呪い?の女神様セット
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エンデワース生活六日目、自給自足生活も二人のお陰でかなり安定してきていた。
野菜や果実は倉庫に貯蔵されているし、料理も多めに作ってインベントリーに入れておくと、出来たてのまま保存されるので重宝する。
マニュアルで作ることも可能だが、一度作れば技術化して呪文が出来るため、次からはその呪文を実行するだけで料理を作ることも可能になってしまった。
この技術は私だけみたいでアンバーやスピネルには発生していない。多分創造主だけの特別能力なんだろう。
もしかしたらアクティブスキルでも生えたのかもしれない。貯蔵を目的とする料理の時に、材料さえあればこの呪文だけで簡単に出来てしまうので、とても助かっていた。
そういう訳で、今日は初めての採取に出る事にする。
敷地内のことは二人に任せてしまっても全く問題がないので一人で行こうとしていたのだが、なんと二人に大反対されてしまった・・・。
「見た目は幼女だけど、中身は20歳なんだよ? しかも女神様のチートスキルのお陰で怪我しない仕様になってるし・・・」
「確かにそうかもしれませんが、ご主人様はこの辺りの地理に明るいわけではございませんよね? 迷ってしまわれたら、どうなさるおつもりですか?」
「僕が護るから、一緒に連れてって欲しいって言ったよねっ!!」
ソウデスネ・・・。二人ノオッシャルトオリデス。
仕方がないので同行を許すと、今度はどちらが付き添うかでまた揉め始め、・・・結局二人共来ることになってしまった。
しかし私の仕事なので、危険がない限り極力手出しはしないように言い含める。不服そうではあったが、そうでなければ連れて行かないと言ったら渋々納得してくれた。
よく考えたら、幼女に説教される美青年二人の図というのもなかなかシュールだね・・・。
二人がお仕事を終わらせてる間に、私はお昼のお弁当を準備する事にした。
チートスキルで作り上げたライ麦パンと、イベリコ豚のロースハム・鶏卵、レタスやトマトなどを使ってサンドイッチにしてみる。デザートは一昨日作ったアップルパイが好評だったから、それにしようかな?
アンバーの食材加工技術も慣れて安定してるから、料理を作る時も本当に助かってる。
一々豚肉からハムを作るのも大変だからね・・・。検索サイトで作り方を調べられたのも良かった。そういうお仕事してるんじゃなきゃ、ハムの作り方覚えてないし。
食材に関してはもう現代とほとんど大差ないね。
ポットに茶葉から作った紅茶を入れお湯を注ぐと、お弁当の準備は終わってしまった。
水筒にでも入れたい所だけれど、食材以外は加工した事がないので、水筒をまだ作っていない。
しかもインベントリーの中身は私が転倒してもこぼれない上に、温かいものは温かいまま冷たいものは冷たいまま品質維持されるため、このままポットごと入れてしまっても問題がなかった。
人型の地に降りる時は気を付けないと。知らない人が私がインベントリー取り出すの見たら、ビックリするだろうしね・・・。
お弁当の準備が終わったので、意を決して二階の自室に入る。
遂に、見るのを先延ばしにしていた 『アランニール神特製冒険者セット』 の確認をするのだ。
本来なら採取初心者なので 『初心者冒険者セット』 を使うべきだと思うのだが、アンバーから
「『アランニール特製冒険者セット』があるのでしたらいずれ使うことになりますし、早めに慣れた方がよろしいかと思います」
と助言された事もある。
インベントリーの中から、小さめの鞄を取り出した。
一見何処にでもあるような革製のアタッシュケースに見える。テーブルの上にその鞄を置いてゆっくりと蓋を開けてみた。
一体どんなものが入ってるんだろう・・・。
この淡いブルーの服はローブだよね? 長めのチュニックみたい。七分丈の黒のレギンスも入ってるし、多分セットで身に付けるんだと思う。
あと、フード付きのマントとキャラメル色のブーツ。ペンダントとかリングとかのアクセサリーもあるけど、何か耐性加護があるのかもしれない。
こっちの宝珠付きの手甲は、・・・防具?? 薄い金属だから見た目それほど防御効果はなさそうなんだけど、女神様の事だから何か特殊能力が付加されてるんだろう。
リュックとベルトポーチはインベントリーがあるから必要ないのかもしれないけど、他の使い道があるのかな? 確か採取とか狩りした時のドロップアイテムはインベントリーに入るって聞いた気がする。
でもやっぱりサイズは、大人用なんだよね・・・。
とりあえず、アクセサリーとリュック・ベルトポーチ以外のものを身につけてみる。もちろんブカブカである。と、
『ピロリン♪
登録者:長谷川新菜 種族:異界人 資格:エンデワース創造主
この情報に、間違いありませんか? Yes or No 』
目の前に半透明なスクリーンと文字が現れる。
装備に認証システムがあるって・・・、ファンタジーなんだかSFなんだか分からなくなってきた・・・。
Yesを押すと、
『登録完了しました。以降 登録者:長谷川新菜以外の者の使用を拒否します』
という文字が現れて、身につけている物はおろか、鞄の中に入っていたアクセサリーやリュックまで一瞬眩い光を放った。
ポフンと軽く風がまとわりついて、収まる。
「お、終わったのかな?」
恐る恐る身体を見ると、大人用サイズのローブやマント・ブーツがフィットして幼女の私ピッタリサイズになっていた。
やっぱりこっちもイリュージョンなのね。でも、どういう機能が付いてるんだろう?案外普通のものだったりして。
何か取説のようなメモはないものかと鞄の中を探ってみたが、何も入ってはいない。リュックとベルトポーチも身に付けて中を探ってみても、サイズの割に容量はありそうなのだが、やはり何も入ってない。
う~ん。鑑定なんてアクティブスキルなかったしな。女神様にメールで聞くしかないのかな?
鞄をじーっと見つめていると、不意に文字がポップアップした。
『名称:アランニール神特製 冒険者セット が入った鞄
機能:アランニール神の加護を受けた最強装備 が入っている。登録者のみにしか開けられない』
何か説明来たー!!!
という事で、左腕に付けた手甲を見てみた。
『名称:アランニール神の手甲
機能:アランニール神の加護を受けた特殊手甲。
宝珠に封印武器(属性付加、命中率補正付き)が込められており、任意で変形・出し入れが可能。
登録者のみにしか使用できない。変形できる封印武器は次の通り。
片手剣・二刀・短剣・槍・斧・鞭・長弓・棍棒・錫杖・杖 』
・・・ちょっと待って。私に武器はいらないんだってば~~~!!!
慌てて外そうとしたのだが、外れない・・・。呪いの装備?!
リュックは下ろせたのだが、マントもブーツもローブも引っ張ってみるが外れない。
もしかして、一生このまま?!
・・・待って、落ち着いて、落ち着くのよ新菜。こんなことは何度もあったんだし、不利な事じゃないんだから。多少邪魔かもしれないけど気にしなきゃいいのよ!(・・・そうか?)
前の時もしたような気もするけど、深呼吸をゆっくり三回して自分を落ち着かせた。
『ご主人様?! どうかされたのですか?!』
『何?! ご主人様、何があったの?!』
不意に念話で二人の声が届く。どうやら私の強い感情が二人には感じとれるらしいのだが、二階はセキュリティー上登って来られないため、気忙しそうな様子が感じられる。どうしてだか解らないけれど、二人が階段部屋に来ているのが分かった。
『だ、大丈夫、ちょっとビックリしただけだから!』
『本当ですか?』
『無理してない?』
『うんうん。急に驚かせてごめんね』
訝しながらも、戻っていく気配がする。二人に話した所でどうにかなる訳じゃないし、仕事の邪魔しちゃダメだよね。
大きくため息をついて、改めて手甲を見る。
攻撃したことないしするつもりもないから、武器なんて必要ないと思うんだけど。それとも女神様は何か解ってて、それで私に必要な物だと渡してくれたのかな? それなら嬉しいのだけれど、でもずっとこのままなのは困る。
「せめて普段は見えなくなってて、必要な時に使えるようになればいいのにね?」
フッ。
瞬きする間もなく、手甲が消えた。思わず今まで手甲があった左腕を右手で撫でて触ってみたが、何もない。
「本当に、無くなっちゃった?!必要な時は要るんですよ?!」
フッ。
再びもともとそこにあったかの様に、手甲が姿を現した。
瞬き一つ、もう一度消えるように念じると、手甲が消えてなくなる。・・・もう一度現してから、今度は身に着けていた女神様セット全部を消えるように念じてみる。
全ての装備が消えて、私はタンクトップとショーツ姿(ローブを身に付ける前)に戻った。ペタペタと身体に手を当ててみるが、タンクトップ以外何かを着ているようには全く感じない。ふむ。
試しに先程まで着ていた部屋着を身に着けてから、女神様セットを現すように念じてみた。すると部屋着と入れ替わるように女神様セットのローブやマントが現れる。部屋着の上から重ね着している感もない。
「おぉ、便利かも」
出したり消したりを繰り返してみながら、装備を見つめる。
女神様どうしてここまで便利な道具を出せるんだろう? どこかで統計でも取ってるみたいに、痒い所に手が届くチートっぷり。
困ったな、現代に帰りたくなくなる。
たぶん、このセット装備の機能はこれだけじゃないんだろう。だけどこれだけは言える。
絶対死なないね。というか、この状態で死ぬほうが難しい。
そこまで考えて、ふと思う。
女神様は、どうしてここまでしてくれるんだろう? そもそも、どうして私が選ばれたの?
空はいつものように青く晴れ渡り、気持ちのよさそうな風が庭の草木を揺らしていた。出かけるのには格好の日和である。
私は思考の迷路の中に、アンバー達に呼ばれるまで彷徨うことになった。
最後まで読んでいただいて、ありがとうございます。
更新ペースがランダムになってしまっていますが、これからもお付き合いしてくださると嬉しいです。




