チームの明暗
翌朝、チーム、プリティア。
「いた、いたよ」
エティが罠にかかっているカブトを発見する。
「なんだ簡単じゃねえか。」
ダイはにやりと笑う。
あとはこれをつかまえればおわり。
「こりゃ、試験官に虫取りアミを借りるまでもなかった。」
ダイはそういいながら、カブトムシに近づく。
あと30センチ。
手を伸ばせばすぐの距離、
その瞬間!
カブトムシが飛翔する。
「あ!」
ダイがそういったときにはもう大空高く飛び上がっていた。
「なにやってんのよ!もう!」
「ああ、悪い。」
流石のダイもおもわず謝罪する。
「こりゃ、ちゃんとアミを使わないとだけだな。ヨウジ、アミを貸してくれ、次の奴を見つけにいく。」
「ああ」
そういうとヨウジはダイに持っていた虫取りアミを手渡す。
森の中を歩くこと10分ほど。
「いたぞ!」
ヨウジが指さす先にいた。
マジックイートオオカブト
次は失敗できない。
ダイは虫取りアミを手に持ち近づく。射程距離まであと30センチ。
その瞬間、またしてもカブトが飛翔する。
ダイは虫取りアミを振るが…
ダメ!
アミと逆方向にカブトムシは飛んでいく。
「なにやってんのよ!ダイ!」
「いや、これは……!」
それから数十分、繰り返される同じ失敗。
しかも、ダイに「身体能力」をかけてもなお追いつけない!!
「なああああに!やってんの!」
とうとうエティが爆発する。
「いや、まてこれはおかしい!」
ダイもさすがに気がつく。
「ちょうど30センチ、そこまで近づくとあのムシにげるんだ!こっちの動きがどうこうは関係ねえ!」
そう、まるでカブトムシがこう言っているよう。
(カブカブカブ!まぬけな人間め!お前らなどに捕まるか!)
「魔法を吸収するとかいってたわね。ためしにやってみるわね。」
――そして、別のカブトをみつけ
『鈍重魔法!』
エティが魔法をかける。
「どうだ?きいたか?」
ヨウジが不安そうにカブトムシとエティを見る 。
「いえ、効果ないわ。もし効果があれば、重さで木から落ちてるわ。」
エティがやっぱりか、という顔をする。
(カブカブカブ!無駄よ!無駄!)
カブトムシが馬鹿にしているように見えた。
「くそったれ!」
ダイが怒りにまかせて 虫取りアミを振るう。
が、
だめ。
またしてもアミをすり抜ける。
「ちょっと、ダイどうするのよ!」
エティが不満をあげ、太陽があがってきた。
「ダイ、これは1日作戦を考えたほうがいいな。」
「クソ、1日頭を冷やすか。」
ダイは思わず空を見上げた。
◇
『魔法束縛鎖 !』
オレがマジックイートオオカブトに魔法をかける。
(なにい!オレに魔法が効くだと!?)
カブトムシの声が聞こえた気がした。
「やった!これで5匹目だぞ!」
クノが素手で5匹目のカブトを捕まえる。
「でも、ほんとに消費MPがゼロなんですね。だから、カブトムシもライトさんの魔法は吸収できない」
ミコさんが改めて驚く。
「正直、自分でも驚いてるんですけどね。」
まさかこんなにうまくいくとはおもわなかった。
「5匹も取れたけど、あまったやつどうするのよ?」
マチが虫かごを見ながら言う。
「ああ、そうか試験官の意図がわかったよ。これを取れてないチームに売れるってことだな。」
「え?そんなの有りなの?」
マチが驚く。
「試験官はだめだって言ってないからね。」
「じゃあたくさんとりましょうよ!」
マチがよろこぶ。
「いや、ここはいったんテントに返ってこれまでに取れたカブトを隠そう。他のチームにおそわれるかもしれない。」
「そんなの返り討ちにすればいいじゃねえか。」
クノが簡単にいう。
「いや、この課題は戦闘に強くても攻略できないかもしれない。もし、戦闘特化のパーティーに襲われたら大変だ。いったんアジトに隠そう。」
「私も賛成です。とりあえず、今は引きましょう。」
ミコさんも賛成してくれる。
「なら、しょうがねえなあ!」
「じゃあ、一旦かえりましょう。」
クノとマチも了解してくれた。
俺たちは一度アジトにもどることにした。
◇
「おい、ヨウジ、アレをみろ。」
「なによ。」
カブトがまだ一匹もとれずに不機嫌なエティがダイに促されてみる。
前に1人の冒険者があるいている。
モヒカンという奇抜な髪形をしているが軽装。
しかもかごの中には数匹のカブトムシがいた。
「いいたいことわかるな。」
ダイがエティに確認する。
「あいつのカブトを奪うってことね。」
エティが同意する。
「ばかなやつだ。たった一人で行動するとはな。」
他のパーティーからカブトを奪うのはOK。
奪われるほうがわるいのだ。
ダイたち三人は獲物をみつけたとその冒険者に近づく。
「わるいな。あんた、一匹でいいんだ。そのカブトをわけてくれねえか。」
ダイはモヒカンにきく。
「いやあ、これはおれもご主人様に頼まれててね。そう簡単にはわたせねえんだ。」
モヒカンは肩をすくめる。
「しかし、そうだな。金貨2枚で売ってやる。今手持ちがなければ借用書でもいい。」
モヒカンは交渉にのった。
しかし、
「まて、おれは何もお願いしてるんじゃない。命令してるんだ。」
ダイがモヒカンにすごむ。
「おいおい。無理言うな。こっちも譲歩してるんだぜ。だったら消えな。」
と、いいつつ自分がどこかにいこうとするモヒカン。
「おっと、そういうわけにはいかないのよ。」
エティが道をふさぐ。
「なんだ?あんたらやる気かい?」
モヒカンがいう。
「できれば俺たちも手荒なことはしたくないんだ 。」
ヨウジも圧力をかける。
「だったらしゃあないね。」
モヒカンがそういうや否や三人の視界から消える。
いや、頭上だ。 気づいた時にはすでに遅かった。
ダイとヨウジが地面に沈む。一呼吸もかからなかった。
空中でモヒカンが舞い、二人の頭に高速の蹴りが叩き込まれたのだ。
倒れこむ二人。
一閃!
着地と同時にエティの眼前に蹴りをすんどめする。
「ひ!」
エティが声をあげる。
「まだやるかい?」
寸止めのまま、モヒカンが問う。
ダイとヨウジは倒れたまま動かない。
「わ、わたしは関係ないいいい!」
エティはダイとヨウジを捨てて全速力で逃げ出した。
「あーあ!こいつらどうすんだよ。まあいっか。自業自得だ。それより坊ちゃんのほうにいかねえとな」
そういうとモヒカンは森の奥に消えていった。
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