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初心者でも世界を創れますか?  作者: 陽菜
第二章  ローシェンナ 編
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26/41

ガイと旅立ち

本当に久しぶりの更新です

覚えていてくださる方がいらっしゃると良いのですが・・・


オーキッドまでの行程でつじつまが合わない部分を多少修正しております。


そして、違うタイトルのお話にうっかりこの話を投稿してしまってパニックになったのは内緒です・・・。

 

 あの後、伝え忘れがあったら即座に連絡をしてもらう事を、女神様に念を押してから念話を切った。

 多分何かあるとは思うけど、もう、思い出してくれればイイや、ぐらいで・・・。


 いずれにしろ、女神様を通じて自分の立ち位置が分かり始めてきたのは嬉しい。

 確かに特別(チート)だけれど、それで身動きが取れなければ意味が無いのだ。

 人型を振り回してはいけないけれど、逆に私が振り回されないようにしなければ。

 うん、もっと成長しないとね。



 あれから私はターナ達に散々叱られてさすがに学習したので、村周辺で採取に出るのを諦めた。その代わりにスピネルに採取に行って貰っている。

 そうなのだ。良く考えたら幼女が行くから心配されるので、神域で畑の管理をしているボーダーコリーのスピネルに最初から任せれば良かったのだ。今更気づいた自分を反省・・・。

 その間、室内でこっそりアンバーの協力を得て錬金したり、料理を複製(コピー)したりして過ごしていた。

 本当はちゃんと料理したかったのだが、神域では無い上に、まさか宿屋(ここ)の厨房を借りる訳にもいかない。更に5歳の幼女が包丁を持つと、ターナに心配されて背後で貼り付かれそうな気がする。


 それと女神様に言質を取ったので、エクルの村にマーキングしておいた。といっても村の中ではなく、ガイに案内されたあの綺麗な泉の場所である。いきなり村の中に出現するのはガイ以外には驚かれるという事もあるのだが、あの泉は他にも何かありそうな気がするのだ。水の透明度も類を見ないのでこっそり汲んで確保もしており、月光石(フローライト)も何故だか私だけ手に入れられる。

 創造主なのに、エンデワースには私にも解らないことがいっぱいなのであった。


 ガイとも話したりもしているが、ガイの目つきがあれ以来明らかに違っているので、居心地が悪い。ピンクのオーラは変わらないのだが、ガイの目付きがたまにヴィオラの私を見る目に似ている気がするのだ。

 私は愛玩動物でもアイドルでもないんだけど・・・。天使ってそんなに凄い存在なの?



 そんな日々を過ごすうち、あっという間に馬車が来た。

 元々荷物はインベントリーにあるのでたいした準備もいらず、身支度だけして階下に降りる。アラン達が待っており、ターナさんとガイが見送ってくれた。


「ありがとう」

「どういたしまして、早くご両親に会えるといいねぇ。元気でね」


 ターナさんがほんの少しだけ鼻をぐすっとさせながら私の髪を撫でた。ガイは面白くなさそうに、むすっとしている。


「ガイもありがとう、また来れたら来るよ」

「・・・あんまり(天使の仕事)無理すんなよな」

「うん」


 いろんな言葉が透けて聞こえそうだが、とりあえず内緒にはしてくれそうなので苦笑しながら手を振った。


 エクルの村から馬車に乗るのは私とアラン達しかおらず、許可をもらったスピネルとアンバーも連れて乗り込む。

 幌をつけた馬車は、荷台の側面に沿って簡単な板の段が椅子代わりに両端に設置されており、一両編成の電車の車両を馬が引っ張っているような形になっていた。御者台の近くは荷物置き場になっていて、乗客の荷物とおそらく野営用のキャンプ用品?が木箱に詰め込まれているらしかった。

 電車の車両のようにはなっているけれど、椅子でもなければ座布団が敷いてあるわけでもない。アラン達を見ると何か敷物を用意する訳でもなく、各々板の上に座って出発を待っている。おそらくはそれが普通なのだろうが・・・お尻が痛そうだ。

 馬車の中ではお尻を浮かせておこうと、コッソリ心の中で誓う。そうでなくても現代社会のように舗装された道ではないのだ、馬車酔いしそうな気もする。


 私は三人から少し離れた馬車の端(狭いのでそれ程離れたわけでもないのだが)の板の上に座ると、マントの裾をお尻に敷いてから広げるようにした。それからどうやって起動するのか分からないけれど適当(ファジー)を信じて、お尻を1センチほど浮く様に念じてみる。すると微か?にではあるが、お尻が板から離れた。感覚としては磁石が反発して浮いてる様な感じだろうか? 力を入れて板にお尻をつけようとしても、軽く押し戻される。多分これでいけるだろう、後は馬車の揺れ幅に応じて調節すればいい。マントの裾がある程度長いので注意して見なければ他の三人にもばれないはず。

 そう言えば、アンバーは私の膝の上にでもいれば良いけれどスピネルは大丈夫なんだろうか?


『私は揺れ対策するけど、スピネルは大丈夫?』

『平気です。大変になったら外で並走しますから♪』

『・・・そう』


 明るく言われたので、多分大丈夫だろう。アンバーは私の膝上で踞って、素知らぬ顔をしていた。


 ゴトリと車体が揺れて、馬車が動き出す。ヴィオラ達がターナやガイ達に大きく手を振っているので、私も立ち上がって手を振ってみた。するとガイがグッと何かを我慢するような表情を浮かべ、いきなり馬車を追いかけるように走り出す。何事かと驚くアラン達をよそに、ガイが走りながら大きく手を振った。


「ジーナー!! 俺、絶対強くなるから! そしたら一緒に狩り行こうな!!」


 ニヤニヤと笑って見るアラン達を気にもせず、私はガイを見つめた。すぐに馬車と引き離されガイの姿は見えなくなったが、私はそれでもガイが見えなくなった景色を見ている。

 心が少し、キリリと音を立てたような気がした。


 多分ガイは、あの時の事をずっと気にしていたのだ。自分が何もできずアンバーに保護され、私やスピネルに守られた事をずっと悔やんでいて、最後の最後にあんな事を言ったんだろう。

 普通の小学生が【フレイムウルフ】にどうこう出来るはずがないのに。私が特別(チート)だから対抗できただけなのに・・・。


「男の子って、すごいね・・・」

「守りたい者が出来た男は、強くなるんだよ」


 私がポツリと漏らした言葉に、アランが答えた。振り返ると皆が私を見つめ暖かい笑顔を向けている。自分の頬が熱くなったことに気づいて私は慌てて席に着いた。

 なんで皆そんな目で見るのよ! ガイはエクルの村で知り合った単なるお友達なのよ、うん。皆の視線は、まるで初彼氏でもできた姪っ子を見てるようじゃない?!


「ジーナちゃん、彼氏が出来てよかt」

「違う!!」


 ヴィオラの発言を全力で否定する。確かにちょっとかっこいいなとは思ったけど、ガイは10歳だよ?! 20歳の女子大生と10歳の小学生、現代の日本なら立派な犯罪だし、私にショタコンの趣味は無い。かと言って理想はどんな男性かといえば・・・どんなだろう? 

 恥ずかしながら私は、自分から好きになって付き合ったことがない。付き合ったといっても小学生の頃のままごとのような付き合い?で、一緒に下校するとかバレンタインにチョコを渡したりとかその程度だ。そこから前にも後ろにも進まず、自然消滅というかお友達に収まっている。人生においてあれは果たして付き合ったと言えるのかどうか、首をかしげる案件である。


「まあ、ガイは将来いい漢になりそうだよな」

「よかった、よかった♪」

「ジーナちゃんに怒られた・・・」


 ゴードンもアランも勝手に収まっているので、これ以上突っ込まないことにする。ヴィオラが涙目でこっちを見てるので、それも何だか嫌だ・・・。


 エクルの村からオーキッドの街まで、馬車だと2日の道程だ。という事は一度は野営をすることになる。

 比較的安全な道なのか、御者さんが一人いるだけで護衛もいない。荷台の後ろから見える景色はどこまでも後ろへと伸びる続く轍で、それ以外は草原と近場に生える木々ぐらいだった。

 最初のうちは興奮してキョロキョロしていたのだが、やはり飽きた。舗装されている道ではないので(当たり前だが)ガタガタと揺れ、眠る事もできないらしい。らしいというのはアラン達の様子から見て思うことで、私は揺れ対策のおかげか醉う事もなく普通に軽く?揺られているだけである。因みにアンバーは私の膝の上で眠っている。スピネルに至っては宣言通り、私と同じく飽きたのか荷台から飛び出して外を駆けている。伝わってくる雰囲気は、とっても楽しそうだった。


 不意にアランが声をかけてくる。


「ジーナ、とりあえずお前はオーキッドの街に着いたら冒険者ギルドに行って登録しろ。そうしないと宿にも泊まれないからな」

「うん。でも街に入るのは、いいの?」

「俺たちが保証人になるから、入る時だけは大丈夫だろう、まだ子どもだしな」

「冒険者ギルドへ行ったら、ついでにジーナの保護者の依頼も出しておくか・・・」

「え、えと・・・見つかるの? 私何も(情報)分からないよ?」


 私の言葉に、三人とも固まる。いち早く我に返ったゴードンが顎に手をやりながら唸った。


「まあ、依頼を出さないにしろ、そういう情報がないか集めてみるのは大事だろう。ずっと手をこまねいている訳にもいかないし」

「そうよね、ジーナちゃんを私達がずっと連れ回すわけにもいかないし、最悪王都の孤児院っていう手も考えないと・・・」


 孤児院?! ・・・ほんの少し興味が沸かないでもないけれど、行動を縛られるのは困る!! いくら探しても私の保護者はいないのだし、変なのが私を拐う目的で名乗りを挙げられても困るのだ(自分で言うのも変だけど、見た目可愛いもんね)。明日までに、対策を考えないと・・・!!! とりあえず今夜アンバーとスピネルで対策を練らなきゃ!!


 ガタゴトと揺れて進む馬車は何度か馬に休憩をさせるために止まり、その度に皆は荷台から降りて腰を叩いたり背伸びをしたりしていた。確かに同じ体制なのは辛いよね、揺れ対策してる私でさえも、少し腰が痛い。


 二度目の休憩で止まった馬車から降りた私はアンバーを下ろすと、うーん と背伸びをした。御者のルタさんは馬車から馬を外してそばにあった木陰に連れてゆき、荷台から降ろした水袋から入れ物に移したお水を飲ませている。アンバーも背伸びをした後は周りをキョロキョロと見回して警戒しているが、スピネルは自由に走り回れるのが嬉しいのか、元気いっぱいに草むらを縦横無尽に疾走中。元気だな・・・。

 アラン達も木陰に場所を移して腰を下ろすと、各々に水を飲んだりしている。

 この馬車は一応3食付き(昼夜朝食)なので食事の心配はないらしい。だが野営なので食事の内容は推して知るべし、とはアランの談である。いっそ私が材料を提供して作ってしまいたい所なのだが、どうしようかな・・・。でも、馬車での野営がどんな物なのかというのも体験したいのでお昼は様子を見てみよう。と思っていると、


「ほら、嬢ちゃんの分だ」


 そう言って御者のおじさんが手渡してくれたのは、件の堅焼き煎餅パン1つと干し肉が一枚、それとコップに入れられた水が一杯・・・。ヴィオラやゴードン達を見ても、大人であることを鑑みてパンと干し肉の量が多少増えているだけで、ラインナップは変わらない。御者のおじさんも馬の近くに座って同じものをガジガジと齧っている。


 旅の途中だし、きちんとした調理場もないし、調理する時間もないから仕方ないんだけど・・・、仕方ないか・・・。

 諦めて皆とは少し離れた木の下に座り、膝の上にハンカチを広げてパンと干し肉を置く。

 念話で呼んだスピネルとアンバーが昼食メニューを見て、そして私の顔を見つめる。二人の顔には【もう、これは(このメニューは)嫌】と書いてあった。


 嫌でも仕方ないんだよ、そういう世界なんだから。私も嫌だけどね・・・。


 ナイフで三等分にしたパンと干し肉を二人に配ってから、私も堅焼き煎餅パンを口にする。

 うーー!! 夕食もこれなんだろうか・・・。 


「同じなら、こっそりインベントリーにある料理出しちゃおうかな・・・」


 うっかり漏れた私の呟きに、アンバーが即座に反応して期待の目で見詰められたのは、仕方のないことなのかもしれなかった。



最後まで読んで頂いて、ありがとうございました


現代と違う不便な馬車の旅。想像を広げて書いてはいますが・・・ほかの作者さんの文章力が羨ましいですね・・・。

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