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初心者でも世界を創れますか?  作者: 陽菜
第二章  ローシェンナ 編
34/41

執事とメイドの攻防

たいへんお久しぶりでございます・・・。

ご無沙汰をして、申し訳ありませんでした。


まだまだ亀の更新ではありますが、ジリジリ書いていこうかなと思います。


 

お嬢様(レディ・マスター)、この度は私達を召喚して頂きありがとうございます。不束者ではございますが、これより心を込めてお世話させて頂きます」


 神域に帰還してすぐ私達の目の前には、お座りの体制で頭を垂れる耳の大きな銀色の狐フェネックと、その隣で小さく羽を膨らませて瞼を閉じるピンクグレーのサバクミミズクの姿があった。

 いきなりだったのでビックリしたが、その可愛らしさに思わず撫で回したい衝動に駆られてしまう。


 ダメダメ、ご挨拶はキチンとしなきゃね。


「初めまして、私がこの世界(エンデワース)を創った新菜(ニーナ)よ。これからよろしくね」


 私の名乗りを聞いて一度深く頭を垂れたフェネックは、ゆっくりと顔を上げた。銀色の毛並みがなめらかで、凛々しい目元のなかなかの美人さんだ。

 サバクミミズクも、ふくふくの羽が素敵!

  手の平サイズなのに、ちょんちょんと両足を揃えて飛び上がる高さはなかなかのものだ。


「このままじゃ呼び辛いから早速名前を進呈させてね。フェネックの貴女がラリマー、サバクミミズクの貴女がコーラルよ」


 新たに家畜の種を使うと決めた時に、鉱物の名前を検索して頑張ったのだ。

 気に入ってくれると良いのだけれど。


 アンバーとスピネルは、私の後ろで新たな仲間二人を観察している。

 アンバーは若干、いやかなり不満そうだけど・・・。


 私が名前を授けると、二人は一瞬キョトンとしてからフェネックは尻尾を振り、サバクミミズクはキュルキュルと鳴いた。

 気に入ってくれたのかな? 


「早速の命名ありがとうございます! お嬢様(レディ・マスター)に相応しい家政婦(メイド)に成れるよう、精一杯頑張ります」


 ラリマーの言葉に、コーラルが小さく頷く。

 どうやらコーラルは口下手さんらしい。

 ジーッと見ているとパタタッっと私の左肩に飛んできて停まり、スリスリと体を寄せてきた。


 か、可愛すぎる!!


「!! 新入りのメイドがご主人様(マイ・ロード)に対して無礼がすぎるぞ!」


 思わず撫でなでしていると、アンバーの不機嫌そうな声が飛んできた。警戒しているのか、尻尾が左右に揺れている。

 その後ろでスピネルが面白そうに成り行きを見守っており、ラリマーはやや呆れ顔でアンバーを見つめていた。

 撫でなでしていたコーラルが、ボソッと口にする。


「・・・アンバーのヤキモチ焼き」

「何っ?!」


 ぶわっと背中の毛を逆立てアンバーがコーラルを威嚇するも、コーラルは全く気にせず私にスリスリ。

 それが更にアンバーを煽ったらしく、アンバーの毛は尻尾まで逆立った。と、


「いい加減にしなさい! 全く、貴方は全然変わらないのね? もっと素直になればいいのに」


 ポカリと軽く、ラリマーがアンバーにツッコミを入れた。一瞬やり返そうとしたアンバーが、ハタっとラリマーを見つめる。


「変わらないって・・・、もしかして姉さん?!」

「やっと解ったのね、スピネルは会った瞬間気付いたっていうのに」

「え?! じゃ、じゃあもしかしてコーラルは・・・?!」

「あはははっ! 僕の妹だよ、アンバー」

「・・・アンバー頭良いのに、血が上ると途端に鈍いよね」


 スピネルが可笑しそうに、コーラルがため息を吐きつつ交互に答えた。


 ・・・待って。

 今私を置いて、なにか重要な話をしたよね??


「・・・あの、えっと、ちょっと良いかな?」


 なんだか身内の思い出話に花が咲きそうな所を、割って入る。

 四人の視線が私に集まった所で、聞きたかった事を口にした。


「今ちらっと聞いた話だと、四人って家族、なの?」

「正確に言えば、(ラリマー)とアンバーが姉弟で、スピネルとコーラルが兄妹です。前世での話ですが」


 更に凄い事を聞いたようで、私の顎が下に落んばかりに開いてしまう。


「ぜ、前世って前世って?!   四人とも前世(うまれかわるまえ)の事覚えてるの?!」

「「はい、ご主人様(イエス マイ・ロード)」」

「「はい(イエス)お嬢様(レディ・マスター)」」


 四人の声が揃う。


 何て事!! 家畜の種から生まれたアンバー達が、前世持ちだったなんて!! 


「もしかして、ミルクや卵やお肉を提供してくれてる家畜さん達も前世持ちだったりするわけ?!」

「いえ、それは違うよ」


 思わず声に出していた考えを、スピネルが否定してくれた。


「僕達はたまたまご主人様(マイ・ロード)が意思を持たせてくれたから偶然こうなっただけで、普通は覚えてないと思うよ? だって元々アイテムなんだし」

「それに覚えているって言ってもぼんやりとした関係ぐらいで、名前や立場や死んだ時の状況なんか全然覚えてないしね」

「そうなの?」

「はい、お嬢様(レディ・マスター)の下に集いましたのも全くの偶然、もはや女神様のみぞ知るとしか」


 女神様がいじってるの? 何で??


 (クエスチョンマーク)乱舞でグルグルしていたが・・・これ以上分からないものは分からない。


 もしかしたらエンデワースに前世の縁続きの身内が現れるかもだけど、現世で動物になったっていうのは果たして知らせても良いものなのかどうか。いや、今はそこまで考えてる場合じゃ・・・。


 私が混乱しているのを感じたのか、コーラルが嘴で私の髪をツンツンする。


お嬢様(レディ・マスター)、前世は前世。今の私達はお嬢様(レディ・マスター)の召使」

「そうです。例え前世に私達の関係があったとしても、今現在お嬢様(レディ・マスター)へお仕えする事になんの支障もございませんわ」

「そ、そう?」

「はい」


 二人がにっこり笑い、アンバーとスピネルも頷いた。


「まあ、そういう関係だったって覚えててくれれば、それでいいよご主人様(マイ・ロード)


 よく分かったような、解らないような・・・。モヤモヤしながらもとにかく新しい仲間?が増えたのだった。

 騒がしさも加わった事は(特にアンバーには)言えない・・・。



「ところでラリマーとコーラル、二人はどこを担当する事になってるの?」

(ラリマー)が畑の収穫などを担当し、コーラルが家の中の管理をさせて頂きます」


 ラリマーが答えに、アンバーの顔がびしっと固まる。


「・・・お前が私と同じ職を担当するのか?」

「何」

「・・・いいや、何も」


 コーラルとアンバーの間にピリピリとしたものが走る。

 サバクミミズクとタカアシ猫が向かい合ってる図。アンバーには悪いけど、なんだか微笑ましいかも。


「コーラル達も生活魔法使えるのね? 人化もできるの?」

「うん」


 気を取り直したコーラルが、答えてポンと変化した。


 淡いピンクグレーのフワフワした長い髪。

 身長はアンバーが人化した時よりも低くて、140くらいかな。

 ぱっと見中学生くらいに見える。翡翠色の瞳はスピネルとお揃い。メイド服を着た姿がまるで人形みたいで、めちゃめちゃ似合っていた。


 同じく人化したしたラリマーは、銀髪真っ直ぐな髪質のショートボブ。

 身長はコーラルよりも高い。もしかしたらアンバーと同じくらいかも知れない。

 瑠璃色の瞳がアンバーとお揃いで、しっかりしたお姉さんといった感じだった。


 わぁぁぁ・・・。


 リアルメイドなんて、初めて見たかも! 2人とも素敵!

 はしゃぐ私に二人共照れていたけれど、嬉しそうなので良かった。アンバーとスピネルが美形だっただけに、ラリマーとコーラルも美人さん! 家畜の種で生まれる生物は、みんな美形なのかな? そうなると家畜小屋にいる牛達も動物界?の中では美形の部類なんだろうか?

 どうでもいい事をグルグル考えながら、ひと段落着いたことを安心する。


「アンバーとスピネルは私に着いてローシェンナに行ってるから、二人はこの神域の管理をお願いね」

はい(イエス)お嬢様(レディ・マスター)

「ずっとなの?」


 ラリマーは了承してくれたけど、コーラルが寂しそうな瞳で私を見つめる。う・・・、そんな目で見つめられたら・・・!!


「女神様からマーキングを教わったから、直ぐに帰ってこられるよ。7日に一回は必ず戻るから、寂しいかもしれないけど二人で頑張って、ね?」

ご主人様(マイ・ロード)に我侭を言うんじゃない。神域の管理を任せてもらえるだけでも素晴らしい事だろう」


 アンバーの言葉はスルーすると、私の目の前にやってきたコーラルはいきなり屈んで、ギューーーーッと抱きついた。中学生が幼児を抱き抱えているような図なんだけど、これはさっきミミズク状態で甘えてきたコーラルそのままだ。

 苦しくはないんだけど、好かれてものすごく嬉しいんだけど・・・アンバーの目が怖い・・・。


 ラリマーはコーラルの行動に呆気にとられ、スピネルは仕方ないといった感じで苦笑いしていた。ため息を一つ吐いてスピネルがトコトコと歩いてくると、コーラルのスカートの裾を咥えて軽く引っ張る。


「コーラル、ご主人様(マイ・ロード)はすぐまた戻ってくると言ってるんだから、我慢しないと。迷惑をかけたくはないんだろう?」

「・・・・・・・・・、うん、わかった」


 もう一度ギューーッと抱きしめてから、コーラルは私を解放してくれた。本当は離したくないのか目がウルウルしてたけど、そっと下ろしてくれる。


 ・・・何だ、この可愛い生き物は! アンバーやスピネルとはまた違った意味で可愛い!!


 思わず背伸びして頭をナデナデすると、ウルウルしていたコーラルが満面の笑みを浮かべた。

 ダメだ、この子可愛すぎる!


 と、イライラしているアンバーはともかく、その隣のラリーマーが気になる。

 コーラルに断ってラリマーの前に移動すると、呆然としているラリマーに屈むように頼んでからギューッとハグをして、ヨシヨシと頭を撫でた。


「ラリマーも寂しくさせてごめんね? なるべく神域(ここ)には帰ってくるようにするから、それまでコーラルと頑張ってね」

お、お嬢様(レディ・マスター)?!」


 一瞬戸惑ったラリマーはいきなりの事にモジモジしていたけれど、やがて恐る恐る私を抱きしめて安堵のため息を付いた。


「ありがとうございます、お嬢様(レディ・マスター)! 私、次にお会いするまで頑張れる気がします!!」


 私を離してはにかむラリマー。アンバーはムスっとはしていたけれど、渋々それを許していたし、スピネルは嬉しそうに見守っていた。


 アンバーとラリマー、スピネルとコーラル。それぞれ姉弟兄妹だって、判りやすいな~。

 スピネルとコーラルは表情も豊かだし甘えるのも上手だけど、アンバーとラリマーは甘えるのが下手で好意を伝えるのも苦手っぽい。でも4人とも私を大事に思ってくれてるのは、よく解る。


 まだ始まったばかりだけれど、いつか4人揃ってエンデワースに降りられるといいな・・・。


 微笑み合う私とラリマーにいい加減痺れを切らしたアンバーが間に入るまで、私はほんわか幸せを味わっていたのだった。







最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

よろしければ、またお付き合いください。


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