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初心者でも世界を創れますか?  作者: 陽菜
第二章  ローシェンナ 編
30/41

オーキッドの街

やっと着きました!!


長かったです。これからしばらくテンプレ風味になります。

 

「ジーナちゃん、あれがオーキッドの街よ!」


 ヴィオラに言われて御者台に座っているルタさん越しに正面を覗く。ガタゴトと揺れる視界の中で、灰色の高い壁がグルリと街を取り囲んでそびえ立っているのが見えた。壁があるので街の様子は分からないけど、エルクの村よりももっと大きな街だと分かる。

 あれがオーキッドの街・・・。轍の続く道の先には門があり、おそらく街と外の出入りを管理しているのだろう警備員らしき人の姿が数人見えた。この門はそれほど出入りがないのか割と暇そうにしている。

 オーキッドの街(ここ)で冒険者登録して、お金稼がないといけないのよね・・・。あ、私貨幣の単位すら知らないや、こんなことなら先に聞いておけば良かったよ。

 出だしから後悔したが、門は既に目前に迫っているのでもうどうしようもない。街をうろつきつつ観察して勉強しよう。図書館とかあるといいな。


 ゴトリと揺れて馬車が門の前で止まった。ルタさんをはじめアラン達も馬車を降りるので、私もそれに習ってスピネル達と共に降りる。

 幌で見えにくかった街を囲む壁が視界に入り、その大きさに呆然として見上げた。高さは三階建てのアパートぐらいだろうか、ブロックのように積まれた石で作られた壁は結構迫力がある。でも地震が来たら危なくない? あ、結構しっかりしてる。 

 感心しつつペタペタと触っていると、アラン達の声が聞こえた。


「俺達のカードはこれだ。あと、子どもを一人拾っている。碧海の森で保護者とはぐれたらしいが身元は俺が保証するし、直ぐに冒険者ギルドで登録させるから入ってもいいだろうか?」


 振り返ると、強面の門番のおじさんに話しかけているアランの横で、ゴードンに手招きされる。そばに寄るとゴードンが私をおじさんの方へグイっと押し出された。自己紹介しろということらしい。


「ジーナハース 5歳だよ」


 ここが大事なところだと、なけなしの演技力で極上の笑顔を演出してみた。すると私を見た途端、しかめっ面をしていたおじさんの表情がとても柔らかくなる。まるで久しぶりに姪っ子に会った伯父さん(子ども好き)のようだった。

 しゃがみこんで私の目線になってくれると、アラン達のように頭を撫でられる。


「よく一人で無事だったな、怖かっただろう? まあ規則で賞罰の有無は確認しなきゃならないが、それさえ終わればお前たちの保証がなくても入って構わないよ。あ、通行保証料が100kr(クローネ)かかるのは、まけられないからな?」


 私に言って笑顔を見せたあと(笑うと案外可愛い)、立ち上がってアランに告げた。そこでアラン付き添いの元、門の内側にあった詰所に連れて行かれる。その間にルタさん達は馬車を門の中に運び入れていた。

 詰所の中で大きめの百科事典のような四角い半透明の石を持ってこられる。私の前にしゃがみこんだ門番さんが説明してくれた。


「これは照会石だ、これに触って赤く光ると触った人物が何か悪い事をしたことがあるって分かるんだよ。そうなると、もっと詳しく調べなきゃいけないんだ、おじさん達もこの街を守らなきゃいけないからね。逆に青く光ると何か良いことをした人だって分かる、まあ、滅多にはいないけれどね。何も光らなければ、普通の人だって事だ。お嬢ちゃん、触ってくれるかい?」


 頷いて、右手で照会石に手のひらを当てた。ステータスは隠蔽・偽装してるし、見た目は子どもだから大丈夫だとは思うけど、どうか何も光りませんように!!


 祈るように見つめる中、何の反応もしない照会石。良かった、合格のようです。


「手間を取らせて悪かったな、通っていいよ」


 それを聞いたゴードンが懐の小袋を取り出し、100円硬貨大の銀色のコインを一枚門番さんに渡した。あれが100kr(クローネ)なのね、いくらぐらいなんだろう?


「ありがとう、お肉売ったら、返すね?」

「まあ、そんなに急がなくていいからな」


 見上げていう私に、ゴードンがクスリと笑ってよしよしされる。

 どうやら他人の中では私は愛玩動物に近い位置らしい。門番さんも撫でてくれたし、そばで見ていた他の警備員さんも和んだように微笑んでいる。嫌われるよりは、いいか。


 門番さん達に手を振りながら、再び馬車に乗り込んでゴトゴトと揺られると一つの大きな建物の前に止まった。お屋敷のような建物ではなく、商工会のような感じで職人らしき人達が忙しなく出入りをしている。建物の入口には『生産ギルド オーキッド支部』と書かれている。

 ゴードンが馬車を降りると建物の中に入っていき、皆で荷物と【ホーンワイルドボア】の入った桶を降ろし始めた。多分ここでお肉を引き取ってもらうんだろう、通り過ぎる人が何気ないようにこちらを見ているのが分かる。

 朝食に多少お肉は消費したのだが、まだ二桶と半分が残っておりチルド魔法がかかっているので、鮮度には問題ないはず。いいお値段で売れるといいな♪

 荷物を降ろし終えると、ルタさんはにっこり笑ってアラン達と握手をした。


「じゃあ俺の仕事はここまでだ、またな」

「今回も色々と助かったよ、ありがとう」

「ルタさんも、気をつけてね」


 挨拶を交わしていたルタさんが、私の目の前に来るとかがみ込んで私にも握手してくれた。大きなゴツゴツとした手が、働いている男の人の手だって感じさせてくれる温かい手だった。


「ジーナちゃんもありがとうな、飯美味かったよ。また俺の馬車に乗るときがあったら、食わしてくれよな」

「うん。ルタさん、ありがとう」


 私もにっこり笑って握手を返すとルタさんは手を振ってまた場車に乗り、ゴトゴトと行ってしまった。アランに聞くと、辻馬車溜りがあり、そこへ帰るとのことだった。定期便があるみたいだし、そういうギルドもあるんだろう。ここにも色んなギルドが集まってそうだし。

 建物を見上げていると、ゴードンが一人のおじさんを連れて戻ってきた。やや興奮気味である。


「【ホーンワイルドボア】を狩ったんだってな、どれだ?!」

「トッド少し落ち着け、肉は逃げないから」

「鮮度は逃げるだろうが!! 早く処理しないともったいないだろう!」


 ゴードンに諫められたが、エプロン姿のおじさんは目の前の桶の肉に目をやると、「おお!!」と齧りつくようにかがみ込む。


「すごいじゃないか! こんなに大量だとは思わなかったぞ、しかも冷気がかけられているのか状態もいい。これはいいぞ!!」


 ウキウキしたおじさんは話を聞かずに桶をひとつ抱えて建物の中に入ってしまった。ゴードンがため息をつく。

 よく分からないが皆で荷物取置を分担して持ち、ギルドの中へ入った。建物の中は広く、いくつかのカウンターが広めに設置されていた。さっきのおじさんがカウンター横の扉のない部屋に入っていくのが見える。ついて入っていくと、そこは作業場らしかった。数人のやはりエプロン姿のおじさんやお兄さんが桶から出された肉の塊を見てしげしげと見つめている。


「トッド、待てといっただろうが、興奮するのもいい加減にしろよ」

「これが興奮せずにいられるか、あの【ホーンワイルドボア】だぞ?! 滅多に扱えない代物だからな」


 アランの言葉も半分聞いてないようで牛刀片手にいそいそと処理を始めている。仕方がないので、そばにいた初老のおじさんに買取鑑定を頼んだアランは、桶を預けて一旦部屋の外に出た。出る前に私はこっそりチルドを解除してその後に続く。


「トッドは腕はいいんだが、肉バカだから・・・」


 ゴードンがポツリと言ったけど、それは見れば分かるね・・・、本当に好きなんだな。



 しばらく待っていると、作業場の横のカウンターの一つに呼ばれる。どうやらここが買取りカウンターらしい。ゴードンが私を伴って正面に立った。


「お待たせいたしました、買取鑑定は【ホーンワイルドボア】の肉と毛皮一頭分ですね。買取価格は状態も良いということで手数料を引かせていただいて3万krになります、よろしいでしょうか?」

「それでお願いします」


 平気な顔で金貨3枚を受け取っているが、カウンターの下でゴードンがガッツポーズをしていた。相当いい値段だったらしい。

 そのうち金貨2枚を両替したゴードンは、そのまま私を連れて皆の元へ戻った。隅に集まると、ゴードンが二人に分配した後私の目線にかがみ込む。


「俺達の取り分は1万kr、それからルタへの手間賃を引いて一人3000krだ。残りのジーナの取り分は2万kr。内訳は金貨1枚と大銀貨9枚、銀貨9枚、大銅貨9枚、銅貨10枚だ。合ってるか?」


 十進法らしいので助かる。この感じだと【金貨=1万kr、大銀貨=1000kr、銀貨=100kr、大銅貨=10kr、銅貨=1kr】 ということらしい。ゴードンらしく、きちんと分かりやすく両替してくれたようだ。

 私が頷くと、ゴードンも頷いて、私の手のひらにそれらのコインを入れてくれた布袋を渡してくれる。

 子どもの手のひらには大きく重すぎる袋だった。私は受け取った袋を開けて確認すると、改めてゴードンたちを見つめる。銀貨一枚をゴードンに返しつつ、


「門番さんに渡した100kr、エルクの村の宿代、馬車のお金、返すよ。いくら?」


 私の問いにギョッとしたアラン。門番に出した通行保証料の100kr以外は貰う気がなかったらしい。少し考えると私の袋を覗き込み、中からもう一枚銀貨を取り出した。


「これで全部チャラだ」


 じーっと見つめる私の視線に気づかないようなフリをし、ゴードンとヴィオラが苦笑いしていた。どうやらかなりまけてくれたらしい。アランは私の頭をまたくしゃくしゃと撫でる。


「俺達はお前に助けられたから、これでいいんだよ」

「足も直してもらったしな」


 続くゴードンの言葉にヴィオラも頷いた。しぶしぶ袋をベルトポーチにしまいつつ、思う。

 アラン達には、また別の時にお返ししよう。なにか料理やお菓子を持ってってもいいだろうし、うん、そうしよう。


「ありがとう、皆」

「さあジーナちゃん、早速冒険者ギルド行くわよー!」


 ヴィオラは嬉しそうに私の手を取ると、引きずるように生産ギルドを飛び出した。





最後まで読んで頂いて、ありがとうございました。


生産ギルドに続きまして、次は冒険者ギルド登録編です。

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