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雨の午後はヤバくて 8

 

 この世界の正月というものを初めて体験してるボク、一言出来うならちょい昔の日本とほぼ一緒で殆どの場所が休みとなって家に籠るのが基本らしい。

 この世界は魔法があってセキュリティが単純に結界である事や家にいる事もあって犯罪難易度が上がってるとか、こういう長期休暇時に起こした窃盗というか痴話喧嘩以外の犯罪は罰則が格段に重くなる事もあって犯罪率は激減らしいのでかなり平和だそうだ。

 そんな誰もが休まる正月の5日間は買い溜めしてるのもあって引き篭もりが促進されるという訳だ。

 外では子供や若者が遊んでるという昭和の感じが見受けられて微笑ましくもあります。

 それにしても今更だがこの世界って暦とか時間が地球と一緒なんだよな、だからこんな身体が馴染めてるのだろう、そんな訳なので俺も魂に刻まれてるこの正月という特別な空気を堪能出来てるという訳だ。

 そういえば正月というか年末年始は慌ただしくも楽しくありました。

 日本で言う晦日に年越しライブを18時から開催しまして、久しぶりのライブでかなり緊張したものの、大成功に終わったと見て良かったと思う。

 前より俺も慣れがあったけどそれ以上に客側が慣れてて飲み物とかタオルを持って来てたしな。

 そして大晦日から正月にかけて俺が何処で過ごすか問題が起きたのだ。

 問題ってほどじゃないけど今となっては実家はここなので俺は家に居るつもりだったが思えば皆実家があるので、って事でメロニィが俺を連れてこうとするのと、俺の始まりの地はヤマト村というのもあってヤマト村で過ごすという選択と、クリスのじいさんが家にも来てと誘ってくれた事でこの家と合わせて4択を迫られた訳だ。

 1番あり得なそうではあるが普段から許嫁を自称するメロニィが誘うのは当然なので選択肢としてはちゃんとあったり、ヤマト村も当然だったりするし、実家は勿論、年長者であるクリスのじいさんの誘いは無碍に出来ないというのもあってちょっと困った俺は1.2.3日とヤマト村のせいらさん家、メロニィ家、クリス家を経て今、実家に居る次第です。

 そういう文化なのかは分からないが5日間を前倒しにして戻ったり活動再開しようなどという思想は皆無っぽいので今の俺は家で1人気楽に過ごしてる次第です。

 因みにぺぽりーはじゃんけんでまゆもが勝ってまゆもが連れてってます、これを機にぺぽりーと一緒に寝たかったよぅ



 今は正月4日目の昼間、若返ったアレなのか分からないけど…暇を持て余してるボクが居るんだよ。

 生前、死ぬ前の頃なんかは2日間の1人での休みくらいで持て余してしまうなんて感覚はなかったと思うんだよねぇ…さて何をしようかしら



 御三方の部屋がある…変なものは見ない、勿論見ないが…少し位見てみてもいいのではなかろうか?メロニィは沢山、クリスとまゆもも多少本を持ってるので暇潰しには持ってこいだし。

 だが落ち着け、俺がこの家に1人で2日間だらけると聞いた時3人から物色したら許さんと言われてるんだよな。

 バレないとは思うが…いや待てよ?確かあの時、意外な事にメロニィはそこまで強く指摘はして来なかったな。

 怪しい…あのメロニィがそんな事って無いと思うの。となると何か仕掛けがあるのやも知れん……やめとくか。

 俺には作曲とかいくつか趣味がある訳だがいざこうまで暇になるとそのスイッチが入らんのよ。

 なんかこう、俺は何もしないけど面白い事とか起きないかな〜あるいはそれどころじゃない面白そうな事でもないかしら



 気付くと昼寝してた俺、だけど1時間位なもんで特に何か変化はない。何か食べようかしら



 この日は普段実はそこまで飲まない酒をいつもより飲んで勝手にハイテンションになって思ったより楽しめたのだが次の日、目覚めが良すぎてしまったよ。

 そうだ、暇だから散歩がてらロックバードさんの様子でも見に行くか。

 居るかは分からんけど




 雲行きが怪しいけど大丈夫かな?にしても街の外まで来たけど本当に店とかやってないんだな。この感覚は生前の幼少期以来かも知れん、あの頃の正月ってこんな雰囲気だったもの。

 お?見えた、普通に堂々といらっしゃったようだ。

 またパンでもあげようと思って差し出したら相変わらずの勢いで食べなさった。

 大きいからちょっとビビるけど慣れると普通に可愛いもんだな、撫でても特に嫌がらないのは最低限は懐いてくれてるのかしら?



 街を軽く散歩してるとおっさん同士が揉めてるのを見たがどうやら酔っ払い同士の様で、この世界も本質的に人間は変わらんものだななんて思っていると怪しかった天気が持たなくなり雨が降って来たので家に帰りました



 改めて思うとこの完全1人みたいな状況は久しぶりな気がする。

 たまには悪くないし、元々は40代おっさんで人付き合い嫌いになってた俺からするとむしろこれはこれで馴染むもんです、なんて思いながら生前を振り返りながら酒を飲んでる俺。

 少し寂しいのが、当然の話なのだろうけど生前の記憶は以前より薄らいでると感じる事だ。

 明確なのは忘れはしないが細かい事は薄らいで来てる気がする、というより囚われなくなって来てると言ったところか。

 自覚はあるが生前の俺はもっとなんかこう心身共に病んでるとこあったもんな、まあ良い事としておこう。






 気分良く1人生活を満喫してた訳だが夜中、ふと目覚めてしまった。



 怖い……稀にあったヤツだ、最近全く無かったけどここで来るか。



 怖いんだよ、ここって俺の居た痕跡のある世界じゃないんだよ、何も無いんです。

 異世界でもあり異次元みたいなもんだからなんて表現すればいいか分からんけど怖いんだ。

 終わりなのか?生前の俺はもう終わりなのか?いや、そうだ。死んだんだから終わりだわ、それは分かるけど生前の繋がりとか、家族だって居るし少ないながらも繋がりあった人だって居た事もある、そういったもん全部もう繋がりはないのか?なんかこう魂というか何でもいいけど…もう…会えないのか?………ダメだ!あんまり考えると耐えられん。

 転生者が一定数自殺するって気持ちはよく分かるわ、何この震え?何この汗?身体の芯から、存在の芯から怖がっちゃってるよ。

 クッソー…まあこんな姿見られたく無いからタイミングは良かったか。

 てか俺なんで死んだんだっけ?ダメだダメだ、混乱して来た。

 なんとか寝よう…だが経験があるけど寝起きもやべぇんだよ。

 これは寝たら忘れるというより寝るとより深層で揺さぶられるみたいな感じなんだよ…酒だ!酒飲もう!



 少し寝たのか?こんな時ばっか生前の夢を見るのは嫌がらせか?しかも夢はほぼ毎日見る中で、普段は良い夢なんてほとんど見ないクセにここぞとばかりに良さげな夢見せやがって…余計心が抉られるわ!駄目だ、何とか寝よう













「みーくん、みーくん!?」

「うわぁ!!?……ハァハァ……クリス…か?」


 アカン、クリスが帰って来てた


「みーくんどうしたの?何かあったの!?」


「……なんでもないよ、ちょっと悪夢にうなされただけだよ」


「何でもないって事ないんじゃない?お酒の瓶何本もあるけどキミってば普段そんな飲まないよね?しかも凄い顔色だよ、大丈夫?」


 何の気なしに手を握って来たクリス様。ヤバいクリス様マジ天使!なんかちょっと落ち着いて来たよ



「よく見ると汗も凄いね!本、当にどうしたのさ!?」


 あんまり心配かけるのは良くないな、昨日よりは落ち着いてきたしそろそろ切り替えるか


「ちょっと…悪夢にうなされただけだよ、俺何気にそういうの苦手なのクリスなら何となく分かるだろ?」


「そりゃなんとなく分かるけど」


「それより今何時?まさかもう昼過ぎとかかな?」


「まだ朝だよ、キミが寂しがってると思って早く戻ったのさ。って家まで徒歩15分位だからぶっちゃけ帰省したって程の感覚は無いんだけどね」


「寂しかったから助かるぜ」


「ほら、だから私の家に居れば良かったのに。ほぼ近所なんだから皆の家と違って気軽にで良かったんだよ」


「そこまででもないから大丈夫だよ」


「ろくに寝れてないんでしょ?ここに居るから落ち着いたならちょっと寝るといいさ。それとも本格的に体調が悪いとかだったら…お医者さん呼ぼうか?メロニィがいつ帰って来るか分からないし」


「そういうのじゃ無いから大丈夫だよ、んじゃちょっと寝るわ。一応言っとくけど寝付いたら離れて大丈夫だからね」


「はいはい、ゆっくり寝てね」


 クリス様天使過ぎやしないか?ってクリスって実は超お人好しだからこんなもんだってのは本当は分かってるんだけど、まあここは甘えとこう






 落ち着いた俺はかなり深く寝てしまったがキリッと目が覚めたと思ったら…クリス様が手を握ったまま椅子に座って寝落ちしていた。

 この辺がもうクリスって感じだ



「おいクリス、もう大丈夫たぜ」


「ふぇ!?あ、ヤバい!寝ちゃってたよ!でも良かった、みーくんもう大丈夫そうだね。気付いてないと思うけどかなりヤバそうだったんだよ?顔色とか雰囲気とか。でも良かったよ、って今何時?私もついぐっすり寝ちゃったよ」


「昼前だね。んじゃお礼にお昼作るよ、何がいい?」


「うわーい、それじゃあ…肉の何かがいいな!」


「よし、作るか」


「それにしてもキミの横で寝落ちしたのは久しぶりだね、今となっては懐かしいまであるよ」


「あの時はまさか一緒の家に住むとは思ってもなかったよな」


「今にして思うと結構恥ずかしい格好させられたよね」


「またあの格好してもらおうかしら」


「バカ!回復してすぐ何言ってるのさ?そんな事より早くご飯作ってよね!」



 そして昼飯を作ろうとしたら、調子悪そうだった人にやらせるもんじゃないから私が作ると言い出したので一緒に作ってるとメロニィとまゆもが同じくらいに帰って来たので皆で昼飯を食べる事になりました。


 俺の不調云々の話をされるかと思ったら何も言わないクリスって良い子ちゃんだなぁなんて思いつついつもの日常に戻りました



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