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初心者でも世界を創れますか?  作者: 陽菜
第二章  ローシェンナ 編
31/41

冒険者ギルドにて

テンプレの冒険者ギルドです。

でもまだ依頼はこなしません。

 

 ヴィオラに引きずられるようにして、しばらく歩く。

 慌ててスピネルやアンバーが追いかけてきて、私に寄り添うように歩き始め、その後ろからアランとゴードンも付いてきているので、安心して周りをキョロキョロと見つめた。


 引きずられながらだから落ち着いては見れないけれど、エクルの村とは比べ物にならないくらいの店舗や露天の店が立ち並んでいた。

 露天は主に食べ物関係らしく、あちらこちらから美味しそうな匂いや威勢のいい掛け声が聞こえる。店舗の方は服や雑貨、あと食堂や宿屋らしきものも見えた。


 うわー、ゆっくり見たい! 冒険者登録終わったら、思いっきり探検しよう!!


 ウキウキしながら見ていると、とある建物の前でヴィオラが立ち止まった。

 結構歴史があるのか古びている感じがするのに、作りは無骨でがっちりしている感じの建物である。ここも生産ギルドに負けず劣らず大きかった。周りを見ると武器屋・装備屋・鍛冶屋・雑貨屋といった店が並んでいるので、やはりここが冒険者ギルドらしい。


 ヴィオラに手を取られたまま、中に入る。ムワッと汗や土の匂いが来たと同時に、男達の熱気と大きな笑い声が聞こえた。

 正面に3つのカウンター、その脇にカウンターへの出入りのためのドア。向かって左側に椅子のない高めのテーブルがいくつか設置してあり、その先奥には調理場らしきものが見え、食事が提供出来るようになっている。おそらく立ち食い専門の場所なのだろう。左斜め奥の壁は掲示板になっており、壁一面をいくつかに区切って依頼が貼り出してあった。向かって右側は書物用の机が二つあり、その奥に二階へ登る階段と階段下にドアがある。

 アランが一番右のカウンターに近づいた。そういえば三人は依頼で碧海の森に来てたんだっけ、その精算かな?


「すごいでしょ、ここが冒険者ギルドよ。ジーナちゃんきたのは初めてよね?」

「うん、すごいね」

「ジーナはこっちだ」


 楽しそうなヴィオラにつられて、私までワクワクしてしまう。ラノベとかで読んだりしてたけど、冒険者ギルドのカウンターってこんな感じなんだ。

 キョロキョロして目を輝かせている私をゴードンが攫っていく。精算はアランに任せるのか、左端のカウンターに私を抱えたまま連れて行った。奥で書物をしていた女性がこちらに気づいてカウンターに出てくる。


「リーア、ギルドの登録を頼みたいんだが」

「あらゴードン、いつから子持ちになったの?」


 気のいい知り合いなのか、親しげに話した受付のリーアさんが抱えられた私を見つめてにっこり微笑んだ。ヴィオラより年上っぽい、しっかりした美人さんである。


「俺の子じゃない。この子が登録するから、用紙をくれ」

「じゃあこれ。代筆もできるけど、自分で書ける?」


 サラっと流すゴードンとリーアさん。リーアさんは私をしっかりと見つめて聞いてくれるが、読めるので多分書けるだろう。

 頷いて用紙とペンらしきものを受け取る。ゴードンに降ろしてもらったが用紙を記入するための机が高すぎて届かなかった。仕方がないのでカウンター下の壁に当てて書く事にする。スピネルが不思議そうに覗き込み、アンバーがスピネルから私の肩に移動してきた。


 記入する所は、氏名・種族・年齢・登録職業だった。他にも住所とか使用スキルの記入場所もあったけど、そこは任意でいいらしい。机ではないので書きづらいのと手が小さいせいで字が綺麗とは言えなかったけれど、それでもなんとか書く。日本語で書いてるつもりでローシェンナ(ここ)の字になる不思議。特別(チート)感が半端ないね。



 氏名:ジーナハース

 種族:人間

 年齢:5歳

 登録職業:


 そこまで来て、悩む。

 何にしよう・・・。 薬師? 弓師? 魔法使いじゃないよね、剣なんか扱えないし。胸張って『これ!!』っていうものがない。


ご主人様(マイ・ロード)でしたらどんな職でもこなせますから、何をお書き頂いても大丈夫ですよ』

『どんな職でもって、私前衛職できないんだよ?』

『僕が一緒だから、大丈夫ですよ♪』


 アンバー達と三人で念話越しにワイワイしてると、ゴードンとヴィオラに覗き込まれた。


「何やってるんだ、書けたのか?」

「職業、分からないから」

「あら、魔法使いじゃないの?」

「生活魔法しか、使えない。魔法使い、いいの?」

『落とし穴』(あれ)って、魔法じゃなかったのか?!」

「魔法だけど、生活魔法、穴掘っただけ。精霊、違うよ?」


 厳密に言えば精霊魔法の一種なんだろうけど、精霊と契約しなくても素養のある人は使えるから、生活魔法という範囲で浸透している魔法なのだ。

 私の言葉に、ゴードンがあんぐりと口を開けている。そんなに変なことしてるのかな? もういいや、薬師にしておこう。

 用紙に書き込んで、カウンターの向こうのリーアさんに背伸びをして用紙を渡す。せめてもう少し身長が欲しいよ・・・。


「ジーナハース、ジーナちゃんね。随分可愛らしい薬師さんなのね」


 笑顔で受け取ってくれると、リーアさんは中に引っ込んで手続きをしてくれる。しばらくすると門の所でみた半透明の四角い石【照会石】と薄いカードのようなものを持って現れた。ゴードンが再び私を抱き上げてくれたのでキョトンとしていると、


「ジーナちゃん、この石に手を当ててくれるかしら? 【照会石】を通してカードにジーナちゃんが登録されるのよ」


 見せてくれたカードには既に私の名前などが書き込まれている。という事は本人登録ができるということなのかな? カードを見た所で詳しくステータスは分からないみたいだし、隠蔽しなくても良かったみたいだ。

 そっと石に手を触れると、フワンと柔らかな光が放たれてすぐ収まる。すると石に乗せられていた白い紙のようなカードが、若草色のカードに変化した。


「カードの色は登録職によって違うの。戦士は赤で魔法使いは青だったりね? ジーナちゃんは薬師だから薬草色になったのね」


 笑顔でリーアさんがカードを渡してくれた。ツルツルしてプラスチックのカードみたい、何で出来てるんだろう? 文化的には中世ヨーロッパなのに、魔法的な何かでなんとか出来るのは、ある意味すごいよ。

 嬉しくなって受け取ったカードを見つめ、確認してからベルトポーチにしまった。先ほどのお金といいカードといい大事なものになる。お金は銀貨までを残してカードと残りのお金をインベントリーに移動しておく。


「もし登録内容が変更になるようなら、またギルドのカウンターに来てくれれば手続きできるから。無くしたら100kr(クローネ)かかっちゃうから、気をつけてね? 

 あと、ギルドランクは基本的にはA~Gまであって、ランク毎に受けられる依頼の難易度があるの。最高ランクはAの上でSよ。エンデワース内では片手で足りるほどしかいないから、滅多にお目にかかれないけどね。

 E~Gまでは依頼を30完遂すればランクを上げることが出来るけど、それ以上は試験が必要なの。まだ小さなジーナちゃんには大変だとは思うけど、Eまでの間ならずっと依頼をこなさなくてもランクは下がらないからまだ気にしなくてもいいかな」


 一通り説明してくれたリーアさんはカウンターから出てくると、私たちを伴って掲示板の前まで案内してくれた。アランも用事を終えたのか戻ってくる。


「依頼はここに貼ってあって、左から右へランクが上がって難しくなっていくの。上のほうが魔物や動物相手の討伐依頼や護衛依頼で、下が採取依頼や雑用依頼が分けて書いてあるから。その他で分からない事があったらカウンターに尋ねに来てね」

「えと、本がいっぱいある所、ある?」

「何を調べたいかによるわね。採取植物や魔物・動物に関しての本ならギルドの2階に置いてあるわ。持ち出しができない上に、利用料が10krいるけど」

「他にも本がある所、あるの?」

「街中に本屋があるけど、あそこは品数が限られている上に買わなきゃ読めないの。あとは神殿と領主の館にあるくらいだけど・・・一般市民は見られないわね」


 なるほど、やっぱり本は貴重なのね。それとも紙自体が貴重なのかな? 依頼はさすがに紙で貼り出されていたけど、それも粗悪な和紙みたいなものだった。依頼を受けるなら、書き留める手帳と筆記用具は必要かも。


「ありがとう。依頼受ける時に、見に来るかも」

「了解しました」


 リーアさんが私の目線になってくれて、ニコニコ笑顔で答えてくれた。


「ジーナちゃんみたいな可愛い子なら、いつでも遊びに来てね。もしむさいオジさんに絡まれたら私に言うのよ? 懲らしめてあげるから」


 ウィンクを返すリーアさんは、なかなかお茶目な人らしい。手を振って皆と冒険者ギルドを出る。とりあえずローシェンナでの身分は大丈夫みたいだし、お金も入ったみたいなので慌てることはなさそうだ。まだお昼前だし、宿を決めたら街中をうろついてみたい。


「ジーナ、お前のこれからの事なんだが」


 アランが二人と何か話した後に、私の方を向く。私はぺこりと頭を下げた。


「お金できたし、身分証明書、作ってもらえたから。皆、ありがとう」

「いや、俺達も臨時収入できたし、こっちがお礼を言う方だよ。あ、いやそうじゃなくてな?」

「3人とはお友達。でも邪魔しないよ?」


 なんとなくアランが言いたそうなことが分かったので、先に言ってみる。昨日馬車の中で言っていたような事だろう。私を連れ歩けないから、どこかへ預けるとかなんとか。

 私の言葉に何か言いかけたアランに、ゴードンが被せる。


「アラン、この子は見た目よりも頭がいいし、状況も解ってるよ。俺達に出来るのは、ジーナが困った時に手を貸すことだ」

「ジーナちゃんなら一人でも大丈夫だわ。料理の腕は確かだし、スピネル達もいるから危険はないと思う」


 ヴィオラまで賛同してくれる。思わぬ応援に、ちょっとビックリしてしまった。やっぱり5歳児にしてはやり過ぎてしまっただろうか・・・。

「でも、」とヴィオラがしゃがみこむ。


「いきなり離れちゃうのは淋しいから、しばらくは同じ宿にいて欲しいなって思う。アランも安心するだろうしね」

「・・・いいよ。でも、お仕事は、きちんとしなきゃ、ダメ、だよ?」

「うんうん、ジーナちゃんありがとう!」


 ずっと一緒と言うわけにもいかないだろう。皆にだって生活はあるんだし、私もオーキッドの街(ここ)にマーキングしたら、一度神域に戻りたいしね。

 私の言葉に、ため息をついたアランが両手を上げるサムズアップのポーズをした。隣でゴードンが苦笑している。


「じゃあ私達が馴染みにしてる宿に案内するわ。その宿の【ジャンプラビット】の煮込みが美味しいの」


 嬉しそうに話すヴィオラ達と共に、私は宿屋へと向かったのだった。


最後まで読んで頂いて、ありがとうございました。


初めての場所って、なんだかワクワクしませんか?

ジーナ(ニーナ)もちょうどそんな感じです。

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