卒業
冒険者パーティー養成学校一期生卒業式
3か月にわたる俺たちの特訓も、一つの区切りがついた。
卒業できたパーティーたちに、成績下位から卒業証書が授与される。
「それでは、冒険者パーティー養成学校一期生の卒業パーティーを発表すると同時に、卒業証書を授与する。」
審査員長のジジが壇上に立つ。
「まずは第6位。パーティー名"プリティア"・リーダー、エティ、前に出ろ。」
(あ、登録的にはダイじゃなくてエティがリーダーだったんだ。)
「はい!」
パーティーを代表してエティが壇上に立つ。
「正直、実力的には不安な面もあるが、冒険者に最も大事なことはどんなに無様でも生き残ることだ。よくぞ生き残ったな。」
ジジはそういいながらエティに卒業証書を手渡す。
エティは満足そうにそれを受け取る。
ダイは複雑そうな顔で、それを見ていた。
「第5位、ゼニー一家」
(ゼニー一家というのがパーティー名だったとは。)
「ふざけんなあ!」
ざわざわ。
会場がざわつく。
「オレがなんで5位なんだ!」
ゼニーが文句をつける。
「そうだな。まさかド素人が元Sランクメンバーや元Aランクメンバーを二人もいれて、新米パーティー養成学校にはいるとは想定していなかったんだ。」
(あー、やっぱりあのチームはゼニー以外は一流の冒険者だったのか。)
「本来なら失格にしたいが、最後まで生き残ってしまったのだから仕方ない。ルールはルールだ。」
ジジが言い放つ。
「ふざけんな!俺様が5位なわけないだろう!」
食い下がるゼニー。
「ほう、だったらいらんのか。」
「こんな順位ならいるか!検討しなおせ!」
「そうか、なら辞退だな。よって、先のプリティアが繰り上がりで5位だ。」
「な、な、何をいってる!取り消せ。」
「もう遅い。バントウ殿、そのボンボンを下がらせてもらえるか。できなければこちらで対処するが。」
ジジはバントウの眼をみる。
「ぼっちゃん。仕方ありません。一度口にしたことは取り消せません。」
「ふざけんな、おま‥‥」
ゼニーの動きが止まる。
「な、なんだ――」
次の瞬間。
「むしいいいいいいいいい!!」
ゼニーは絶叫し、そのまま会場の外へ逃げ出した。
「おやおや。大量の気持ち悪い虫でもみたかな。」
ジジがほくそ笑む。
(なるほど、よほどグロい幻影を見せたに違いない。)
「ぼっちゃん、待ってください!」
そう言って、ゼニー一家は退場した。
「それでは、引き続き3位と4位を発表しよう。」
ジジにより3位と4位のパーティーが発表された。
◇
ここまで俺たちのパーティーは呼ばれていない。
残るパーティーはドロシー嬢のザ・ウィッチと、俺たちクエスターだ。
「ライト…」
マチがオレの横顔を見つめる。
オレは何も言えなかった。
ドロシー嬢のパーティーは強かった。最終試験でも一番に幻影を解除した。実力では向こうが上だ。それはわかっている。
「なお、1位のパーティーは冒険者パーティー養成学校一期生1位として歴史に名を残し、後日、主催者の領主様より祝いのパーティーに招かれることになる。」
ジジはオレとドロシー嬢を見る。
「最後なので、今回は1位のパーティーを先に発表しよう。」
会場に緊張が走る。
誰も声を出さなかった。
‥‥
「1位は――クエスターだ!」
しばらく、何も聞こえなかった。
拍手の音が、遠くから近づいてくるように聞こえた。
「うそ‥…」
マチの声が聞こえた。
「おい、まじか⁉」
クノが驚きの声をあげる。
「本当に⁉」
ミコさんも。
オレは、言葉を忘れた。
「正直なところ、総合的な実力ではドロシーの"ザ・ウィッチ"には及ばんだろう。」
ジジが静かに続ける。
「しかし、最終試験で、あのようにこちらの想定を上回る攻略をされたからには認めざるをえん。冒険者とは、実力だけで測れるものではない。」
そういって、ジジはこちらに手を差し出す。
「なにをしている。ライト、壇上に上がってこい。」
「え?はい!」
オレははっとなって壇上にあがり、卒業証書を受け取る。
「なにをしている。お前たちもだ。お前たち全員の勝利だ。」
そう言ってジジはパーティー全員を壇上にあげる。
マチが泣いていた。
クノは「よっしゃああ!」と叫んで天井に拳を突き上げた。
ミコさんはオレの隣に立って、静かに目を赤くしていた。
「さあ、優勝者に拍手による祝福を!」
ジジがみんなに拍手を促す。
会場に拍手が広がる。
ドロシー嬢のザ・ウィッチも、笑顔で手を叩いてくれていた。
ダイ達も、しぶしぶに見えるが拍手をしている。
ヨウジはオレを見ていたように見える
こうして、俺たちの冒険者パーティー養成学校は最高の形で修了した。
Cランク冒険者パーティー、クエスター。
俺たちの本当の冒険は、ここから始まる。
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