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雨の午後はヤバくて 4


 拝啓、みーです。拝啓の意味は知りませんがとりあえず言ってみました。

 コチラの世界も日本と似たようなもので冬の空は遠くてスッキリしてて綺麗です、今朝も気持ちの良い天気でした。

 空気が断然綺麗だし日本を感じるような景色こそヤマト村とかじゃないと見掛けないけどそれでも景観も悪くないし快晴だと気持ちのいいものです。

 魔法という便利なものがありまして、私な結界魔法が使えるので寒さをある程度和らげる術があるから日本のあの無駄に寒い冬より快適かも知れません。

 もっとも結界魔法で寒さを和らげる方法に気付いたのは昨日の夜ですが。


 昨日は色々あったけど無事全てが収まってくれたので良しとします、本当色々ありました。秘奥義が超強いと気付いた事なんかもう忘れてる位目まぐるしかった。

 でも4千万は痛かったけどある程度の金を出しておけばなんか後から拗れたりした場合でも話位は出来ると思うから良しとしましょう。



 そして平和な日常が帰ってきた…と思ってました。


 昼過ぎの現在、天気は雨です 

 天気が変わったのではありません



「アンタ、なんで王都の事全然詳しくないのよ?こういうのは普通男がエスコートするもんでしょ?全く…まあいいわ。この店は私のお気に入りだし久しぶりだから許してあげる」


 ボクは今王都に居ます。


 このお方は何を好き勝手言ってるのだろうか?てか色々ツッコミ所満載でまた頭が追いつきません…俺ってトラブルメーカーだったっけ?なんなのこれ?


「いや、そっちが勝手に来て勝手にボクを連れ回してるのでは…」


 冬の生態系を観察したいと思って1人で街の外で蠢いてたら捕獲されました。

 因みに生態系とか言ってると頭良さそうに見えますが全然そんな訳ではなく単純に気になったからです。  

 この世界にもカマキリとかバッタっぽいのが居て、秋の深くでも稀に見掛けたりしたのでふと思い立っただけの話です


「そんな事言ってるからモテないのよ…って許嫁さんが居たのよね?まあ人様の恋路にとやかく言うつもりは無いけど」


 本当何これ?とりあえず抵抗してみたけどこのお方はどうやらかなりおワガママなようで…ってそういう事でもないんだろうけど、何の用かな?俺の目の前に来るって結構な事な気がするんだよね


「なんか話があるんすよね?なので素直に付き合いましたけど…何の用っすか?太ももさん」


「太もも言うな!!ディザベロ様だ!でもまあ悔しいけどアンタは強いから様までは付けなくても良いわよ!ありがたく思いなさい」


 何ていうか嫌いじゃないんだよなぁ、この魔族さん。

 どっか優しいというか強気になれないこの感じ。出来ればこの場で殺し合いはしたくない。

 それに今どうやってるか知らないけど見た目がほぼ人間だから戦闘になったら俺が酷いヤツみたいな見方される可能性大だし


「ボクは何を付き合わされてるのだろうか?」


「アンタねぇ!こんな美人が誘ってやったんだから少しは喜びなさいよ!」


「でも太ももじゃないしぃ」


 そう、この人今日はピチッとしたGパンのようなものに白いセーターにジャケットというカジュアルな格好なのだが、この世界に来て多少なりファッションを目の当たりにしたから分かるけどこの人のこの格好は間違いなくラフ着だ、下手すると家着レベル。

 上着だけちょっとそれなりみたいな感じで来て最低限取り繕ってるのが分かる。

 魔王軍将軍がファッションとか気にするか分からんけど明らかに手抜きで来といて誘ったとかは流石にコチラを下に見すぎ


「この変態め!お前なんか家着で充分だ!」


 やっぱりそうだった。別にいいけど…そろそろ帰るか。

 今日はちゃんと直帰出来る魔石持ってるから帰れるのよ


「んじゃごちそうさまでした。また何か縁があったら」


「ちょ、ちょっと待ちなさいよ!話はまだ済んでないって、何私に払わせようとしてんのよ!?女に払わせる気!?いえ、別に男が払えとまでは言わないけどこういうのは自分の分くらい自分で払いなさいよ!」


 だからなんで所々悪い子じゃないのだろうか?


「じゃあこれでいいっすよね。では」


「ち、違うわ!!なんなら私が持つから少しは話をしようという気概を見せなさいよ。もう!仕方ないわね!ちょっと待ってなさい、着替えてくるわ」


 何言ってるのこの人?もしかして天然?本気でスカートじゃないから帰ろうとしてると思ったのか?




 20分程待つとディザベロさんはミニスカでお洒落さんになって戻って来た。

 だからなんだって話な訳だけどこの辺はちゃんと誤解されないよう言っておかないとな!服装とか以前に魔王軍が何の用だって話ですからね



「いやぁ、ディザベロ様最高ですね!あ、コレがお好きだったんですよね?遠慮なく頼んで下さい」


「アンタ…チョロすぎない?許嫁さんが泣くわよ?」


「真面目な話、勝手に言われてるだけでまだなんの了承もしてないですからお気になさらず」


「あらそうなの?それじゃあ無理矢理連れて来ちゃったけど気にする事ないわね」


 まさかのそれなりに遠慮してた!?実は超いい人なんじゃないのか?魔王軍ってもしかして悪人じゃないのか?しかも無理矢理と言ってるけどちゃんと、ちょっと面貸しなさいよ?、って聞いてきてるので最低限はマナーを守ってるんだよね


「ディザベロ様はそんなお御足してるだけあってさぞモテるんじゃないすか?」


「な、何言ってるのよ!?私位になるとモテるというより敬意を払われるもんなのよ。もっとも、不相応にも私に変な思いを抱いてる男達の数は星の数ほど居るでしょうけどね」


「胸はそうでもないけどそれはそれでまた…」


「はぁ!!?アンタ舐めてんの!?それにデカけりゃいいってもんでも無いわよ!!マーロなんかは肩こりが酷いとか、変な目で見られて嫌とかで苦労してるんだから!こんな脂肪の塊にあんまり夢は見ない事ね、フン!」


「夢を見て何が悪い!!!」


「そんな所で熱くなんな!!私から来といてなんだけど熱くなるならせめて将軍たる私が直接来た事で熱くなんなさいよ!!……まあ、私としてはその方が良いけど」


 あ、ちゃんとかなりおかしな状況を作り出してる自覚はあるんすね


「んで話ってなんすかね?」


「この男…本当遠慮なく太ももばっか見てるわね。ある意味恐ろしいわ」


 いやぁ、この世界ってあんまり露骨にエロい服装を見かけないので凄く目の保養になるんですよ


「それで、要件は、何ですか?」


「ジロジロ見ながら聞くな!それじゃあ本題でね。アンタ、魔王軍に来ない?」



 思いもよらない言葉につい噴き出してしまった。ディザベロさんに掛からなくて良かった



「汚いわねぇ。で、どう?この私が誘ってやってるんだから悪くないでしょ?」


「謹んでお断り致します」


「ふふ、まあそうよね。ここで、はい、なんて軽く入られても困るものがあるしね」


 クソっやっちまった!一瞬過ったんだよ、あえて即答で了承するってパターンも。

 だが冗談はさておき、コレはあまりふざけてらんないな


「なんで俺を勧誘するのさ?恨まれこそするけど勧誘される事は無いと思うんだが。ライオウやバスティーと対峙した身からするとこんな見え透いた話で俺をハメようって程馬鹿な連中でもないだろ?」


「そ、そうね!そこまで馬鹿なヤツは…居ない筈よ」


 コイツ…さてはワンチャンハメる気だったな。ちょっと脅してみるか?と、いうことでアエテックスパワーを静かに大きく発動させつつ、ちょっとマジトーンで話しかけてみようか


「余は寛大な男、だがそもそもコチラの命を狙って来たことのある組織の者だという事を忘れてはならぬぞよ?発言一つで次の瞬間首をはねられても文句は無いんだからな」


「ちょ、ちょちょ、タンマ!落ち着きなさいよ!それとも何?無抵抗のか弱い美女をその化け物じみたパワーでいたぶる気!?」


「でも俺をハメ殺す気も無いわけじゃなかったろ?」


「そそそ、そんな事無いわよ……いえ、正直可能なら…とにかく!考えてないと言ったら嘘になるけどちゃんと話を聞いてよ!!休みの日まで命の危機とかごめんなのよ!!」


 コイツ休みだったのか?とすると何を思って俺の所来たんだ?


「見えてこないなぁ、アンタ何がしたいんだ?」


「ちゃんと話すからそのパワーやめなさいよ!余所見した瞬間殺されるレベルの状態じゃまともに話せないでしょ!ここはカフェよ?そういうのちゃんと考えなさいよ!!これだから脳筋バカは」


「待て、俺はバカだとしても脳筋ではないぞ」


「私から見たら脳筋よ!!もういいわ、ちゃんと話すわよ。まず、魔王軍に入れといっても別に何もしなくていいのよ、邪魔さえしなければ。なんなら多少金だって払うし。逆にアンタになら将軍の席をあげてもいいわよ?強さはもう理解してるし」


「理屈の上でだと、一生を程々に遊んで暮らせる金わくれるってんなら、大人しく生きて行くって約束する事は出来なくも無い訳だが」


 せっかくだから情報を得たいので変に否定はせず出方を見てみようと思う。

 それにわざわざ敵対する必要無いという意見は一理あると言えばあるのかな?なんて考えたらマジにならざる得ない言葉が飛び出してきた



「お願いします、魔王を倒して下さい」

「!!!?」



 かなり驚いてしまった。それはこの世界に来る時に聞いた言葉だ。何故それを?



「………アンタ、それなんだか知ってんのか?」


「ふふ、数千年もただ戦ってるだけだと思った?アンタ達転生者が私達と戦う理由なんてそれだけでしょ?」



 ごもっとな意見だ。それに俺はちょっと浅はかだったな、確かに数千年以上何も調べない訳がないんだから転生者なんて訳の分からない敵対者の事位調べるだろうよ。

 てことはコイツらは結構な事知ってると見たほうがいいのかもな。

 なる程…金ね、確かにそうなるか。何も転生者をとっ捕まえて脅すだけがやり方とは限らない、金渡して平和に暮らすとか白服から逃がすとかやって貰えるなら魔王軍に靡く転生者が過去に居たとしてもおかしくはないからな


「逆に俺が転生者の云々を殆ど知らないから…時系列が一定でない事を加味すると或いは俺が知りうる俺の居た世界の話なんかはアンタ達は全部知っててもおかしくないまである訳だ」


「あら?意外と賢いのね。そうよ、なら話は早そうね。とは言っても流石に現地民程詳しくないから魔王軍に入ってくれたらそんな話は聞かせて貰うかも知れないわね。単純に興味深いって理由だから畏まらないでもいいし」


「そうだな、確かに魔王軍と敵対する理由がそんな言葉だけだから、あの時の言葉に逆らったとしても特に問題が無いようであればそっちにつくのも悪くはないってなるのは分かるけど…俺にとってはそっちにつく理由はちょっと弱過ぎるな」


 なんやかんやと出会った人達には恵まれてるし、家も買ったし金もそれなりにあるから魔王軍につく理由は無いんです


「そうね、それも調査済よ。アンタは成功を収めてるものね、女に囲まれて生活もしてるようだし」


「そう言われるとなんか恥ずかしいです。確かに女に囲まれてもいるけど…いずれにせよ俺の勧誘は諦めるんだな」


「そうね、じゃあお互い不干渉ってのはどう?勿論冒険者として立ち回る以上干渉する事もあるでしょうけど上手い事立ち回って小競り合い止まりにするようにしてくれればいいわ。勿論お礼にお金はあげるわよ」


 いきなりの展開で頭が追いついてなかったけど今、一番の疑問が追い付いてきた。単刀直入に聞くか


「このやり取りでずっとモヤモヤ引っ掛かってたんだけどさ、アンタらの根本的な目的ってなんだ?」


「それは言えないわね」


「なるほど、それは最終目的はさておき、少なくとも過程でも世間一般にイメージされてるような人類滅亡とは異なると?」


「ふん…なんとでも思うがいいわ!」


 当たらずとも遠からずといったところか、明らかに態度が変わった


「まだこっちの世界に来て1年も経ってない俺には全てにおいて情報が足らないとこあるからそっちに寄せて考えたとしても素直に協力するのは無理があるんだよねぇ」


 セーレ国のお偉いさんとかキルドの連中とか諸々を見ると必ずしも人類の味方って言い切りたくない部分があるのは事実なんだけどね。

 だがこの後のディザベロの言葉で流石の俺も絶句する事になる



「太ももばっか見ててチョロそうに思ったけど誤解だったようね、いいわ。この程度の話でコチラに靡くとは思ってなかったし。それじゃあみーさん、みーさんであってるわよね?アナタ……元居た世界に帰れるかもって言ったらどうする?」



 今日は心臓に悪い日だな、驚かされすぎちゃってるよ。

 ってスゲー事言われてる気がします


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