4日目
4日目、花札と零華
(画面が激しく揺れる。少し時間が経つと画面の揺れが安定する。画面には男性と少年が花札で遊んでいる姿が映る。少年は9〜12歳ほどになっている)
『……あ、来たんだ。4日目。今日は花札で坊主めくりをしています。今、4回戦目です』(男性がカメラに気付き、カメラの方を向く)
『カメラ、来てるよ。手、振ってあげて』(男性の言葉に少年はカメラの方を見ると嬉しそうに手を振る)
『今は9〜12歳くらいになったかな。本当に成長著しいよ。って、ちょっと?!』(男性の言葉の途中、少年がカメラに向かって突進していき、激突する)
『カメラが!!』(男性がすんでのところでカメラをキャッチする)
『良かった。壊れてないや。って、大丈夫、二人とも!』(男性がカメラを少年達に向ける。そこには倒れている少年と一人の20代前半ほどの燻んだ金髪に黒眼の男性が映る)
『……大丈夫に決まってんだろ』(20代前半ほどの男性が不機嫌そうにしながら、少年を立たせる)
『大丈夫!』
『なら良かった。あのね、人にぶつかりに行っちゃダメ! 分かった?!』(落ち込む少年の姿に端で20代前半ほどの男性が笑っている)
『……もう。怪我には気をつけてよね、特に零華。無理しないこと。分かった?』(カメラが20代前半ほどの男性の方を向く)
『『分かった』』
そこで動画は終わった。
……成長した少年のその姿に既視感があった。まるで自分を見ているような既視感があった。勘違いかもしれなかった。
違和感がそれだけで済んでいれば良かった、と思ってしまった。
動画に映った20代前半の男。あまりにもその姿は『オレ』だった。
有り得ない。有り得るはずがない。少し、やさぐれているようには感じた。でも、それでも、間違いようもなく、その姿は『オレ』だった。
「零華、は、オレの名前、だろ。あいつは、オレ……?」
花宮一は間違いなく、男を見て呼んだ。「零華」と。 男と少年はその名前に反応した。間違いなく。
有り得ない。そんなわけない。
だって、その名前は『オレ』の名前なんだから。
ちょっとした違和感と有り得ないはずの名前。何故、『オレ』はそのことに今まで気が付かなかったんだろう。




