第12話 呪われた音楽室とサイキック少女2
それからしばらく考えてみたが、やはり憶測の域を出る考えはなかった。
その日も開かれた扉に部活動の終了を告げられる。
「東、帰るぞ」
そこには帰り支度を済ませた斎藤先生がいた。
彼女のご尊顔だけは、どんなにループを繰り返したとしても変わらないでいてほしいものだ。
「なんだ、今日も一段とキモい顔をしてるな」
「今日もあいからわらず容赦がないですね、っと、あれなんか先生匂い違いません?」
先生からは、いつもしていたあのバニラの匂いが漂ってこない。
ま、まさかループのせいであのにおいも……!
「よ、よく気づくなお前は」
斎藤先生は顔を引き攣らせながらも、どこか感心したような、どうとも取れない複雑な表情を見せる。
「ちょうど切らしてな、まだ買いに行けてないんだよ」
「なーんだ、安心しました。やっぱあの匂いがあってこそ、斎藤先生ですよ」
キモいな、と包み隠さず、オブラートに包むこともなく、あけっぴろげに言葉にする。
そういうところがたまらないんだよな、と俺はひとり頷き、それをアズキがDHA豊富そうな横目で見る。
「はあ、女性の細かな変化に気づけとはいうが、そういうのは私にではなく東にでも向けてやれ」
「え、私?」
俺も声こそ出さなかったが、同じような顔で二人見合う。
その二人を見て斎藤先生は「なんだ、喧嘩でもしたのか?」と、訝しむような顔をしたが、二人はそれに困惑の表情をむける。
しかしその疑問を散らかしたまま斎藤先生は、
「そんな関係は今にしか作れないんだから、ちゃんと仲直りしろよ」
とさらに散らかして去っていく。大人はいつだってそうだ、偉そうな顔して何かを教えた気になって、いつもこっちを困らせる。
「喧嘩、したかしら?」
「いや、違うと思うが」
残された二人の間の空気が、微かに揺れる。居心地はそこまで良くない。
「……とりあえず、何事も南川さんが来てからね」
「だ、だな。じゃあ今日は解散か」
「そうね」
二人は、机の上に放ったカバンを手にとる。アズキはノートをしまい、俺は何も出していないからそのまま肩に担ぐ。
今日は昨日の話で何もしなかったが、そろそろ何か活動した方がいいのだろうか。
オカルト新聞、悩み相談ねえ。
そもそも見たことないし、身近で聞いたこともない。
でも、超能力者も見たことも聞いたこともなかったしな。なんとかなるのか?
この先の活動に一抹の不安を抱きながら、俺は部室を後にした。




