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泥棒は嘘つきで 1


 この世界にはコタツがあります。

 素晴らしい事です。


「おやみーくんさん、奇遇ですね」


「これはこれはクリスさん、奇遇ですね…アナタも?」


「ええ、という事はみーくんさんも?」


「「うふふ、あはは」」


「毎回やってますけど…その茶番はどんな設定なんですか?」


 やたらコタツを神格化する俺と、コタツと言えば私!と豪語するクリス。

コタツをセッティングしてからというもの、毎日の様にコタツで丸まってたらいつしか俺達にもよく分からないやり取りをする様になっていた


「アチキも入るにょでぇぇす!」


 まゆもとメロニィは俺達ほどコタツ愛は強くなく、眠くなっちゃうとかの理由で暖炉の前に居る方が多い。

 まゆもっこさんが来なすった


「その辺ぺぽりーが丸まってるから気を付けるのだよ」


「温いぞよ」


「みーさんがそこまでコタツ愛が強いとは意外でしたね。確かに温いですけど…私この快適さだとすぐ眠くなっちゃって」


 メロにゃんも来たか。この子はコタツ神の素質ありそうだ。部屋のもふもふクッションの時点でバレバレさ


「俺、もうこの冬はコタツになる」


「私もコタツになろっかな」 


「そのコタツ愛ぶりを見てるとあながち冗談とも思えないですね。あ、みーさん今日のお昼はうどんが無性に食べたいです」


 コタツに料理は出来ないですぜ


「明日は一旦片付けておいた方がいいやも知れぬのぞよ」




 翌日




「オーナ…こほん、みーさんに料理作って貰う日が来るとは思ってなかったっすよ!」


「遠慮なく食ってくれさい。家じゃこのリーダーのパワハラで当番制な筈なのに何故か俺が作る割合が多いんだよ」


「パワハラとか言うなよぉ!皆さんこのおっさんじゃなくてこのおっさんの言う事は気にしないでいいですからね」


 訂正されてねーよ!という事でほぺがこいで懲らしめる俺


「やめ、やめろよぉ~!何その新しい技は!?」


「みーさん許嫁さんの前で他の女とイチャイチャするのはどうかと思いますよ?」


 このマーヤさんというせいらさん一派の秘書さんは割と言ってくるタイプと最近気付いたけど、変な所を弄ってくるのはやめてもらいたい所です。

 ただこの秘書さん、どうやらせいらさん一派の中でも下手すりゃNo.2ポジっぽいんだよな。

 普段の仕事?なのかは分からないけど普段のせいらさんの相棒とも言える立ち位置っぽくて俺にも割と容赦ないんです。




 今日は何をやってるかというと、あのお店のオープンは世間様の休みより多めにしてる事から、この隙に初期メンバーとこの秘書さんを迎えて以前から話に出てたお食事会をやっておこうとなって今に至ります


「私が見張ってるって理由も分かるだろ?この男を放置するとセクハラし放題になっちまうから仕方なく監視してやってるんんだ」


「せいらさん大変だったんスね!」


 真に受けるな!ただ、ルーミさんは今では立派な店長だけど…そもそも悪ふざけで絡みづらい雰囲気ある子なんだよね。

 見た目は可愛らしいというか小動物とかマスコットみたいな感じなんだけどロボというかサイボーグみたいなんだよなぁ、感情の起伏が読めんのよ。


「そうだぞぉ、ルーミにだって何するか分かったもんじゃないからお前も気を付けるんたぜ」


 せいらさんはちゃんと手懐けるようだ


「ところで少し疑問に思ったのですが、みーさんはどのようなお手伝いをなさってるのですか?」


「建物の解体だったり荷運びだったりと、色々ですぜ。我々一同大いに助けられておりますわ」


 ガントさんも営業トークが板に付いてきたね、今のはかなり自然に返せてたよ。

 大嘘もいいところだけどこの程度の質問は想定内、そしてこの中じゃメロニィが一番鋭いというのも折り込み済みだ


「キミってば色々やってるんだねぇ。いや、この場合姐御がだね。流石姐御です!」


「昔はもっと荒々しい事もあったんだけどな。そういや今じゃもう跳ねっ返りは見掛けなくなったよなぁ」


「姐御は勿論、ヤマト村の御方が来たとあっちゃあ皆借りてきた猫のようになっちまいますぜ」


「こんな事言ってるがこのガントは昔はギラギラしててなぁ、やり合う程では無かったが私にも牙を剥いて来そうな時があったんたぜ!」


「よ、よしてくだせぇ!昔の話でさぁ」


 その辺の事は聞いた事がある。冒険者でも2年前にB級に上がった程で、そんな歴史を歩んてるだけあって俺が思った以上に顔も利くし尊敬も勝ち取ってる結構凄いお人なんだよね


「その時代だと俺はまだフラフラしてた頃っすね」


 話を聞く限りティッツ君はやっと収まるべき立ち位置に来た気がするよ。

 それなりに人となりが分かったけど出会った当初の結構なチンピラ感とは異なって下のヤツにも気さくだし、俺の知らない頃から横柄という事も無くどちらかというと人懐っこいキャラだったとか。

 何より喧嘩や腕力がからっきしでどう考えても荒くれ稼業には向かない人だったりするのだとか。

 ガントさんも若くて余裕の無い頃はヒヨった事は言えないとかこだわりがあって指摘出来ずにいたが昔っからティッツは場違いだと密かに心配はしてたと言って程だ


「ハイメル君はその時代どんな感じだったんだい?」


 いや、聞き及んではいるよ?知ってるけど全然喋らないから話振ってやらんとなのだよ


「自分も、フラフラしてましたね」


 誰か拾ってやれ、その通りなのは分かるけどもう少しこう、広がる要素あんだろ


「ハイメルはだいぶ丸くなったよねぇ〜」


「コイツは元からそんなキャラって訳でもねーんだって!な?」


 いや本当ティッツ君が重宝されるの分かるわ〜


「まあ、そうだな」


 この男、見た目が普通だけどティッツ君と異なり腕っぷしが結構強くて昔はどっかの不良グループでそれなりな立ち位置に居たとかなんとか。

 かなり不器用な性格で寡黙な中、コミュニケーションを頑張ろうとしてたらお得意の腕っぷしで仲間を作るという感じで変な方向に行っちゃっただけの一般人コミュ障と言うのがルーミ評。

 かつて姐御がキレて数十人をブチのめした中の1人に交じってたらしくそれ以来手下になってみたいな事を言っていた。

 同時期の同年代からの前評判は危険な奴だったがフタを開けるとコミュ障を拗らせてるだけの人だと分かってからは特に誰も気にしない存在になったのだそうで。

 そんな感覚なだけあって腕っぷしを活かせそうな冒険者の方には行かず、こういった極力脳筋丸出しでは無い仕事ばっかやってたと俺は聞いたよ


「コイツも真面目に働いてるから過去は関係ねーんだよ」


 ガントさんは前よりハイメルとも打ち解けた感があるな。

 俺も立場上行く時は率先して絡んでたけど、ただの真面目な子って見れば愛想悪いとかも気にするほどの事では無いもん


「ところでみーさん、許嫁さんとは実際何処まで行ったんですか?」


 この秘書め……


「一番遠いとこでリンガー国の国境付近じゃないか?」


「なるほど、そこで既にやる事やったと?」


 誰か止めて


「マーヤ、やめてあげろ。一応私が聞く限りはこのパーティーは健全っぽいからな。この変態はともかく他の3人は綺麗なもんよ。あ、メロにゃんはそうでもないな」


「聞き捨てなりませんね!私なんて誰よりも綺麗じゃないですか!!それに私達はプラトニックな関係なのです。確かにみーさんは少し、極めてギリギリですが、いやもうアウトなんですが一応その様な爛れた事は無いのですよ!そんな事言うならどちらかというとせいらさんの方が私の男にツバ付けてるんじゃないですか?怪しさ満載ですよ!」


「貴女もそう思ってましたか。実は私も怪しんでおります」


「ほら見たことか!秘書さんにまで怪しまれてますよ?ここらで白状したらどうですか?」


 凄く稀な光景を目にしてる気がします。ガントさんを筆頭に男達3人はちょっとあわわ感出してますよ。

 だって俺はなんか慣れたけど姐御にここまで言ってる人、かえでさん以外見たことないからね。そう考えるとこの秘書さんも割と言ってる方かも知れない


「ふっ、大人の私はそんな事言われていちいち慌てたりはしないのさ。メロにゃんも程々にしておけよ?誤解とは言えこんな変態男と怪しまれるなんて心外だ」



「変態でチンケな男が姐御と絡んでしまい申し訳ないでやんす」


 いつも抵抗するから面倒になるんだ。って事でシュンとしてみました


「お前…シュンとしたらごめんとか言うと思ったら大間違いだからな?」


 くっ!ヤマト村の連中は揃いも揃って一筋縄じゃいかねーか


「まゆも姫、助けて」


「うにゅ、みーくんや、セクハラはアカンぞえ」


 まゆもにどストレートに言われるとちょっとダメージデカいっす




 その後酒が進んでせいらさんが送れとか言い出したら話がぶり返して結局せいらさんだけ泊まってくという形でこの会食は終わりました。

 皆ボロを出さない所を見ると優秀なんだなって後から気付きました。

 今度の差し入れは奮発するか



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