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超オカ研部の侵攻  作者: 津田ナオキ
第一章 侵攻開始
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第6話 侵攻開始6

「私はね、超能力者なの。そしてこの超オカルト研究部は、超能力者を探すために私が作ったの。で、あなた、谷口、リョウスケだったかしら、どっちで呼べば良いかしら、わかったわ、リョウスケ、あなたも超能力者よね。力の中身は詳しくはわからないけど、私にはわかるわ。隠さなくてもいい。、私は一度、まあこの話はいいわ。で、あなたも超能力者なんだから、超能力者探しに協力して欲しいのよ」

 そこまでの文量を話したわけではないはずだが、彼女は息を切らして息を整えた。

 俺はというと、一切話が掴めないでいた。

「ごめん、全部わからん」

「はぁ? だから、あなたも超能力者、でしょ、もう一度、説明しろってわけ?」

 彼女は肩で息をしながら、呆れ顔を浮かべる。

 その脆弱さでよく生きてこられたな。いや、もしかしたら自分より低いところにいるから酸素の濃度が? いや、その場合逆だしな。

「とりあえず言ってることはわかった。俺が超能力者で、あんたも超能力者で、超能力者を集めるために入れって。でも、そもそも俺は超能力者じゃない」

「いいえ、あなたには超能力があるわ」

「どんな?」

「私の知る限りでは、あなたは時間を巻き戻すのよ。……死ぬと」

 死ぬと。

 とてつもなくイチャモンをつけたくなるような条件だったが、恐ろしく納得している自分がいる。納得のできない理解があるのは知っているが、理解のできない納得があるのか、と感動してしまう。

 しかし、その全てが俺が今まで見てきたものを説明しているように感じるのだ。既視感も違和感も、痛みも何もかも。

 じゃあ。

「俺は死んだってことか?」

「それは知らないわ」

 彼女は続ける。

「何か、思い当たる節があるの?」

「ああ、それをわかってたんじゃないのか?」

 彼女は俺を誘う文句として、何か最近変わったことがないか、といった。だからてっきり知っているものかと思ったが、アズキはキョトンとしていた。

「私がああ言ったのは、超能力者には代償があるのよ。だから、何か変なことはない? って聞いたの」

「代償? わからないな。最近あるのは既視感とか違和感とか、ああ、頭痛とか全身の痛みのことか?」

「わからないけど、それは死んだ時の後遺症みたいなものじゃなくて? 例えば私だと、とっても影が薄いの」

 影が薄い? それは超能力のせいなのか?

「失礼ね、元から影は薄いわよ。でも、この力のせいで中学三年間、友人はおろか知り合いもほとんどいなかったのよ」

 友人がいない? それは超能力のせいなのか?

「叩くわよ」

 彼女の細い腕に目線を落とす。多分俺を叩けばそっちが折れると思う。

「じゃあとりあえず、俺の力のことは一旦置いとく。どのみちすぐわかるようなもんじゃなさそうだし、だからあんたの力を見せてくれよ。それで本当に超能力者なら、俺はこの部に入る」

「本当?」

 影の落ちる彼女の目の奥が輝くのを感じる。

 この既視感の謎が解けるならスッキリもするし、何よりも超能力という存在にワクワクするしな。男の子に限らず、全子供は一度は夢見たものだ。まあ、自分がそれを持っているとは夢にも思わなかったが。

「そうね、でもどうしようかしら」

 先ほどまで目を輝かせていた彼女は、もう一度目を向けると今度は何かを思案している。

「何、他人には見せづらい能力なのか?」

 超能力といえば、怪力、念能力、千里眼、いくつか思いつくが、見せづらいものか、なんだろう、エロいものとか?

「なんか、変なこと考えてるようだけど、そういうんじゃなくて、物理的に見せられないのよ。私の力は、透明化だから」

「ほお」

 それはまた王道な。透明化といえば、体が透けてっていうあれだが、中で見かける設定だと服は透過しないから全裸でやらないと意味がないっていう。

「やっぱりエロいやつじゃないか」

「だから違うって言ってるでしょ!」

 彼女は声を張り上げて。そして案の定むせてしまった。

 大きな声出させないでよ、と彼女は俺を睨みつける。

「私の透明化は、認識に作用するようなの。だから仮に、透明化したまま何か物を動かしても、あなたはそれを認識できないの」

「じゃあ、ここで透明化したらいいんじゃないか? そしたら流石に気づくだろ」

 俺の提案に、彼女は何故か顔を赤らめ、目を見開く。自分の体を抱きしめて、部室の対角、最大限に距離をとる。

「絶対に無理! やっぱり変なことするつもりなんじゃない! せっかくの友達がこんなのとか、最悪よ……」

「友達? 部員じゃなく?」

「……っゴホッゴホッ! と、とりあえず出ていって!」

 彼女はそれ以上何も言わず、俺を部屋から押し出すと力強く扉を閉めた。

 鍵のかかる場所は、入り口だけで、ここに鍵はない。だから覗こうと思えば覗けるが、やめておいた。

 それからしばらく、経った。体感では十分くらい。でも実際は三分がいいいころ。

 彼女は透過は認識に関わると言っていた。透明になっている間に彼女が起こした行動は認識できないそう。

じゃあどうやって証明するんだ? 透明化したまま何かを持っていて、それが浮いたように見えれば、服だけが浮遊とかしてれば透明化しているとわかるだろうが、そうでもないのに、見えないことを証明することは不可能だろう。

 俺は開(・)い(・)た(・)扉(・)の向こうをじっと見つめる。

 入っていいのだろうか。あいつは透明化にどれくらいかかるかなんて言ってなかった。どれくらいかかるんだ、マジシャンのように指を鳴らす間に済ませられるのか、それとも一時間も二時間もかかるものなのか。わからない、この場合の定石などないからだ。

 すると、彼女は開いた扉から姿を現した。

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