封印
洞窟の前でバントウさんがゼニーさんを取り押さえていた。
テディさんとデッチさんが洞窟の前にたち、道を塞いでいる。
「ぼっちゃん申し訳ありません。」
そう言いながらバントウさんはゼニーさんを魔力の鎖で縛り上げる。
「いまだ!テディ!封印しろ!」
「了解!降魔霊鎖・魔素収監・封魔!」
魔法陣が浮かび上がり、ゼニーさんの中にいる精霊だけを縛り付ける。
ゼニーさんから精霊が離れる。
「なるほど、この術式なら確かに私の動きを封じられるな。」
精霊は余裕の表情をみせる。
「しかし、この術は、発動中、ずっと魔法力を消費するはずだ。」
テディさんの顔に焦りが見える。
しかし・・・
「降魔霊鎖・魔素収監・封魔!」
オレも、術式を重ね掛けする。
「二人でも魔力枯渇は時間の問題… 」
だが、精霊はすぐに異変に気がつき、オレに話しかける。
「まて、お前、なぜ魔法力を消費せず、魔法を放っているのだ。」
「さあね。自分でもよくわからないんだよ !」
オレは魔法陣を制御する。
「さあ、今です!今のうちの封印をしてください。」
「私が指示します!皆さん来てください!」
ミコさんが冒険者たちをつれて洞窟に向かう。
「まて、させるか!」
精霊があらがう!
「そうはさせない!」
テディさんと椿姫が攻撃魔法を放つ。
「おおおおお!おのれ!こうなれば、消耗するがしかたない!」
精霊は結界の中から魔力を放つ。
「邪霊木召喚!」
(なんだ!?)
ゴゴゴゴゴ
周囲の木々が蠢いた。
根が地面から引き抜かれ、枝が腕のようにうねる。邪悪な気配が木々全体に満ちていく。
「我がしもべたちよ!こやつらを倒し、我を自由にせよ!」
最も近くの大木がオレに向かって倒れ込んでくる。
(やばい!)
【鎧着!】
重装備を着込んだクノが盾になってくれた。
ドォン!
衝撃が走る。クノが地面に足を沈めながら、両腕で幹を受け止める。
「ぐっ……!重いな!」
「ここは私にまかせな!」
クノが邪霊木の幹を掴み、そのまま力任せに投げ飛ばす。
ドガァン!
邪霊木が地面に叩きつけられる。
しかし。
ミシミシミシ……
折れた枝が元に戻っていく。根が地面に刺さり、再び立ち上がろうとする。
「なんだこいつ!倒れないのかよ!」
「いくわよ!」
マチが前に出る。
「【万能分析】!……わかった!根っこよ根っこ!根っこを断ち切れば再生できない!」
「根っこか!」
クノが地面スレスレに剣を振るう。
ザン!
邪霊木の根が断ち切られる。
ビクン、と痙攣するように震えたあと、邪霊木はそのまま動かなくなった。
「みんな!根を狙って!」
マチが冒険者たちに叫ぶ。
「おう!」
「わかった!」
冒険者たちも一斉に邪霊木の根に攻撃を集中させる。
次々と邪霊木が倒れていく。
「ククク、ここは私の負けだな。」
精霊の身体に、ひびのような光が走る。
精霊は結界の中で笑う。
「何がおかしい?」
オレは精霊に聞く。
「それはおかしいさ。もう直ぐ我が主が復活するということがわかったからな。そうすればこんな封印も我が主が解いてくれるだろうさ。ククク」
精霊は本当に嬉しそうにわらう。
「どういうことだ?」
「しかし、お前のそのスキル、私の予想が正しければ、それは、お前のものじゃない。」
精霊が意味深なことをつぶやく。
「…‥!?」
「お前のそのスキル、自分の魔法力がつきたら、魔法力を別のものから借りてくるタイプのものだな。」
「そんな話は聞いたことがない。」
「それはそうだろう。我が主の力、人間ごときに解析できるわけがない。要するにお前のその魔力、それは我が主のものだ」
「お前の主とはだれだ?」
そのとき、精霊の力が急激に弱まっていくのを感じた。
「さあな。そのうち分かる。時間だな。お前の仲間が私の封印に成功したらしい。お前は私の仲間だ。また会おう。」
そういうと精霊は消えた。
(オレがあいつのなかま?どういう意味だ?)
胸にもやもやするものが残った。
そうしていると、しばらくして、みんなが洞窟から戻ってきた。
◇
「封印は成功したようですね。」
オレはミコさんに確認する。
「ええ、荒らされたといっても、修復は可能な状態だったので。」
戦いがおわり、椿姫をいれて、この事件の情報を整理することにした。
「やっぱり、ゼニーさんに脅迫状を送ったのは、お前なのか?椿姫?」
オレは椿姫を問い詰める。
「厳密には私じゃないよ。町の住人の誰かに頼まれたとだけいっておく。だれかはいえない。」
椿姫はそういってそっぽを向く。
「ふざけるな!お前!誰に頼まれたんだ!いえ!」
ゼニーさんが椿姫を問い詰める。
「ぼっちゃん。今回はあなたも反省すべきです。あの邪悪な精霊が放たれていてはとんでもないことになっていました。」
バントウさんが諌める。
「なお、ご主人様は、今回の脅迫状の件、うすうす住民の仕業ではないかとわかっておられました。それで、もし、住民の苦情であることが確定したら、ご主人様が認めるまで、家にもどさないように仰せつかっています。」
「なにいいい!」
ゼニーさんが口をあけておどろく。
「よよよよ、私はさびしゅうございます。」
テディさんがわざとらしくいう。
「テディ、デッチ、お前たちも私といっしょにお供だ。」
「なんですてえええ!」
テディさんもおどろく。
◇
オレは精霊が最後にいったことが気になって、みんなに相談した。
「あいつは狂光の眷属だ。」
椿姫がいう。
「狂光?」あまりきいたことがない。
「四罪と呼ばれている邪神の眷属だよ。」
「四罪?」
「伝説の邪神のひとりです。といってもあくまで伝説ですが。」
ミコさんが教えてくれる。
「実際にいるさ。というか、もっとも長年封印されているけどね。」
「その邪神の力がライトのスキルの源だとあの精霊はいってんの?」
マチが椿姫に確認する。
「まあ、そういうことだろうね。」
オレは頷くがピンとこない。
「私も長年、冒険者をやっているが、四罪は伝説にすぎないとおもっていたが。」
とバントウさん。
「私も、この件は気になります。よければ一緒に魔術師ギルドにいきませんか?なにかわかるかもしれない。」
断る理由はなかった。
「オレはいかんぞ!」
ゼニーが我を張る。
「ぼっちゃん、ここには新しい担当がまもなく配属されます。そうなれば、ぼっちゃんは反逆者になりますよ。」
「だったら、オレは父上に直訴しにいく!こんなやつらと同行できるか!」
「まあ、いいですよ。魔術師ギルドにはオレたちだけでいきますので。」
オレたちはバントウさんのすすめで魔術師ギルドに向かうことになった。
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