勝利
俺たちの前に四体の魔物が現れた。
前衛が骸骨戦士、下半身が蜘蛛の蜘蛛女。
そして、後衛に鎧戦士と人狼が陣取る。
「マチ」
オレはマチに解析結果を聞く。
「これは‥…⁉ライト、この二人はクノとミコよ!」
「ということは…⁉」
そう言い終わる前に骸骨剣士が突進し、マチに足払いをかけてくる。
マチは下がって回避する。
「身体強化」
オレはマチに身体強化をかける。
骸骨戦士の拳がマチをかすめる。
その瞬間、身体強化が外れる。
「やっぱりクノね!」
これはクノが身に着けたスキル【解呪拳】
手で触れた相手に駆けられた魔法を強制解除するという脳筋スキル。
「どうせならこの幻影も解除しなさいよ!」
マチがそう言いながら、骸骨戦士に蹴りを入れる。
「マチ!この幻影だしてるのはだれかわからないか!」
「わかった解析してみる!」
(正体がふたりとわかっているから攻撃できない。)
「魔法束縛鎖!」
オレは骸骨戦士のクノの動きを止めるが…
蜘蛛女のミコさんに解呪される。
「わかった!この幻影を作りだしているのはあの試験官のジジよ!」
◇
ジジは幻影に惑わされる冒険者たちを観察する。
この試験に合格する方法は2つしかない。
ひとつはドロシーがやったように幻影自体を解除すること。
(しかし、それには私よりも強大な魔法力が必要なのだ。)
ドロシーのスキルはフィールドのすべてのスキル、魔法を無効化するという特殊なものだ。
あれは他の者にはできない。ドロシーのユニークスキル。
もう一つは両者が戦い自体をやめ何もしないこと。
いくつかのチームはにらみ合いを続け、この条件を満たそうとしている。
(フフフ…そうはさせない)
◇
クノとミコさんの体から羽の生えた球体が射出された。
「きゃああ、撃ってきた!こいつらこんな技を隠してたのね!」
全方向から魔力弾を撃ってくる。
オレはシールドで防ぐが…
「いたああああ!」
ダメージはそれほどでもないようだけど、マチは痛がってる。
「やってくれたわねええ、アンタたちいいい!」
「マチ!落ち着いて、あの球体を解析するんだ!」
「わかった!!…これは!?」
マチがそうつぶやいた次の瞬間、球体が全方向からマチに攻撃を仕掛ける。
「マチ!」
シールドでマチを援護しようとするが、数が多くてさばけない。
更に、骸骨戦士のクノと蜘蛛女のミコさんが迫る。
「もう大丈夫!」
マチがそう叫んだ瞬間、球体の攻撃がマチの体を素通りする。
幻影だと確信したのだろう。
「ライト、あの二人の足止めできない!?」
「わかった!」
オレは新たな魔法を披露する。
「炎障壁!」
二人と俺達の間に炎の壁が生じる。
足止めをするには十分!
【同調!】
マチが俺と手を繋ぐ。
するとマチの【万能分析】の情報が俺にも流れ込んでくる。
球体が幻影であること、さらには骸骨戦士と蜘蛛女にうっすらとクノとミコさんが重なって見える。
そして、この幻影の魔力の源をたどる。
見えた。
魔力の流れの中心。
――ジジだ。
この戦いの真の敵の姿が。
「追跡魔弾!」
オレは魔弾を放つ。
――いけ!
◇
「あらたに2つのパーティー脱落。」
ジジがそういうと、2つのパーティーが転移させられる。
ジジはゼニーのパーティーに目をやる。
壊滅はしていない。だが二人がゼニーというガキを集中して狙っている。
(わざとか、弱点か。どちらにせよ)
攻撃をやめる気がないなら、終わりだな。
次。
クエスターとかいうクラス1のパーティー。
片方が幻影に気がついた。炎障壁を張っている。
(時間稼ぎか。)
あの魔法は維持するだけで魔力を食う。新米魔道士が長くもつはずがない。
苦し紛れに魔法弾を放った。
あらぬ方向に飛んでいく。
(このチームもここまでだな。)
その瞬間。
光が見えた。
(なんだ――)
気づいた時には遅かった。
幻影の制御に意識を割いていた。シールドが間に合わない。
ドグォオ!
衝撃。
魔力弾がジジに命中し、体勢が崩れる。
「ジジ!」
他の審査員が声をあげる。
しかし、その瞬間……!
◇
「ライトさん、マチ!」
ミコさんとクノが幻影から解放される。
「ふたりとも、大丈夫か!」
「ほおらみろ!私のいった通り、やっぱり二人だったじゃねえか。」
クノがミコさんのせいにする。
「なに言ってるんですか!二人だったら謝ればいいとかいってたのはクノさんでしょう!」
「まあまあ、それより作戦がうまくいったみたいだよ。」
「そういえば、ライトさん、なにをしたんですか?」
ミコさんが疑問を口にする。
「この試験の真の敵はジジ審査員だったんだよ。」
オレはそういってダンジョンの入口をみる。
◇
「おい、みろ!テディ!」
テディとデッチの眼の前にいたモンスターがゼニーとバントウの姿になっていく。
「おのれ、モンスターめ!ぼっちゃんの姿に化けるとは!」
そう言うと、テディはゼニーにコブラツイストをかける。
「ぎえええええ!オレだあああ」
「テディ。それは本物のぼっちゃまだ。」バントウが片手で目を覆う。
「ああ!気が付きませんでした!」
「気がついたなら早く離せええ!」
「チッ!」
「今、舌打ちしなかったかあああ!」
「めっそうもありません。」
「しかし、試験はどうなるんだ?」
デッチがバントウを見る。
「おそらくは……、終わりだろうな。」
バントウはダンジョンの入口のほうを見て呟いた。
◇
「ダイ!あんただったの!?」
エティがボロボロになりながらも立っていたダイをみて驚く!
「いい加減に気が付きやがれ。」
そういうとダイはその場で倒れ込んだ。
◇
「ジジ大丈夫か⁉」
審査員たちがジジを気遣う。
「やってくれたな。」
そしてジジは笑う。
「フフフ、しかし、見事だな。こんな手を使ってくるとは思わなかったぞ。」
(幻術だと見破る。)
(その上で私の幻術を解析する高いレベルの解析スキル。)
(そして、炎障壁を維持しながら、追跡弾をここまで持たせる魔法力。)
(並々ならぬ魔法力に違いない。)
「最終試験は終了だ!」
ジジがそういうと、残っている6チームが帰還してきた。
「今残っているチームを全て合格とする!」
ジジが宣言する。
◇
「やったあ!ライト私たちこれで卒業よ!」
マチがオレに抱き着く!
「おっしゃああやったぜ!」
「やりましたね!」
クノとミコさんも改めて握手をしている。
そしてジジがライトたちに近づく。
「お前たちだな。私に攻撃を仕掛けたのは。」
「すいません。」
オレはなんとなく謝ってしまった。
「いや、見事だった。ライト。また、会おう。」
ジジ審査員はそういうとオレと握手をし、また審査員たちのもとへ戻った。
結局のこったのは俺たちの他、
ドロシー嬢のザ・ウィッチ
ゼニー一味
ダイたちもダイが踏ん張り、チーム崩壊を免れた。
そして、俺たちの知らないチームも2チーム生き残った。
俺たちはそれぞれ冒険者ランクC、パーティーとしてもCランクパーティーになったんだ!
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