表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/9

3日目

3日目、オレが学んだ日

(画面上にドアップで映る少年の顔)


「あっ、ちょっと待って!」(男性が少年をカメラから離す姿が入る)


『まったく、目を離したらすぐこれだ。ほら、こっち来て、ここで待ってて』(男性がカメラの位置を直し、少年の手を引きながらカメラに映る位置に移動する)


『3日目です。あの赤ちゃんがこんなに大きくなりました。やっぱり、成長速度が一定時期までは速いみたいです』(呆れたような笑みを浮かべながら、少年の頭を優しく撫でながらカメラに向かって話す)


『今は4~7歳くらいだと思う。今は勉強を教えて、知力と学力、知識をつけさせてます。ゲームとか、読み聞かせもしてます』


『国は読書もゲームも不必要な娯楽(ごらく)だって言うけど、必要に決まってる。選択肢を増やすためには必要不可欠なものだよ』


『……この子は(なん)でも吸収して、学んで、成長してる。誰よりも(かしこ)くて良い子だ』(少年は男性の服を楽しそうに引っ張っている)


『……今日は読み聞かせをしようかな』(男性のその言葉の直後、男性と少年を呼んでいる誰かの声)


『……呼んでるね。行こっか』(男性は声のした方を見る。少年は男性の言葉に嬉しそうに笑う)







 そこで動画を止めてしまった。


 花宮一、と少年を呼ぶ声。2日目の記録にも入っていた声。聞いた覚えがある声だった。


 声の主は、今回はカメラの近くにいたらしく、声がはっきりと聞こえた。有り得ないはずの声。その日、そこにいるはずのない人の声だった。




 これは『()()』の声だ。


 それは間違いようもなく、『()()』の声だった。


 有り得ない。有り得るはずがない。似ているだけだ。


 そう思いながら、震える指で再生ボタンを押す。


 再生された3日目の動画。たった数秒だった。


 そこには少年に服を引っ張られながら笑う花宮一と同じく、服を少年に引っ張られている画面端(がめんはし)で見切れ、手しか見えない(手だけならば男のようだった)誰かの姿が映っていた。

その日、その場所にいないはずの人間の声。でも、どうしても、その声にオレは覚えがあったのだ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ