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意外と色濃い赤の色


「えっと、私の事知ってるんですか?」


「敬語は要らない」


思い切って聞いてみたがすぐさま敬語を注意された。出鼻を挫かれた様な気分だ。て言うか何故に敬語をやめろと?


「俺とお前は同等、同じだからな」


「…同じ?」


「俺はラトランドだ。ラトランド・ゲイカー。お前は桃乃三春。」


うん、ヤバい奴だった。

どうしよう、名前を知られている。


「ら、ラトランド…?」


「そうだ、…そう呼べば良い。」


暑かったはずの気温も何だか涼しくなった気がする。主にこの男の所為で。威圧感に強面な顔。まるで洋画に出て来る悪役そのものだ。


「…なんで私の事、」


知ってるの、と言い終わる前に携帯が鳴った。どうやら黄川からの連絡みたいだ。


「ごめんなさい、ちょっと電話…」


そう言いながら通話ボタンを押して気持ち程度ラトランドから離れた。


「桃乃ちゃん!もう、─んだよ!ボクにはにがおも─あ、ごめんなさい!」


「は?」


周りの音が煩くて上手く聞き取れない。最後の方なんか誰かに謝っていたような気がする。意味分からん。


「黄川、聞こえない!…何て言った?」


「ライブハウスにね、黒ちゃんがいるって言われて…!行ったんだよ!そしたら、─って、俺の聖域荒らすなとか言われて…も、桃乃ちゃああああん」


ライブハウス?

黒澤はバンドでもやっているんだろうか。まあ、それで追い返されたと。と言うか本当に煩い。ガチャガチャと騒音が激しい。


「あー、もう、札束ちらつかせて黙らせれば?」


「moneyよりbusyだって!」


「問答無用で黙らせろ!」


すでに金を使おうとしていた黄川にも若干驚きだが、やはり横文字がイラつく。思わず大声を出してしまった。


「…じゃあ黒澤、黒澤は一応見つかったの?」


「見つかったけどずっと歌ってる…、練習みたい。」


何だか気落ちしている様だ。流石に疲れたのだろう。


「分かったよ、じゃあ私が…」


電話越しからガサガサと音が聞こえる。何か有ったんだろうか。


「黄川?」


「黄川じゃない、黒澤…、冥界より呼び出された使者…とでも言っておくか。オレの邪魔をしたいそうだな?」


更にヤバい奴が電話に出てきた。

覚えている。一番最初に会った時もかなりうざかったのを覚えている。うん、確かに覚えている。


「邪魔?」


「ああ、オレの邪魔をしようと黄川を寄越した。そうだろうnewface?」


「……ニューフェイスじゃなくてリーダーに昇格したんだけど」


「リーダー?リーダーは赤羽根…」


「何年前の話だよ」


コイツも裏切られてるクセにいまだにリーダーとか言っちゃう人か、と思わずため息を吐いた。


「…リーダーか…。新参者がリーダーとはなかなかに面白いが…今更何をするつもりなんだ?」


「今まであんたらが出来なかった事、まとめてやるつもりだけど。」


そう言い返すと、少しの間沈黙が続いた。何これ、私が何か言うべきなのか。


「…正義のヒーローは止めておくとしよう。」


「…何で。」


「オレには大事なものがある。バンドに音楽、客もみんな大事だ。正義のヒーローをやってるヒマはないんだ、newface」


「じゃあ赤羽根の頃はなんで─」


「アレはアイツの言葉に惹かれた。騙されていたとしても、newfaceの言葉よりも魂に届いたんだ。」


ブツ、と通話が切れる。思わず言葉が出ない。きっと不満げな表情でもしているだろうなと思う。

つまり今のはアレだ、たとえ騙されてても赤羽根より私は下に感じたんだろう。

静かに眉を寄せる。ああ、なんだろうこれ。


「……悔しいんだけど。」


確かに、…確かに私の言葉に重みなんかない。けれど悔しさ位あったっておかしくない。だけど黒澤は、それよりもバンドが大事。

少し考えるも、そうですかとしか言えない。言いようがない。


「…ああそうだ黄川…」


とりあえず黄川には帰って来て貰おうか。迎えに行った方が良いのかな。再び黄川に電話をかけるも、今度はなかなか出ない。ずっとコール音のままだ。


「黄川…?」


暫くすると留守番に繋がった。居留守とか言うレベルじゃないでしょ、これ。とりあえず迎えいる?とだけ吹き込んで電話を切った。


「随分と長かったな」


声につられて振り返るとラトランドがいた。やっぱり威圧感すごすぎる。


「ああ、まあ…」


「三春、氷菓が溶けているぞ。」


買ったアイスを見るとまさしくドロドロ。思わず顔をしかめると、何だか彼が微かに笑ったように見えた。


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