ゼニーとドロシー
ゼニー一味は道中二手にわかれバントウとゼニーは広い広場に出る。
「モ、モンスターがいるぞ!バントウ!!なんとかしろ!!」
ゼニーはバントウの後ろに隠れながら命令する。
バントウは冷静に敵モンスターを見る。
下半身が蜘蛛の蜘蛛女、人狼が前衛。
後衛には、骸骨剣士と鎧戦士が控える。
バントウは冷静に解析スキルを発動させる。
何かしらの幻影であることはわかる。
しかし、どういった幻影であるかまではわからなかった。
だが奇妙なことに後ろの二体のモンスターからは敵意どころか気配すら感じない。
(なるほど。)
「ぼっちゃん、このモンスターが幻影です。そして――」
モンスターに視線を移す。
「この二体のモンスターはデッチとテディかもしれません。」
バントウは一目でこの幻影の仕掛けをほぼ看破する。
「なんだって!こいつらがデッチとテディだって?!」
「はい。」
「だったら簡単だ!」
ゼニーはバントウの前にいき、両手を腰に当て胸をはる。
「おいお前ら、おれだ!わかるな!」
「ほう」
遠視していたジジは思わずつぶやく。
ジジの遠視スキルは声までわからない。
しかし、あのゼニーとかいうガキの様子をみれば想像はつく。
バントウは幻影を看破したのだろう。
(さすが元S級冒険者だな。だが、ここからだ)
「おい、お前ら、おれだ!」
しかし、
その瞬間クモ女が跳ね、8本の足でドロップキックを仕掛ける。
「あぶない!坊ちゃん!」
吹き飛ばされるゼニーをバントウが受け止める。
「バントウこれはどういうことだ!」
(チッ、デッチ、テディ、気がつかないか。)
バントウがどうしたものかと歯ぎしりする。
◇
「これは‥‥」
テディは表情を変えず呟く。
テディとデッチの前に四体のモンスターが並ぶ。
前衛に骸骨剣士、そして鎧戦士、後衛に蜘蛛女そして人狼。
骸骨剣士はなぜか、鎧戦士の後ろに隠れているように見える。
テディとデッチは歴戦の戦士だ。
相手の様子を慎重にうかがう。
「なんだ、あいつらかかってこねえぞ」
その様子にデッチは警戒する。
鎧戦士と骸骨剣士がなにやら作戦を立てたようにみえた。
骸骨剣士が前に出てくる。
「くるか!」
デッチは警戒する。
しかし、骸骨剣士は責めてくるわけでもなくなぜか偉そうに踏ん反り返っている。
「これどういうことだ?」
デッチが訝しがる一方、テディが動く!
「坊ちゃま死ね死ねキーック!!」
テディが骸骨剣士にドロップキックをはなつ!
骸骨剣士がふっとび、鎧戦士が支える。
「テディ、なんだ、今の技は!」
「わかりましたデッチ!あの骸骨剣士が弱点です。攻撃しましょう。」
「まじか!わかった!」
デッチも動く。
「坊ちゃま死ね死ねホーミングミサイル!」
そんなことを言いながらテディは追尾型魔力弾を放つ。
「その名前はなんなんだよ!」
そういいながらもデッチは骸骨剣士に接近戦を仕掛ける。
しかし鎧戦士は魔力弾をシールドで防ぎながら、デッチの蹴りをさばいて骸骨剣士をかばう。
「この鎧戦士つよいぜ。だがお前の言うとおり、骸骨剣士はたいしたことがねえ!」
「流石はバント‥‥いえ、鎧戦士ですね。胸をお借りしましょう!氷弾乱撃!」
極低温の魔力によって凝縮された無数の氷の槍が、大気を切り裂く音と共に射出される。
しかし、これも鎧戦士のシールドによりふさがれる。
「やりますね、バント…いえ、鎧戦士!ならこれはどうです!」
「おい、その呪法は!?」
デッチがテディの放とうとしている魔法をみて驚く。
「激辛痛霧射!」
テディの指先から赤い霧が噴射される。
しかし、この魔法は殺傷力などなにもなかった。
相手の眼や肌に入ることで激痛をあたえることができるが、傷すら負わすことができない。
女性が痴漢相手に噴射したり、魔獣を追い払う魔法である。
霧状ゆえにシールドでも防ぎにくいのだ。
しかし、アンデッドの鎧戦士や骸骨剣士に効くはずはなかった。
(テディ、何を考えている!)
デッチがそう考えたが…
「ガアアアア!」
なんと骸骨剣士がのたうちまわっている。
「え?」
おもわず驚くデッチ。
「計算通りですね。」
口の端をゆるめるテディ。
「よくわかったなテディ!もしかして解析スキルか!?」
デッチがテディを称賛する。
「ええまあ。」
鎧戦士が回復魔法で骸骨剣士を癒しているようにみえる。
(アンデッドに回復魔法が効くのか?)
デッチがその様子を冷静に観察し、テディはなぜか嬉しそうにその様子をみていた。
◇
ドロシーの目の前には二体のモンスターがうずくまっていた。
一体は鎧戦士、もう一体は人狼。
そして後方には蜘蛛女が控えている。
「やれやれもう終わりですか。」
ドロシーはモンスターを叩きのめして睥睨する。
「ではそろそろ終わりにしましょうか。」
ドロシーは奥義を放とうと構えた。
◇
ドロシーのチーム・ザ・ウィッチのメンバー、エスケイプとグランブルは目の前の蜘蛛女に思わぬ苦戦を強いられていた。
エスケイプは冒険者らしくないスーツ姿に身を包んでいる 。
一方のグランブルは2メートルはある巨漢で、巨大なハンマーを振り回す。
「グランブルもう一度、コンビネーションでいくぞ!」
「おう!」
「巨人の砲撃(アトラスハンマー!)」
グランブルがハンマーを地面に叩きつける。
大地が爆ぜた。
えぐり上げられた土塊と岩が、砲弾のように蜘蛛女めがけて飛び散る。
その瞬間、蜘蛛女の目の前にクリスタルのような魔法の壁が現れ、すべてを防ぎきる。
(ならばこれでどうだ!)
「回転進化三魔爪」エスケイプが魔力を右腕に集中させると、右手が三つの爪となり、回転し、巨大な円錐形の「魔鋼の錐」へと変貌した。
「うおおおお!」
エスケイプは咆哮をあげ水晶の壁を貫こうとするが砕けない。
「だめか!」
エスケイプはそう思った瞬間、水晶の壁が砕け散る。
「やった!」
グランブルはおもわず、声をあげる。
が、次の瞬間、それは蜘蛛女が自ら解除したことだと気がつく。
蜘蛛女から魔力の光が放たれる 。
エスケイプとグランブルは吹き飛ばされる。
「ぐわあああ!」
そして、蜘蛛女に魔力が集中していく。
「ここまでか」
グランブルが観念する。
「ドロシーお嬢様。お許しください。」
エスケイプがドロシーに謝罪の言葉をのべる。
◇
ドロシーは倒れている二人のモンスターをみて、ほほ笑む。
「あなたたち、いいかげんに気がつきなさいな。」
「【魔道無効結界】(マジックキャンセラー)」
ドロシーを中心に聖なる結界が広がる。
次の瞬間、幻影は消え去り、エスケイプとグランブルが姿を現した 。
「こ、これは…」
エスケイプがドロシーを見て、驚愕する。
「ま、まさか我々が戦っていたのは…!」
グランブルも現実を受け入れる。
「「申し訳ございませんでした!!」」
2人はドロシーに跪く。
「さあ、どうですか。ジジさん。もっとも、もう見えていないでしょうけど。」
ジジはドロシーの姿が見えなくなってすべてを悟った。
(なるほど、全ての魔力を無力化したのか。さすがドロシー。合格だ。)
ジジがつぶやく。
「……合格第一号だ。」
その声に失格者たちがざわめく。
「誰だ?」
「もう突破したのか?」
ジジは笑う。
「ドロシーだ。もっともこれではこちらに転移させてやることもできんがな。」
(さあ、あと残りそうなのはやはりバントウがいるゼニーのところか。)
ジジはゼニーチームに目をやった。
それ以外のチームは眼中にさえなかった。
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