カラス
ゼニーの屋敷は物々しい警備に守られていた。
屋敷の周りには厳重な警戒と魔法の結界がしかれている。
「これでは、どんなやつがきても近づけませんね。」
オレは思わず呟く。
「そうでもありません。」
そういってバントウさんは屋根を指差す。
「なにあれ、なんなにカラスが…。」
マチが気がついた。
カラスが群れになって屋根に止まっている。
「以前はあんなカラスもいなかった、おそらくは何者かの嫌がらせでしょう。」バントウがカラスをみていう。
「駆除はしないんですか?」
オレはバントウさんに確認する。
「以前はスズメがいました。駆除したら、カラスが来ました。」
カラスが我が物でゼニーの館の屋根を占拠している。
「駆除しても無駄ってことか。」
クノがあきれるように呟く。
「毎日、屋敷の周りが鳥の糞だらけです。」
「あ」
バントウさんがいうと同時にクノの頭にカラスのフンがオチた。
「お気の毒様。」
マチが笑うが、その瞬間。
ビチャ
マチのあたまの上にもフンがおちる。
「このおおおお!」
マチがカラスに向かって叫ぶ。
「早く屋敷の中へ。」
バントウさんに促されオレたちは屋敷の中に避難する。
そして、そのまま屋敷の奥に案内され、大きな扉の部屋のまえに来た。
「ぼっちゃん、以前お話していたとおり、ライトさんたちが来られました。」
バントウさんがゼニーのドアをノックする。
「ライト?」
声がしたかと思えばしばらく沈黙。
……
「あのライトかああああ!?」
扉の向こうから叫び声が聞こえた。
しかし、扉は閉ざされている。
「ぼっちゃんに挨拶に来られました。扉を開けてください。」
「あけるわけねえだろお!なんならお前が黒幕じゃねえのかああ?」
扉の向こう から拒絶の意思を示すゼニー。
「解錠」
テディさんが魔法を使うと勝手にドアが開く。
そこにいたのは…
「「きゃあああああ!」」
マチとミコさんがそっぽを向く。
なぜか下半身はだかかでパンツを履こうとしているゼニーだった。
「すいません、ぼっちゃん、まさかお取り込み中だったとはおもわず。」
黙って扉をあけたテディさんが頭もさげず詫びる。
「いや!ちがうんだ、これは!」
「というわけで、こちらのライトさんも護衛に加わるということでよろしいですね。」
テディさんが淡々とつめる。
「わかった、わかったからでていけ!」
「かしこまりました。では、皆さんを屋敷の中やまわりをご案内いたします。」
「では、テディあとは頼む。みなさん、よろしくお願いいたします。」
バントウさんは丁寧に礼をして去っていった。
「それではまた。」
オレたちもバントウさんに挨拶をし、バントウさんと別れ、テディさんに屋敷の中と外を案内されることになった。
◇
「あちらの建物が男性用の宿舎、あちらの建物が女性用の宿舎です。」
テディさんは向かい合う2つの建物を示す。
「男女に別れているわけですね。」
「あのテディさん一つ聞きたいんですが。」
「なんでしょうか。」
テディさんはこちらを振り返る。
「あなたからみて、脅迫状の犯人で一番心あたりはだれでしょう。」
「誰というのは難しいですが、地域の住民のだれかじゃないですかね。ぼっちゃんは嫌われてますので。」
(相変わらずはっきりいうなこの人は。)
「民間人ということですか?」
「だいたい、ぼっちゃんがここからいなくなって喜ぶのは地域住民くらいしかいないですからね。個人的にはぼっちゃんが実家に戻ればいいと思っていますが。」
(この人が犯人なんじゃなかろうか。)
「ただ…‥」
テディさんが呟く。
「ただ?」
「ああはいいましたが、デッチを倒したという奴は気になってます。お手合わせ願いたいものです。」
(デッチ、いやデッチさん。ダイたちを立った一人で倒したという元Aランクの冒険者。そんな人を倒したやつに果たして俺達はかてるのか。)
「ところで、これから皆さんはどうなさいますか。屋敷の中を調べられますか、それとも周辺の調査や、聞き取りをされますか。」
(そうだな・・・)
「街の人達にも話を聞きたいと思います。」
「だったら、身分を隠して、ぼっちゃんの悪口をいうことです。私たちやこの土地の冒険者は顔が割れているので難しいですが、あなた達なら大丈夫でしょう。」
(ゼニーのやつはどんだけ嫌われているんだよ。)
そう思いながら、オレたちはテディさんと一旦別れて街に繰り出した。
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