最終試験始まる
「ではライトさん。行きますよ」
「石弾!」
ミコさんが石の弾丸を放つ。
「 追跡魔弾」
オレはそれを魔法弾で迎撃する。
「おみごと!」
ミコさんが拍手してくれる。
オレの魔弾が石弾を追い、空中で撃ち落とす。
魔力を感知して自動追尾する魔法だ。
「じゃあ、次、アタシね!例のやつをやるわよ!みんな用意して!」
「ハイハイ。」
そういうとクノは複数のバルーンモンスターのカプセルを放つ。
これは訓練用のダミーでそれぞれに属性の弱点が設定してある。
「じゃあいくわよ。」
そういうと、マチの右手をミコさんが左手をオレがつなぐ。
「じゃあ、いくわよ、【万能分析】+【同調】!」
これがマチがこの学校で身に着けた新たなスキルだ。
手をつないだ相手とマチのスキルをリンクできる。
いま、オレとミコさんにはバルーンモンスターの弱点が見えている。
「みえました!」
オレとミコさんは属性攻撃で見事バルーンモンスターを撃墜する。
「よし!」
「訓練すれば手をつながなくても感覚を同調できるらしんだけどね。」
「いやでも十分つよいよ。」
おれたちはまもなくくる卒業試験に向けて、チームの連携技を磨いていた。
「じゃあつぎ、私にたのむ!」
重装備になったクノが構える。
「じゃあ、いきますわよ、火属性付与」
ミコさんが重装備になったクノに火属性をつける。
クノは炎を身にまとった重装備兵となる。
「フハハハハ。さしずめファイア・ヘヴィアーマーといったところだな!」
炎に包まれたクノが剣を高々と上げる。
「すごいな。重装備のまま火属性をつけたら、ちかづくことすらできないよ。」
おれは感心する。
しかし…
「うううう、ああああちいいいいいい!」
「ああ!失敗でしたわ、消火弾 、消火弾 !」
まだまだ課題は多いらしい。
こんな感じで、いよいよ最終試験当日を迎える。
◇
ざわざわ。
用意されたダンジョンの前に集まった冒険者たちがざわつく。
冒険者パーティー養成学校もこれで最後だ。
この試験に合格すれば、俺たちは冒険者ランクCパーティーランクCとなり、大きな依頼を受けることができるようになる。
「諸君、今回で冒険者養成学校は卒業だ。私は最終審査委員長を務めるジジだ。」
魔道士風の女審査員が淡々と挨拶をする。
背丈は大きくないが鋭い目つきが特徴だ。
「正直に言う、今回の養成学校は私は失敗だと思っている。」
え?
冒険者たちがざわつく。
「ここまで残ったパーティーは全部で20か。合格候補者たちが多すぎる。実力に見合わないものが多いのではないかと私は疑っている。」
「なにいってんだ。」
「いまさらだ。」
冒険者たちがさらにざわつく。
「おいそこのお前たち、『なんいってんだ』『いまさらだ。』といったやつ、失格だ。」
‥‥‥!?
会場に緊張がはしる。
「おいどういうことだ!?」
「ふざけるな!?」
失格だと言われた冒険者が不満の声をあげる。
「わずか数分だまってられないやつに冒険者などつとまるか。出ていけ。」
ジジは冷徹に宣言する。
「それはひどすぎるだろ!」
「そんな!」
二人は不満を口にする。
「ではこうしよう。」
ジジは冷たく言った。
「お前たち、今から私を攻撃しろ。私はここから一歩も動かない。防御シールドも張らない。攻撃をかわしもしない。」
会場が静まり返る。
「それでお前たちが私を一歩でも動かせたら、今すぐ合格にしてやる。武器を使ってもかまわん。殺す気でこい。」
なんだそれ、なにもしないということか。
「なんならパーティー全員でこい。四人パーティーなんだろ。黙っていた残りの二人は、これで失格にはせん。」
「なめやがって。」
男が仲間を振り返った。
「……みんな、例の技でいくぞ。」
「「おう。」」
声が重なる。
四人が静かに散開する。
訓練の跡が見える。
「身体強化!」
「武器強化!」
二人のサポートメンバーがリーダーらしき男に魔法をかける。
男の体と武器から魔力の光が滲み出す。
「魔法束縛鎖!」
残るサポートメンバーがジジに向けて魔法を放つ。
光の鎖がジジの身体に巻きつき、体の自由を奪う。
……なかなか見事な連携だ。 このチーム、強い。
鎖に縛られたまま、ジジはぴくりとも動かなかった。
「思ったよりやるな。」
ジジはただ、静かに言った。
「でも、そこまでにしておいたほうがいい。」
「いまさら遅い。」
リーダーの男がにやりと笑い、地面を蹴った。
速い。
ドーピングで強化された脚力が、ジジとの距離を一瞬で潰す。
振り上げられた剣が、ジジの首筋に向かって振り下ろされ、ジジの首が飛んだ。
「きゃあ!」
ミコさんが目を覆った。
会場から息を呑む音がした。
オレも思わず目を背けた。
……ゆっくりと、視線を戻す。 床に何かが転がっていた。
ジジの首、ではなかった。 男の、右手だった。
「…………え?」
おもわず声が出た。
「ぐわあああああ!!」
断末魔の悲鳴が上がった。
不満の声を上げた男の一人だった。
自分の右腕を押さえて、崩れ落ちている。
「どうしたんだ?」
ジジが無表情で言った。
「急に仲間の腕を切り飛ばして。」
「え……?」
リーダーの男がガタガタと震えだす。
「リーダー、何をやってるの!?」 サポートの魔道士たちが叫びながら仲間に駆け寄る。
……待て。
彼らはさっき、リーダーに強化魔法をかけていたはずじゃ――。
オレだけじゃない。 会場にいる冒険者全員が、同じものを見ていた。
誰も動けなかった。誰も声を出せなかった。
表情が、凍りついていた。
ジジ審査委員長は宣言通り、一歩も動いていなかった。防いでもいなかった。
かわしてすらいなかった。
それなのに。
「さあ。」
ジジが静かに口を開く。
「茶番はおわりだ。これより、試験内容を発表する。」
オレはつばを飲み込む。
とてつもない内容になる。
それだけは、確信できた。
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