雨の午後はヤバくて 5
「帰れる方法があるのか?」
「これは正直に言うけど確かでは無いわね。でも結構現実的な確率で可能ではあるとだけ言っておくわ」
「分からねぇな、何故アンタらがそんな事出来るんだよ?」
駄目だ…思ったより動揺してる。落ち着け俺、今の生活は悪くないし一度死んでるから正直それは無理があると完全に割り切ってた所にこんな話が来るとちょっと感情が整理出来ないでいる。
なんて思えばいいかも分からん、だがあたふたしてたら向こうのペースに持ってかれるぞ、嘘というか眉唾の可能性も高いんだ、落ち着くのです。
こうなったらとことんコイツから情報を抜き取るべきだ
「仕組みは分からないけど全然違う世界の死者が転生してこっちに来るなんて事例があるなら調べもするわよ。どんなルートなのかとかね」
そういやキューちゃんが魔界でなら繋がってるとか言ってたな。
多分そのクチだろうが…ここはちょっと攻めてみるか
「広大な魔界を何千年と生きてる魔族からすればアタリを付けるのも不可能では無いってか?」
「は?……アンタ……何処でそれを?」
よし、ちょっと驚かせた!ヤラレっぱなしはゴメンだぜ
「くくく、楽園を抜け出してまでこっちで何やってるかは知らないが俺の居た世界に戻れるかもって話だけは興味あるな、話してもらおうか」
「貴様…ただの転生者じゃないのか?まさか天界の者か!?あり得る…そのバカみたいなパワー……まさか今日ここに私が来たのも知らない間に私を既に操ってるって訳!?」
なんか勝手に色々誤解してくれてるっぽいけど…天界なんてあるの?まあ魔界があるならあるのか?ちょっと聞いてみたい気もするけどここで聞いたら勝手に勘違いしてるって気付いちゃうから意味深に対応して遊んでやるか
「汝に問う、我々に寝返る気はないか?」
「くっ…この魔王軍最古参で最強の魔法使いで最高の美貌を誇るこの私を欲しがるのは仕方ない事とは言え……抜かったわ!おかしいと思ったのよ、ライオウもバスティー君もやられるなんて…てかアンタら人間で言う所の六大将軍の二角が落とされてる時点でただの人間じゃないと見るべきだったわ!!」
いやぁ、アンタ等の恐れてるヤマト村の人ならやれたと思うよ?でもなんか話に乗ってくれてるからもう少し続けてみよう
「九大将軍の間違いだろ?」
「!!?くっ……全て……お見通しって訳ね……私を操ってこんな所に誘き寄せて…どうする気?ハッキリ言ってこの状況じゃあ魔法使いの私に勝ち目は無いのは分かってるからある程度は話飲むけど……これでも一応魔王軍将軍の最古参なのよ!!完全に裏切る真似するくらいなら死を選ぶわよ!!」
このお方はかなり思い込みが激しいんだな、勝手に盛り上がってしまっておられる。
多分というか確実にボクは一般的転生者の域を超えてないですよ?そんな特殊な何かがあるってんなら多分もう魔王軍攻略終わってると思うし。
操って呼び出せるとか出来るならライオウ倒した時点で順番に皆さんお呼びして滅してるし、面白そうだからヤマト村の皆に話して今日のゲストは魔王さんですぅ!とか言って遊ぶもの。
もう少しおちょくってみるか
「そういやリヴァ様の所にディザベロちゃんは挨拶に行ったりはしないのかえ?」
「……リヴァ様……?誰よそれ?」
「リヴァイアサン様だよ。ほら、仔猫ちゃんがよく挨拶に行ってた」
「!!?……た、たまに……行って……ます」
あら?そんな反応になるのか?敬語になっちゃったよ、てか震えてるな。
リヴァ様の話はそれ程だったか
「んじゃ質問ね、キミの口からキミ達の目的を聞きたいもんだね。余を呼び出して変態だなんだと言ったキミの口からね」
「ひぃ!?そ、それは申し訳……無いです。その……それは……その前にアンタ……あなた様の正体をお聞かせ願えますか?」
「ボクはしがない転生者だよ、たまたま海底に住むリヴァイアサン様とあんな事やこんな事した事があるだけの、ね。いやぁ、今思い出してもリヴァ様の太ももやお胸の感触は素晴らしかったなぁ」
こんな事を聞いたことがある。凄腕の詐欺師程嘘は言わないと。
俺も嘘は言っていない。
後は勝手に勘違いしてくれればいいね
「あ、あのお方とそんな事してるのか!?それに仔猫ってリヴァイアサン…様がライオウを呼ぶ時の呼称、そんなの知ってるアンタ…様がただの転生者な訳無いでしょ!!神獣とも繋がりのあるところを見ると神の類なのか?」
「逆に聞きたいんだけど、キミ達から見たボクは天界?とでも言うのか?天界の者とか思っちゃってるの?」
「そ、その辺の事は知らないわ…です。ただ、魔界があるなら天界だってあるでしょうし、転生させてコチラに人を寄越して声まで聞かせてるならそういった天使や神が存在してるのかと推察はしてるくらいなもの…ですよ。悪魔が居るわけだから天使も居るでしょうし」
なんだ、その辺は俺と似たような認識か。となるとこの辺の事は掘っても仕方なさそうだからやはりコイツ等の目的を聞き出すとするか
「分かった。んじゃ質問の続きだよ、目的は?」
「くっ……しがない転生者と言うのなら……教えられません」
「ほう?」
ここでアエテックスパワーを静かに発動して無言で脅してやろう
「ひぃぃ!!?あの…その…世界、征服ですぅ……人類皆滅ぼして…、あ、神獣様やヤマト村とか一部の地域なんかは勿論除外した上での話です」
「その割にはどちらかと言うと人類繁栄に貢献してるまであるかのような動きしてるよね?俺の居た世界なんかも争いは絶えなかったけどこの世界はアンタ等が共通の敵で居るおかげでバランス取れてるみたいな見方されてたりする位だし」
ディザベロ様の目付きが一気に変わったけどなんか失言だったか?
「アンタ……ハメたわね?」
「ん?何の事かな?」
「ふざけんじゃないわよ!!何処までなの!?何処からが嘘なの!?ハッキリ言いなさい!!終いにゃ泣くわよ!!」
やべぇ、本当に半泣き状態だ…何処でかは分からんがハッタリだというのはバレたようだ
「アンタの勘違いに乗りはしたのは事実だけど、言っとくけど嘘は言ってないぜ。リヴァ様とは一夜を共にして語り合ったた中で魔王とかライオウが挨拶に来るなんて話を聞いただけだし、俺からは一言も天界とか神の使いとかそんな事言ってないどころかそんな人達が居るか気になったから聞いてみた訳だしぃ」
「このクソヤローがぁ!!ハァハァ……アレね、一周回って落ち着いて来たからちょっとピンときたわ。考えてみればアンタの強さならそうだったのよ。アンタ、キャロットと会った事あるわね?」
キューちゃんか、当然ながらこの人もキューちゃんと顔見知りか
「キューちゃんか、よく知ってんな」
「合点がいったわ!確かにあのクソうざいおしゃべり吸血鬼と話をしてるなら今の会話位の情報は知ってておかしくないわね!ふざけやがって、何が汝だ!何が余だ!お前なんかクソで充分だわ!!」
「これこれ、クソとか言うんじゃないですよ。べっぴんさんが台無しですぜ」
「うっさいわ!!この…アホーー!!!バツとしてアッチの店のケーキ奢りなさいよね!もうアンタの勧誘は無しだ!こうなりゃとことん付き合わせてやるわよ!!女を騙して恥までかかせたんだからそれくらいはしなさいよね!」
全くもって奢ってやる義理なんかは無いのだが…この人色々と面白いので言われるがままに付き合ってやる事にした
「あんらねぇ、バスティー君はないわ!バスティー君はやっちゃいかんろよ、あの子は一番真面目で常識人らったのにぃ、おかげで大変よぉ。ライオウのバカも消えたのもあってまあ他のアホどもはないわ!わらしの友達は別らけど」
「そうだねそうだね、ごめんねぇ。でも仕方ないだろぉ?こっちはこっちで立場ってもんがあるんだから」
「どっちもアンタらが勝手に首突っ込んで来たんだろーが!!そのくらいしらべれるんやからねぇ!大体あのクソ魔王、いくら私が優秀で優しくて美人で偉大で美人だからって頼り過ぎなのよ!!この前なんて…あ、もしよろしければ大魔王ポジに格上げしますよ?なんて言って来る始末だし。いらねぇわ、そんなもん!!バッカじゃないの!!」
色々苦労してるんだというのが分かった。てか魔王威厳なさそうだな。
そしてそろそろツッコミたいんだが…このお方酒弱すぎ。2杯でコレかよ
そんなこんなでひたすら愚痴を聞かされた俺はちびちびと酒を飲みながら、有益になる情報は何もねーななんて思いながらようやく解放される事になった。
酔っ払ってるとは言えコチラに有益になりそうな情報は出さない所を見るとガードはかなり固い人だと言うのが分かる。
何より隣に座って距離は近めたけどスキンシップは一切無い所がそのガードの固さを分からせられる感じです。
出会って間もないクリスですら多少スキンシップはあったのに
「今日は休戦って事で飲み明かしたけど…」
「2杯で飲み明かしたとか言うな」
「うるさいわね!私は酒弱いのよ!」
「明日からまた敵だからね!とは言ってもコッチからわざわざアンタと敵対する理由は然程ないって事と、お互い不可侵条約なら組めるって事は覚えておく事ね」
「はいはい、それは覚えておきますよ、鵜呑みにはしないけど。どーせアレだろ?もし俺が今日アンタに手を出してたらなんかトラップとかあったんだろうし」
「ふっ、お見通しって訳ね。意外と賢いってのは覚えておいてあげるわよ」
マジかよ!?ちょっとカマかけてみただけだったが本当にあったのか。
良かったぁ〜多少は過ったんだよ、このまま退治してやろうかなんて事も
「くくく、また勝手に騙されやがったな。そこまで考えてねーですよ」
「くっ!!この…クソヤローが!!最後まで騙しやがって!いつかギャフンと言わせてやるんだからね!」
「楽しみにしてますよ、んじゃまた」
「ふんっ!それと、ごちそうさま!!奢ってくれた事には感謝するわ」
「女に払わせるな、だろ?俺は折半派だが太ももに免じてな」
「この変態が!とっとと帰れ!」
魔石を使って即離脱と思ったけど転身を使えないというのを知られないほうが良いかと思った俺はそのまま歩いてその場を離れてから魔石で帰宅しました




