ゼニー一味
「見て!あそこに人が倒れてるわ!」
マチが倒れている二人の冒険者をみつけた。
あれは?
「ダイとヨウジだ!」
オレは駆け出す。
「ほんとだ、あいつらだ!」
クノたちもあとに続く。
「完全に伸びてるわね。」
マチが呟く。
「どうします?回復させますか?」
ミコさんがいう。
正直関わりたくはないけど、ほうっておくと死ぬかもしれない。
さすがにそれは後味が悪い。
「しかたないな。回復魔法をかけよう。」
「わかりました。」
オレとミコさんは二人に回復魔法をかける。
しばらくして――
ふたりが目覚める。
「おまえ、ライト!」
ダイは気がつく。
「ちっ、まさかおまえに助けられるとは。」
そういいながら、ダイはちらりを俺たちの虫かごをみる。
もっとも、とったカブトはすでにテントの中に隠したが。
「ダイ、何があったんだ?」
おれは冷静にきく。
「ハーハハハハ!どうせあんたたちのことだからカブトを奪おうとして返り討ちにあったんじゃないの!」
マチが煽る。
ダイは強い、そんなはずは…。
「チッ!」
ダイは目をそらす。
あれ?図星だったか!?
「モヒカン野郎に気をつけろ、お前たちも、虫をとるのはこれからなんだろ。」
あれ?ダイなりに礼をいってるのか?
「フッフーン!アタシたちはとっくに…いたあああ!」
マチがよけいなことを言いかけたのでオレはおもいきり足を踏んだ。
「とっくに明日の準備はできたよ。」
おれは適当にごまかす。
「エティはどこだ。」
ヨウジが周りを見回す。
「いや、オレたちがきたとき彼女はいなかったよ。」
オレは正直にはなす。
「クソ、あの女、自分だけ逃げやがったのか。」
「だといいが、連れ去られた可能性もある。」
ダイとヨウジが顔を見合わせる。
その時、
「あーあんたたち!こっちにきて!」
エティが遠くから現れる。
「おまえ!」
流石にダイが詰め寄るが‥‥
「あのモヒカン、というかあいつの親玉、とんでもないことを始めたのよ!」
ダイを無視して、自分の言いたいことを並べるエティ。
「とにかくこっちにきて!」
「私たちも行ってみましょうか?」
ミコさんに促される。
◇
ざわざわ。
人だかりができていた。
そこで、3人の冒険者がマジックイートオオカブトを販売している。
モヒカンの男。
初老のベテラン戦士風の男。
そして、派手なとても冒険者に見えないいで立ちの若い茶髪の男だ。
「さあ、今ならこのマジックイートオオカブト金貨2枚でゆずってやるぞ!」
一番若い男がいう。
「しかし、俺たちは今お金がない…」
冒険者たちがざわつく。
「安心しろ。金がないやつは金を貸し出してやる。借用証は書いてもらうがな。」
「あいつだ。」
オレの横にいるダイが言う。
「あのモヒカン野郎にオレたちはやられたんだ。」
「もっといい方法があるぜ。」
ひとつの冒険者のパーティが前に出る。
「へえ?どんな方法だい?」
若い男が答える。
「俺たちが、お前らからこれを奪うって方法だよ。」
四人パーティが、前に出る。
やばい、オレは四人を止めようと前に出ようとしたが。
「まて、かまうな。大丈夫だ。それよりみてろ。」
オレはダイに肩を捕まれ、とめられる。
「暴力ね。シシシシ。大いに歓迎だよ。こっちわね。」
そういって、若い男はモヒカンに目配せする。
「おい、やれデッチ。」
「かしこまりました。ぼっちゃん。」
若い男にいわれてデッチと呼ばれたモヒカンが前に出る。
「一応、警告する。消えるなら今のうちだぞ。」
若いハデな男は薄ら笑いを浮かべて見ている。
初老の男は無言だ。
1対4。
圧倒的に不利な状況なのに、デッチと呼ばれた男は余裕を浮かべている。
「てめえ。」
1人の男が前にでた瞬間。
デッチが動いた。
男の手をかいくぐってからの右フック。
はっきり見えたのはそれだけだった。
彼を囲んでいた屈強な男たちの身体が、まるで重力という鎖を断ち切られたかのように、次々と宙へと跳ね上がった。
打撃の音があとからくる。
デッチがいつ、どこを、どのように撃ち抜いたのかさえ見えない。
地面に叩きつけられる肉体の鈍い音。 意識を奪われた者たちは、自らが敗北したという事実さえ抱えられぬまま、意識を刈り取られた。
ざわつく、観衆。
「さあ、これで邪魔者はきえた!どうだ今なら金貨2枚だ!明日はこの料金だとは限らんぞ!」
「わかった!おれは買う!」
「私もよ!」
次々と手をあげる冒険者たち。
「ちょっとお待ちなさい!」
そこに待ったをかけたものがいた。
皆、一斉に目線をやる。
ドロシー嬢だった。
「なんだ、ドロシー、邪魔をするのかい?」
派手な男が不服そうにドロシー嬢に話しかける、
二人は知り合いなのか。
「ええ、じゃまをしますわ、ゼニー。」
そういって、ドロシー嬢は扇子を開く。
「断言しますわ!このゼニーから今、カブトを購入したものはかならず明日後悔することになると!」
「なにをいうんだ!今なら金貨2枚でゆずってやろうというんだ。明日になれば分からんぞ!」
「あと48時間はあります。まずは自力で見つけることをおすすめしますわ。断言します。このゼニーのいうことは聞いてはいけないと。」
ざわざわ。
「いやどうせ、俺たちにはむりだ。」
「ドロシー嬢のいうとおりだ。」
そんな風に意見が分かれ、様子をみるもの。
ゼニーのカブトムシをかうものに分かれた。
「ライト、私たちのカブトを金貨1枚で売ってあげたらどうですか?」
ミコさんはオレに耳打ちする。
たしかにそれはそうなんだが。
しかし……
そのときオレの頭に電流が走った。
(よめた。ゼニーたちの作戦が。)
「いや、ここは様子をみるんだ。場を離れるぞ。」
「え?まじかよ。」
クノが不満そうに言う。
「いいか、明日もできるだけカブトを集めて隠そう。」
◇
そして三日目の夕方。
ゼニーがまたもカブトを売り出した。
「さあ、明日の朝がラストチャンス。ということは実質、今日取れてない奴はのこり1回しかない。今日は金貨3枚だ!」
「3枚か……高いな」
「しかし、今までとれなかったんだ。明日とれる保証はない。」
悩む冒険者たち。
そして、ゼニーがダメ押しをする。
「最終日は金貨5枚に値をあげるぞ!買うならラストチャンスだ!」
金貨5枚、そんなお金をはらえる冒険者など、こんな講座には申し込んでいない。
「私たちも買うのよ!ダイ!」
エティもうごく。
「しかし‥‥!!」
ダイが悔しそうにつぶやく。
「今までとれなかったのに、最後捕れるわけないじゃない!」
「ちっ、くそ!こんなことならあの時2枚で買っておけば!」
そういうとダイ達もゼニーからカブトをかった。
「いいのか、ほうっておいて。私たちのカブトを安く売ってやったら、みんなも助かるし私たちももうかるぞ。」
クノがそんなダイ達の様子をみながらいう。
「みんながカブト買っちゃったら、私たちのカブトがうれないじゃない!」
マチも不満そうにいう。
「いや、いいんだ。オレにはゼニーたちの狙いがわかる。それよりもカブトを集めながらオレたちはまだカブトを取れてないふりをするんだ。」
最終日のゼニーたちは動く。
オレはそれを確信していた。
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