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初心者でも世界を創れますか?  作者: 陽菜
第二章  ローシェンナ 編
32/41

探検! オーキッドの街

書き溜めてはいたのですが、久しぶりの投稿になります。

説明?設定?文が多いですね…。

 

 宿を『踊るひばり亭』に決めて、皆とは別の部屋を取った。

 ここでも調教(テイム)された動物を連れ歩く人もいるらしく、スピネル達がおとなしいと分かると同室を許可してくれた。凄く助かる。

 2階の左から二つ目の部屋に入って扉を閉めると、簡素で清潔そうなベッドに飛び込んで感触を確かめた。

 野営は初めてでキャンプみたいに楽しかったけど、やっぱりベッドがいいな、落ち着くよ。


 少しの間ベッドを堪能したらむくっと起きて、背負ったままのリュックを下ろしベルトポーチに収納する。

 普通なら宿に置いておくのだろうけれど、特別製(アーティファクト)だから放置するわけにもいかないし、治安がいいのか悪いのかも分からないのだ。最初から疑うのは切ないけど、平和ボケした日本人気質を晒して損害を被るわけにもいかない。


『アンバー、スピネル、早速街を探検に行こう!』

『そうですね、地人の地(ローシェンナ)にはまだまだ他の街があるようですが、まずこの街(オーキッド)を調査する事も重要です』

『珍しい野菜や果物があるといいね』


 早速部屋に鍵をかけると、階下に降りてカウンターに鍵を預ける。

 アラン達は装備を補修したり消耗品を買い足したりと色々忙しそうなので、私が気にすることもないだろう。エクルの村も長閑で良かったけれど、初めての街は珍しさも手伝ってワクワクし通しなのだ。

 カウンターのアニタさんは最初、5歳児の私が一人部屋に泊まる事に戸惑っていたが、たどたどしい言葉でもきちんと対応するのを見て、一人前のお客として扱ってくれた。


「気をつけてね、いってらっしゃい」

「いってきまーす」


 一応部屋にも仮のマーキングをしたので、緊急時でも大丈夫。スピネルを脇にアンバーを肩に乗せて、アニタさんに手を振り宿の外に出る。

 エクルの村に比べてざわざわと賑やかな感じのするオーキッドの街。

 流石に宿の前に露店などはないけど、冒険者ギルドに向かっていた途中にはたくさんあったから、そういう場所が決まっているのだろう。

 アプリを起動すると、あっという間に頭の中でオーキッドの街の地図が広がった。


 街の北側が領主と貴族の住宅街、真ん中に噴水広場がありその周辺にギルドや商店が立ち並ぶ。西側に職人街、南と東側に庶民の住宅街があって東南の街堺の辺りにスラム街とまではいかないけれど低所得者の住居が存在していた。

 北側の特別区以外はおおよその区切りで、住宅街にも店のようなものは存在するらしい。それで集客して生活していけるのかは謎だけれど、やはり広場に近いほど場所代が高そうなので、身の丈に合わない人達にとっては仕方ないのかもしれない。この街に長居をするのなら、そんなお店を見つけてみても楽しそうだ。


 まずは物価を確認しないと。

 という訳で、噴水広場周辺の商業地区に行ってみることにした。

『踊るひばり亭』から歩いて10分、道の両脇にちらほらと露店が見え始める。じっと見ちゃうと買わなくちゃいけない気がするので、チラチラ見てみると、果物の露店らしくカラフルな果物が数種類山積みになって売られていた。リンゴやスモモのような果物もあるらしく、甘い香りが漂う。すぐ脇でその果物を絞ったジュースも売られているので、果物とジュースどちらも売られているのかと判断する。

 果物が山積みになっている下の所に5個で1kr(クローネ)と書かれていたので、1krが500円ぐらいなのかと思ったのだが、その隣でジュース1杯1krの文字を見つけた。

 ジュース1杯にどのくらい果物を使うんだろう? 

 それによって手間賃(儲け)がいくら加算されているのかが分かるような気がするので、1杯頼んでみることにした。


「おじさん、ジュース1つ、くださいな」

「いらっしゃい! どの果物にするんだい?」


 愛想のいいオジさんに言われて、果物に目を彷徨わせる。やっぱりスモモかな? 


スモモ(ルモモ)

「はいよ、ちょっと待ってな」


 オジさんが慣れた手つきでひょいひょいとスモモを5個ほど手に取ると、ナイフを取り出してまな板も使わずに半分に割って種を取り出す。それを皮ごと金属のボールのような物に入れ、梃の要領で長い棒の先に短く平たい杵が付いたもので、ググッと押しつぶした。何度か押して果汁を出すと、残った皮を避けつつコップに果汁を注いでくれる。


「おまちどう、甘くて旨いぞ」

「ありがとう!」


 1kr銅貨をオジさんに差し出して、コップを受け取った。果実5個もジュース1杯も1kr。手間賃分が増えてないって事は、元々の果実の値段が安いのかな?

 日本なら100%ジュースは100円程度だけど、ジューススタンドだと300円くらい。果物を無造作に山積みしてる所を見ると、なんとなく1krは100円ぐらいな気がする。

 脇に木箱のような椅子がいくつか置いてあったので、それに座ってジュースを一口飲んでみる。甘酸っぱい味が口いっぱいに広がった。常温だから甘さが余計に感じられるのか、酸っぱさよりも甘さが強いくて美味しい。

 オジさんにお礼を言って飲み終えたコップを返すと、露店を後にした。


 その他の露店と言えば、何かの肉を細切りにして焼いた物をクレープ?に挟んでブリトーみたいにロール状の物や、香ばしく焼いた串焼肉なんかな食べ物系。雑?な感じに織られた布や小物なんかの雑貨類。木や陶器の食器、あとは怪しい小瓶や乾燥させたドライハーブの様なものが並べてあるお店だったり。きちんとした店じゃなくて簡易テントの露店だから、フリーマーケットか蚤の市みたいな感じなのかも。


 一応薬師の端くれになった者として、ドライハーブの並んだお店を早速覗いてみた。二畳くらいの小さな露店で、中学生くらいの少年が店番をしている。割と人通りはあるのだが、少年のお店には誰もお客がいなかった。

 ドライハーブは10本1束で山と積まれて売られていて一束10kr、隣に3本ほど並べてある赤く濁った拳大くらいの瓶には150krの値がつけられていた。

 ハーブが1000円でHPポーションが15000円かぁ。現代(リアル)でハーブは専門店とか行くとグラムいくらで売ってるから、妥当な感じなのかも? でもHPポーションは高いのか安いのかさっぱりだ。でもアラン達は高いって言ってたし・・・。

 という訳で早速鑑定してみる。



 ドライハーブ(チャービナ)

 Level 3 ランクC

 乾燥させたチャービナの葉。煎じたり粉末状にして用いる。エンデワースで一般的に用いられる体力回復剤の原料。


 体力回復剤D(チャービナ版)

 Level 1 ランクD

 チャービナの葉を煎じて抽出した体力回復剤。飲むとHPが10回復するが、怪我は治らない。苦くて渋い味。

 賞味期限: 1ヶ月


 なるほど、値段が高い体力回復剤の方がLevelもランクも低い。錬金する人のレベルの問題なのかな? 

 でもドライハーブの方はそこそこ質も良さげだし、価値の上下は分からないけど、一束買っておこう。


「すみません、このドライハーブ一つ、下さいな」

「お? いらっしゃい!」


 私に声を掛けられて一瞬少年はビックリしていたが、私が差し出した10kr大銅貨が本物だと分かるとお使いだと思ったのか、愛想よく山積みの中からハーブの束をひとつ取り出して渡してくれた。

 後でドライハーブ(これ)を増やして体力回復剤を作ってみよう。

 アプリのレシピではマロウ草とヘザー草で体力回復剤を作るのだが、エンデワースではチャービナというこの薬草(ハーブ)で作るらしい。エクルの村でガイが私の知ってる薬草に見向きもしてなかったので、何か神域との違いもあるのかもしれない。できれば生の根っこ付きが欲しかったのだが(神域で育てるために)、エンデワースではこのドライハーブが一般的なのだろう。生ハーブが手に入ったら、そちらで創ってみても面白そう。


 うーん、まだ王都に着いてすらいないのにやってみたい事が山積みだ。・・・あ、物価の調査の途中だった。


 薬草の露天を後にして、今度はちゃんとした?店構えの薬店を探す。他の様々な店もあったけれど、武器や防具なんて現代でも相場なんか分からないよ・・・。

 程なくして四角い瓶に液体が入ったような看板を見つける。小奇麗で立派な造りだし、多分一般的?なお店だろうと判断してドアを開けて中に入る(さすがに二人には外で待ってもらった)。


「いらっしゃいませ」


 カウンター越しにお姉さんに声をかけられる。幼児でも動揺しなかったので、さすがプロ。

 お店は現代(リアル)と違って手に取れる場所にものがあるわけではなく、カウンターの向こうの棚にいくつもの瓶が置いてあった。お姉さんに注文(オーダー)しないと近くでは見せてもらえないんだろう。ただカウンターに注文表(メニュー)が貼られていた。




 ・体力回復剤C    1本  200kr

 ・魔力回復剤C    1本  1000kr

 ・毒消し(即効性)  1本  800kr

 ・体力回復剤B    1本  350kr


 ・傷薬B(遅効性)  1本  100kr 塗布用



 ・毒消し(遅効性)  1本  80kr

 ・傷薬D(遅効性)  1本  20kr 塗布用


 ・注文調剤(症状によりお受けできない場合があります) 1回分 1000kr~




 注文表(メニュー)を見る限りでは、さっきの露天よりも品揃えはあるけど値段も高い。でもBとかCとかがついてるから、回復量を指していると思うんだよね。

 見上げるカウンター越しの瓶を鑑定してみると、





 体力回復剤C(チャービナ版)

 level 1 ランクC

 チャービナの葉を煎じて抽出した体力回復剤。飲むとHPが30回復するが、怪我は治らない。苦くて渋い味。

 賞味期限: 1ヶ月



 魔力回復剤C(メグルク版)

 level 1 ランクC

 メグルクの実を煎じて抽出した魔力回復剤。飲むとMPが20回復するが、連続で飲むと頭痛を併発する。苦くて酸っぱい味。

 賞味期限: 2ヶ月



 毒消し(即効性)

 level 2 ランクD

 マジョラの実を煎じて抽出した毒消し。飲むと体内の毒成分が即効中和されるが、効かない毒もある。苦くて少しピリピリする味。

 賞味期限: 1ヶ月



 体力回復剤B(チャービナ版)

 level 1 ランクB

 チャービナの葉を煎じて抽出した体力回復剤。飲むとHPが50回復するが、怪我は治らない。苦くて渋い味。

 賞味期限: 1ヶ月



 傷薬B(遅効性)

 level 1 ランクB

 ローラルの葉を潰して抽出した傷薬。患部に塗布して使う。自浄治癒速度が10%上がるが、HPが完治するまでの間継続的に減る。

 賞味期限: 2ヶ月



 毒消し(遅効性)

 level 1 ランクC

 パルムトローの実を煎じて抽出した毒消し。飲むと体内の毒成分がゆっくりと中和されるが、効かない毒もある。苦くて少しピリピリする味。

 賞味期限: 6ヶ月



 傷薬D(遅効性)

 level 1 ランクD

 ローラルの葉を潰して抽出した傷薬。患部に塗布して使う。自浄治癒速度が3%上がるが、HPが完治するまでの間継続的に減る。

 賞味期限: 6ヶ月



 ふむ・・・。質は露店の物とは段違いだ。やっぱり即効性の物はランクとか回復量とかも上だね。お値段も跳ね上がるのはやはりそれだけ供給量とか原材料の問題もあるのかもしれない。

 見たことも聞いたこともない薬草の名前があるから、やっぱりエンデワース(こっち)と神域での材料が違うんだろう。もしかしたら作り方も違うのかもしれない。まあ、私が使う錬金術が特殊なのかもしれないけど・・・。


 鑑定し終わった所でこのまま出るわけにも行かず、毒消し(遅効性)と傷薬Dを買う。注文表(メニュー)を見る限り、この二つは一般の人も買いそうな薬っぽい。ただ傷薬も液体で瓶に入っている所が消毒液的な扱いに見えて仕方がないんだけどね・・・。


 薬店を出て、ため息一つ。

 これが一般的な薬なら、私が作るものは確かに特別(チート)だ。アラン達がビックリするわけだよ・・・。

 とにかく宿に戻ったらこっそり神域に一度戻ろう。エンデワースで採取した薬草を畑に植えたいし、神域の畑も心配だ。アラン達にバレないようにする為には、夕飯の時間までに戻らなきゃだけど。


「二人共、一度宿に戻ってから神域へ帰ろう」


 私は2人を連れて宿へと戻る事にした。また暫くやらなきゃいけない事がいっぱいだ。







最後まで読んでくださって、ありがとうございました。

次は久しぶりの神域です。(すぐ戻りますが…)

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