色々思う所があってな。だがここから先は王女との話、イストに話が行くわけだからワシよりイストの者と話した方がいいな。これは言うまでもないとは思うが、2月までの期間、誰にも話をしないようにの。あくまで新しい仲間を迎えた試験期間、の様な感じがいいだろう」
え?これ秘密なの…ってそうだよな。機密事項だよな。
なんとなくせいらさんやリリィさんには話しとこうと思ったけど…秘密だからって事は伝えよう。
あの人達も冒険者だからその辺は大丈夫だろうよ
「承知しております。気に掛けていただきありがとうございます」
「気を付けにゃいと姐御に言ってしまいそうになるからみーくん、お互い見張るのです!」
「それがいいな、ポロっとって笑い事じゃ済まないだろうし」
まゆもと確認しあってるとモリウスさんが話に入って来ましたよ
「アナタはヤマト村の者ですかな?その姐御とやらもヤマト村の者だったらまあ言っても大丈夫だろう」
うん、そう思う。この時のやり取りはいつものヤマト村怖いだと思ってました




