雨の午後はヤバくて 7
食事を終えてメロニィがかえでさんに突っかかって、それをメロニィの髪型を弄ってやり返すかえでさん。
さらにそんなかえでさんの髪を弄って遊び出すせいらさんと、微笑ましい午後の光景にまゆもと謎のゲームをやってる俺、するとかえでさんが話し掛けてきた
「そう言えばみー、年越しライブの話がしたいから近いうち来てって皆が言ってたよ」
なんて?
「なんだお前、年越しライブやる予定だったのか?」
いや聞いてない
「そう言えばおじいさんが楽しみにしてたよ」
「もう年末迄そんな時間がないからそろそろ来ないとって困ってたよ」
「今度は何の曲やるなのか!?」
「落ち着け!とりあえずせいらさんの言葉が一番正しいので400ポイント贈呈、じゃなくて俺聞いてないぜ?そんな話。確かに俺の居た世界では年越しライブがあるとか話はしたけど…やるなんて…言ったっけ?いや、やるとまでは言ってない」
「ええー?そうなの?アンタらのバンドメンバーっぽい連中は練習頑張ってたよ」
「みーさん、よろしければまた照明やりますよ!」
さてどうしたものか
「それじゃあヤマト村行こっか、可能なら連れてくるように言われてたからさ。ちょっとみー借りるね」
という事でやってまいりましたヤマト村、雪景色がこれまた綺麗です。
かえでさんとゆっくりお手々でも繋いで散歩したい所たけど呼ばれてる内容が内容なのでそんな悠長にはしてられないな。
そしてバンドメンバーになる者達が集って会合が始まった
「ハルさんがピアノじゃないんすか?」
「ちょっとやってみて思ったんだけど、サポートなら良いけどバンドは私向きじゃない事に気付いたわ」
何でもかなり良い耳の持ち主であるハルさんにとっては本格的に参戦するとなると音の質や音程諸々が思った以上に気になってしまうらしい。
その辺をそこまで気にしてやるタイプの音楽ではないというのを理解してるからこそ深入りするべきでは無いとの判断だそうだ、その辺の距離の測り方は流石だと思う。
普通なら揉めそうな話だし聞いてみるとハルさんの考えが如何に良い判断かよく分かる。
だって音程とか音質、調律とでも言うのか?だけなら日本の音楽を知る俺から見たらピンと来るけど倍音とか空気の質、反響に振動、位置とか魔力の流れ等話が出た瞬間俺だけでなく皆、ごめんなさいってなったもの
「私が各地で歌を頼まれる時、殆どがアカペラな理由もそういう所なのよ、私自身楽器をやっても私の理想通りってならない中で、日々やってるわけだからね」
流石ヤマトの者だ。とんでもねーな
「いや、むしろハルさんの判断が賢明で良かったです。俺の居た世界のバンドっていうのは大体揉めたり音楽性の違いとか色んな問題を抱えて解散するってのが殆んどですからね」
「ふっ、私はそこまでおこちゃまじゃ無いのよ」
「ハルさん素敵っすわぁ〜今度歌聴かせて下さいね!」
「そ、そんな褒めても何も出ないわよ!し、仕方ないわね!」
実は同年代位のハルさんはやや不気味な雰囲気を醸し出してるけど俺からしたら可愛いもんだったりする
「じゃあハルさんは相談役という事で…改めてバンドメンバーとパートはこんな感じで固まったという事で、ボーカルは?」
「みーが合流する場合はみーって話でもあったよね」
「実はね…」
地味に驚きな話ではあったが何とこのバンドのギターボーカルはかえでさん(仮)だそうです
「ギターが出来て歌が上手い人って事でかえでさんが仮でメンバーになったんだよ」
「ははは、実はそうなんだよね。ゆっこに改めて声掛けられてさ、とりあえず仮って事でね」
「私の中ではもう仮じゃないけどね」
かえでさんギター出来たのか!?知らんかった
「かえでの歌唱力は私が保証するわよ。昔はせいらとかえでには歌教えた時もあったんだから…アンタら2人は今からでも歌手になればいいのに」
ハルさんがそこまで推すほど上手いのか。確かにまゆもも謎の変な歌ばっか歌うけど歌自体は上手いし、その血筋の天才肌のせいらさんが上手いのも納得だ。
ってかせいらさんもそんな時があったんだな
語るより一度やる方が早いと言う事で俺が夏にやったライブの曲から各々お気に入りの一曲というのをハルさんに楽譜におこしてもらい練習してたという事で聴いてみました。
その辺までは前回の話し合いで俺も軽くは聞いてたのでその曲達のざっくりとしたイントロとか、原曲はこんな感じとかの話はしてた訳だけど…
流石というか末恐ろしいというか、全く違う部分もあるにはあるがかなりちゃんと雰囲気を抑えられているので遜色のないものになっていた。
コイツ等基本的にセンスが化け物なんだな、あんな打ち合わせだけでここまで寄せて来るか
「参りました、もうボクの入る隙間はないです」
そう、ここまで来るともうアレですよ、俺に何しろと?って話です
「ええ!?何言ってるんですか!?でも良かったぁ!それじゃあ年越しライブはどんな感じでやろうかなぁ!?」
目をキラキラさせながら楽しそうに話すてと君。ごめんよ、もうボクでは太刀打ち出来ないです
「えっと…多分もうそのままかえでさんをボーカルに据えて突っ走った方が良いと思うのよ」
「「ええー!?」」
「ちょっと待ってよ!私はまだあくまで仮だからね?嫌とかじゃないけど…みーがやる方が良いよぅ」
そんなふうに言われるとすごく嬉しい訳ですが…
「それは非常に嬉しい事なのですが…ハルさんならもう気付いてると思うけど、俺って皆さんほど音楽の才覚に富んでるわけでは無いんですよねぇ。だからもう手に負えないレベルなんすよ」
「その人の持ち味とかあるから一概に悪いとかは無いけどみーの言い分も最もな部分はあるわね」
流石ハルさん、その辺の分析も冷静だ
「でもぉ……」
「んじゃ今回はwithで行こう」
「うぃず?」
軽く説明して置いた。簡単に言うとバックバンドだ
「バンド名は何にするのかな?」
考えてなかった様でこの日の議論の半分はバンド名の話し合いになりました
「どんぐりはちょっと弱くない?」
「殺人鬼集団よりはマシかと思うよ」
「牛丼は却下ね」
「なんでだよぉ!?」
「ただの好きな食べ物だろーが!」
「ねぇみー、何がいいと思う?」
頼むから俺に振らないでくれ
「松ぼっくりにする?」
「だったらどんぐりの方が…」
ヤマトの民はネーミングセンスを何処かに置き去ったらしい
「連続爆発常習団はどうだ?」
何故犯罪なんだよ?
「それじゃあさ、それじゃあ肩叩き券の会なんてどう?」
それじゃあの要素が分からん。てと君でこれじゃあ何がどうなることやら
「フナムシとかどうかな?」
かえでさん!?
「ハルさんはなんかありますか?」
この中じゃ比較的マシなどんぐりのゆっこさんがハルさんに聞いてくれた。果たしてどうなるか…
「そうね…ラティーシアなんてどうかしら?砂漠の国の綺麗な花で、花言葉は新しい世界だったから悪くないんじゃない」
「「うーん…」」
え!?なんで皆息を合わせたかのように微妙そうな反応なの?議論の余地皆無だぜ!?圧倒的に1番いいヤツ来たじゃねーか!
「分かってるわよ、ダサいわよね」
「そ、そんな事ないですけどね」
「うんうん、ちょっと刺さらないかなぁ…っていうか…」
なんで言った本人までダサいと思ってるんだ!?全然、どう下に見てもダサくは無いから!!由来も花言葉も素敵だし好みはあれどそういう観点から見てもダサいという見方だけは最も縁遠い、良いネーミングじゃねーか
「いやぁ、むしろいいと思うんですけどねぇ……」
異世界から来たボクが出来る精一杯の抵抗をしてみた
「ふふ、優しいのね。大丈夫、気遣いは不要よ」
「みーさん気遣いが出来て偉いですよ」
「「うふふ、あはは」」
何この優しい世界みたいな空気
「それよりみーはまだ何も言ってないじゃないかぁ!みーもなんか言いなよ」
くっ、俺に回ってきてしまった……どうする?びっくり過ぎてなんも考えてないよ。
とりあえず俺の好きなバンド名…いや、それはちょっとよろしくない気がするので…仄かに入る程度にとすると…
「ヤマト星」
「やまとぼしぃ??」
「う、うむ。ヤマトの星って事で…特に意味は無いです」
「ヤマトの星ねぇ……うーん…」
「かっこいいかはさておき…そういう視点は悪くない、むしろ良い!」
「みーさんがバンドに入らないって場合、誰がどう見てもかえでさんがリーダーな訳だから…かえでさんの必殺技の隕石とも合うし」
「みーめ、私が星好きって知ってたなぁ!そんなの入れられたら、そんな名前にされたら…良いってなっちゃうじゃんかよぉ!!」
いやもう何でもいいです。ボクの好きなバントの要素を少し入れただけなんて今さら言えないし
「流石みーさん!やはり先駆者は違うよぉ!」
てと君が純真無垢な目で俺に訴えかけて来た。
気のせいであって欲しいけど俺ってなんか中性的な見た目の男の子にモテてる気がする。
コルト君もそうだしてと君もそんな感じが見受けられるんだよね。
そういうのは中性的とかじゃなく女の子にして欲しいとか思ってしまうよ
結局バンド名はヤマト星に決定したようで今度はセトリの話になった訳だが、ほぼ完璧にバンドとして成り立ってる以上、音の弱さからアコギ弾き語りの俺のライブは音がショボくて見劣りしてしまうという事で、
俺の弾き語りライブが20曲位で前座に、そしてメインを5曲このバンドメンバーでやるという事で話がまとまった。
ここからはこだわりの話なんだけど、5曲全部前回やった曲ってなるとおそらくヤマト村の観客は2曲目位から前回のライブの曲の何かだって分かっちゃうと思うので、1.2曲程、割と簡単な部類の曲をこの場で披露して教えておいて、その曲も入れてなるべくセトリが読まれないように工夫しました。
流石ヤマト村の者とあってその話をしたら皆ノリ気になってくれた。
とりあえず俺も練習しておかないとだな




