〜王次郎はいつも大事件〜
「ママー!おきてー!ねーねー!おきてー!」
「んー?王次郎かぁー?」
王次郎に揺さぶられたようだ・・・もう羽化したのか?・・・
「ママー!みてみてー!ボクまた変わったよ―?」
「どれどれ・・・・・・・えっ・・・・えっ?・・・・」
「王次郎・・・・・ずいぶん変わっちゃったね?」
・・・・はぁ?・・・なんで?・・・・
「そー?」
俺が王次郎の”声”で起きたわけなんだが・・・
なんだろう・・どう表現すればいいの?
今の王次郎は、6歳くらい。
小学1年生くらいの男の子に成っている・・・・
いや人間に近づいてるんだが・・人間じゃないな
なんでこんな変化がでたんだろ?
変わりすぎ・・そう変わりすぎだろ?
今まで、下手すると小さい家くらいの大きさだったのが、
羽化してみれば人間のそれも子供に成ってるなんて・・・
ただ・・明らかに人間ではない、というのも眼球は複眼のまま、額から可愛らしい触覚が二本、体は腕が4本、足が2本・・・関節などの節々に虫の色が残っている・・しかし、肌は人間に近い・・若干イルカなんかの海生哺乳類系のツルンとした見た目だ・・
顔は・・親バカを省いても可愛らしい作りだとおもう・・耳もある尖ってるけど・・・口、鼻・・これは人間に酷似している・・口の中を覗くと歯もちゃんと揃ってる・・ただ、歯は虫のキチン質な感じだが・・
手も指がちゃんと5本ずつ揃っている・・
足は・・足のところには指がない・・まるで靴下をはいている感じ・・・
背中を向かせると・・肩甲骨が有る場所の辺に小さいサケの缶詰が付いている・・・なんだこれ?
髪の毛もそれらしいものが生えている・・・俺には無いのに・・・・
いや・・これは・・どうすればいい?
『ニック様・・・王次郎様は・・もしやニック様と母様との間の子では?』
・・なにを言い出すんですか?黄土ちゃん?・・・・
『ふむ・・妾では無く母上と・・・・目元など・・ニックにそっくりではないか・・・』
白氷?なにいってんの?・・そんなこと出来ないからね?・・そっくりなの?・・
「ママー!あそぼー!」
・・・ちょっと、待ってくれないか、王次郎・・今ママは大混乱してますからね?・・・だめでちゅよー?
『のう・・ニックよ・・これは・・どう解釈すれば良いものか・・妾ではわかりかねるのじゃが・・混乱がヒドイ・・』
「白氷・・俺もいま盛大に混乱してるぞ・・・こんな変化するなんて・・・思っても居なかったし・・ってかあんだけの質量・・どこいったんだよ?」
『ニック様!・・王次郎様は、もうソードヘッドではないのでしょうか?・・・』
「・・・・いや・・同じ種類だと思いたいってか・・始めから頭に剣もってないから其のへんは疑ってもしかたないだろ?・・ってかさ・・・・黄土ちゃんと同じくらいの大きさになったじゃん・・喜んでよ・・・」
『・・・・・・・喜べば良いのですか?・・・・・』
「・・・・うん・・・・・・」
「いやー・・それにしても・・どうしたもんかね・・・」
「黄土ちゃーん!お歌うたおー!」
『・・・ニック様!』
・・すごく涙目なんだろうけど・・・こっちに助け求められても困るんだよね・・・・
「ん・・どっこいしょ・・っと」
「王次郎、少し詳しく調べたいからこっち来なさい」
「んー?はーい!」
間近で王次郎を観察・・体を隅々まで触って確信したことが有る・・・
「王次郎・・その姿・・変えられるんじゃないのか?」
「んー?どーやってー?」
「そうだな・・取り敢えず、おおきくなれー!って思ってみてごらん」
「?はーい!」
「んんんんん・・おーいくなーれーッ!」
王次郎がすごく力んで、大声を出しながらバンザイの格好を取る・・すると・・・
・・俺はここでやんなきゃよかったと思った・・・・
一瞬であった・・王次郎が立って居た場所には・・・羽化前の王次郎に似た物が鎮座している・・
いや規模がデカくなってる・・部屋を壊す勢いで出現したのだ・・
王次郎の顔の先は既に部屋を壊し外に出てしまっている・・お尻の部分は部屋の奥まで届いてしまった・・・
脚なんて見上げる位にそびえ立っている・・・
・・・俺が一言でこれを表現するならば・・・・・蜂型飛行機・・大型の戦闘機くらいの大きさじゃないかな?実際に見たこと無いが・・多分そんくらいだと思う・・・
『ママー!おっきくなったー!ボクおっきくなれたよー!すごいー?』
「おお!王次郎!すごいなー!ママは感動してちょっと震えがきちゃったぞー!』
・・正直・・ここまでだと・・手が付けれません・・怖い・・
『みてみてー!羽!ついてるー!』
・・そういって、部屋をガリガリと壊しながら俺に背中を見せてくる・・
・・すまん・・王次郎・・それ羽じゃないわ・・サケ缶にしか見えない・・・
王次郎の背中にはサケの缶詰状の突起が2つ付いている。
「おお!すごいなー!どうやってとぶんだろーねー?」
『ボクもわかんなーい!へへーw』
・・王次郎・・そこ喜ぶとこじゃないけど・・・・かわいいから許す!
「そうかー!じゃぁ・・もう一度小さい王次郎の姿みせてー?」
『うん! んんんんんんん・・ちっちゃくなーれー!』
すると、目の前に有った戦闘機が物理法則を無視した様に小さく成っていきグニグニと動いたかと思おうとあれよあれよと言う間に小さい子どもの姿に戻る・・・
・・・すごい・・・王次郎・・変態をしたんじゃなく・・変身したんだね・・・あら、やだカッコイイ!
「王次郎!ママも変身したいなー」
「へんしーん!へんしーん!ママー!へんしーんってなにー?」
すごく楽しいのだろう・・俺の周りを頻りに騒いで廻る・・王次郎・・可愛すぎだろ!ちくしょう!
「変身ってなんだろーねー?」
「ママも変身できるー?」
「ママは、まだできないよー?」
「そっかー・・・黄土ちゃんも変身するー?」
『・・・・・・・・・・・・・・・・すみません・・少し現実が遠のいていまして・・その・・私ではまだ・・出来ないです・・・』
『王次郎様・・妾には振らんようにな?妾もできぬからのう・・・』
「じゃぁボクだけかー・・つまんなーい」
「王次郎、ママもそのうち変身するから!その時遊ぼうね?」
「うん!早くね!」
「う・・・うん・・・」
・・変身・・したいなぁ・・・ってかこの機能どういう仕組みなんだろ?・・・
俺はあぐらをかいて其の上に王次郎を乗せ頭をグリグリと撫でる
・・きもちいい・・かわいい・・・・・ちゅっちゅしたい・・・・
前世で、もし子供がいたらこうやって可愛がりたかったんだよなぁ・・
俺はひとしきり王次郎をなでくり回すと、取り敢えず今日の作業につくことにした。
王次郎の事は、黄土ちゃんに任せてっと・・
黄土ちゃんがどう対処すればいいのかオロオロしてるけど・・・ほっとく。
今日からでもボークスや色々と復活の作業を行わないとならないなーと思っていたので早速”時の記憶”へ向かう。
俺が”時の記憶”へ足を運んでいると、
ヘキサから緊急のアラートが鳴った。
(緊急!緊急!当巣の外苑にアームズの集団が侵入しました。)
(緊急!緊急!当巣の外苑にアームズの集団が侵入しました。)
(緊急!緊急!当巣の外苑にアームズの集団が侵入しました。)
(緊急!緊急!当巣の外苑にアームズの集団が侵入しました。)
・・・・
・・
『ニック!・・アームズ共が来るのはまだ先ではなかったのかえ?』
「・・・そう思ってたんだけどなぁ・・・・なんで来たんだろ?」
(ニックよ!アームズが来おった!)
(ああ・・女王陛下・・お麗しゅうございます・・・)
(もう其の下りはよい!・・はよ対処せねば!)
(・・わかりました・・取り敢えずナンバーズも外に居ますので、纏めて蹴散らしますよ。)
(うむ!)
『ニックよ・・行くのじゃな?』
「うん・・白氷は”時の記憶”で待機しててよ・・多分被害出るほどの攻防になるとおもうからさ」
『・・わかった!・・妾はヘキサと共にサポートにまわろう』
「うん。そうしてもらうと助かる」
「じゃぁいってくるよ。」
『うむ!気おつけてな!』
「はははwありがとー」
俺は、急いで外へ向かった。
ゼロがアームズの接近に気づいたようだ・・・
『おい!てめぇら!なにしにきやがった!』
『性懲りもなくまたきたわね!』
『返り討ちにしちゃうよ―w』
『そうですね・・此の前の我々とは一味違う所をお見せしましょう』
『・・・殺る!・・・』
『ねぇ・・ムウ・・』
『うん・・・ミウ・・・』
『あたし達武器持って無くない?』
『そうなんだよね・・・どうしよ・・・』
『・・取り敢えず一つに成っとこうか?』
『そうね・・一つに成ろう』
『おい!・・囲まれてるぞ!・・・』
『大丈夫よ!・・どれもこの前倒した相手ばかりよ!・・いけるって!』
『そうよそうよ!・・あたし達なら出来る!』
『では、私は後方から支援をいたします。』
『ボクは・・もう先に行っちゃうね・・』
『『あたし達は感染者をまもってるね!』』
『よし! いくぞ!』
『『『『おう!』』』』
一番槍はゼロだった。即座に武器のオプションを起動すると四本の剣が凄いいきよいで振り抜かれる。一拍すると目の前に立ちはだかるシールダーが細切れに崩れる。
二番槍は7だった。オプション起動に伴い、得意のチャージからの一突きは後ろに控えていた3体のシールダーまで貫通する。
三番槍は9だった。蜃気楼の様に揺らめく刀身を横薙ぎに振り回すと、触れたシールダーの複数体が燃え上がる。
四番槍は6だった。姿を消してからのナイフの投擲は見事にシールダーの頚椎を捉え、同時に6体ものシールダーが戦闘不能となった。
五番槍は10だった。戦闘開始から溜めていたのだろう・・小規模版の王次郎砲・・電磁加速砲を皆の後ろからうまい具合に隙間を縫いアームズに打ち込む・・・・途端に30体ほどのアームズが消し飛び更に爆発の余波で数十体のアームズが空中を舞い踊る。
そして・・仁王立ちで守らんと手ぶらのミウとムウ合体双子・・・
『へっ!どうだ!もうお前らにてこずっらりしねーんだよ!』
『このランスならシールダーも抵抗殆どないわ!ドンドン行けそう!』
『燃えろ燃えろ!あたしに近づくと消し炭になるよ!』
『・・また・・一体!』
『・・・この小型の王子朗砲・・・一度打つと次に打てるまでに少々時間がかかりますね・・通常の戦闘に移行します。』
『『あたし達はなんとしても守るよ!』』
これが俺が現場に着くまでにヘキサ経由で外の様子をモニターした内容だった。
しかし・・かなりの量きてるな・・ナンバーズが幾ら強いったって、多勢に無勢・・これ・・本体来たんじゃないのかなぁ・・・
マップみてもアームズの点でいっぱい・・
巣を囲まれている状況だった・・ってか奴等ヘキサのサーチをかいくぐったのか?
結構範囲広いんだぜ?・・・・・・
なんでだろ?・・んー・・・ん?あ・・飛んできたの?・・・・
モニターには空一面黒く覆われている様子が映し出されている。
そうか・・早いわけだ・・それにしても・・どうなんだろうな?
逃走したヤツが合流してから来たのでは昨日の今日じゃ間に合わないだろ・・
もしかして本体・・・構わずこっちに向かってたんじゃないか?
・・・・本体が急いで来なきゃ行けない理由・・・・飛ぶのもエネルギー使うだろうし・・・
それでもってことは・・奴等もしかしてガス欠間近なんじゃないか?
何としてもATPが無いと立ち行かないほど疲弊してたりするのか?・・・・・・
しかし・・ナゼうちに来たんだろうか?・・・
やはり・・王子朗砲見てきたんじゃないかなぁ・・・
アレくらいの火力を出せる巣ならそりゃー大規模だと思うだろうし・・・・
やっぱあれっぽいなー・・・
そんな事を考えている間に現場へついた。
ってか・・ナンバーズすごいな・・・頑張り過ぎじゃないか?
現場は、ナンバーズが気を失っている感染者の山をかばう形で陣形が形成されており、
敵味方のラインがきっちりと判れて見えた・・放射状に陣形くんでるから巣の入り口までアームズが近寄れないでいるな・・でも此のまま物量で押されたらひとたまりもないんじゃ?
俺が巣を出てアームズ達の居る場所へ向かっている最中・・・
(個体名ニックに目標アームズの指揮官と思われる者からの通話要求が有ります。以下がいたしますか?)
ヘキサがそんな事を言ってきた・・・
・・なんだ?話しでもしよおってか?
(ヘキサ チャンネル開いていいよ)
(はい 回線チャンネル開きます。通訳は不容なようです。)
へー・・こっちの言葉解る奴いんのか・・知恵の有るやつだな・・
(此方ソードヘッドの指揮官のニックだ。攻めて来といてどのような要件だ?)
(オマエガシキカンカ、ワレワレニコウフクセヨ!)
(断る)
(コチラノカズハソチラノカズヲオオキクウワマッテイル。スミヤカニスヲアケワタセ)
(断る)
(コウショウニナランナ・・・デハコチラモホンキヲダストシヨウ)
(其の前に聞いておきたいことが有るんだが?)
(ナンダ?)
(どうしてお前らは俺らの巣を狙う?)
(ワレワレノカテデアルオマエラニハシッタコトデハナイ)
(そうか・・わかった。では徹底抗戦させてもらおう)
(フハハハハハハッイキガルノモタイガイニシロ!シンデワビルノダ!)
(回線が切れました。)
(ヘキサ 回線を開いたやつどの辺に居るかわかるか?)
(はい 逆探知を行います・・・・・・・・・・完了)
(最後尾に陣取っている30匹ほどの部隊の中に居るようです。)
(そうか・・わかった。)
・・完全に殺りにきてるな・・俺も手を抜いたりしないけどいいよな?
「ナンバーズ聞こえるか?」
「・・・・」
ダメだな・・戦いに飲まれてやがる・・こっちの話し、聞こうとしないな・・
(ナンバーズ聞こえるか?)
(!お頭!)
(ニック様!)
(まってたよ!はやくなんとかしてえええええ!)
(いらしてたのですね。)
(・・・・・・・)
((うええええええんあたし達武器ないから戦えないよ―))
・・・双子の武器用意してなかったわ・・・まあいいか・・そこでじっとしてろよ。
(今、アームズの指揮官らしいやつからメッセージを受け取った。・・・徹底抗戦するぞ!)
(((((((はい!)))))))
(お前らは、其の場で巣と感染者を守る布陣に徹していろ・・俺が片付けるから)
(お頭!・・流石にお頭一匹じゃ無理ですぜ!)
(そうよ!此の数半端ない!)
(何でも良いからなんとかしてええええ!)
(何か策でもあるのですか?)
(・・ボクも・・単独で殺りたい・・)
((あたし達放置ですかぁぁぁぁ?))
(一々おまえらに命令してるのは処理に負荷がかかるんだよ・・だから各自其の場でアームズ共を近寄せないでいてくれ・・仲間で協力してやるんだぞ?たのんだよ?)
そう言うと俺は空に躍り出た。
・・・俺は人間辞めちまったしな・・だからこんなことも出来る・・・
俺は空中で背中の辺りに意識を集中すると、肩甲骨の辺りに縦の筋が入り中から金属チックな極薄の蜂の羽が飛び出てくる。
さて・・・眷属で一度掃討するか・・・ってか何匹いんの敵さん・・・
(ヘキサ アームズは確認出来るだけで何匹位居る?)
(全部で10万はおります。そのうち指揮官クラスと思われるものが30匹残りは騎士と狙撃と剣士と盾です。)
(そうか・・狙撃いんのか・・厄介だな・・それら全て飛行能力はあるのか?)
(騎士は飛行出来ません。残りは飛行可能です。)
(わかった。ありがと)
・・それだと・・先に狙撃対象を見つけてピンポイントでやっとくか・・
(ヘキサ ナビゲート頼む。目標は狙撃者。マーキングして)
(はい 狙撃アームズをマーキングします。)
マップ上に無数の点がマーキングされて表示される。
「へへw狙撃はさせたくないからね・・先に潰すわ・・」
そう言って、俺は眷属を解き放つ。
ニックの背中の肋骨が終わるくらいの辺りに直径5ミリほどの穴が無数に開きそこから小さい蜂によく似た眷属が無数に飛び出していく。
蜂型眷属はそれぞれ目標を見つけたのかそれへ一直線に飛んでいった。
物凄い速さである・・・恐らく、狙われた狙撃アームズも、後ろで指揮を取っている指揮官も気づかないほどに静かにそして素早く、目標に突き刺さる。
マーキングされた目標に突撃して行く眷属・・・・目標に接触すると、目標頭部に突き刺さり爆発する・・いや・・爆発ではない・・超高熱のプラズマへと変化した。
プラズマが消えるとそこには頭部がなくなった狙撃アームズの躯が残るのみであった。
一瞬・・本当に一瞬でアームズの狙撃者全員が頭部を消し飛ばされたのである。
”総司令、1万からなるアーチャーの反応が一瞬で消えました。”
”なんだと!?何が起こった!?”
”恐らく報告に有ったソード達の元に居るという人間の仕業かと”
”先程話した相手がその人間だそうです”
”人間・・・・人間に其のようなことが出来るはず無いではないか?”
”どうも、特殊個体のようです”
”特殊か・・・では・・・アレをだせ!”
”わかりました。”
ふぅ・・取り敢えず遠距離は潰したな・・あとは・・ナンバーズに少し支援入れとくか・・
左右の肩が”ガポッ”と割れ、そこから二匹の甲虫が這い出てきた。
右から出てきた甲虫はカブトムシによく似ていた。
左から出てきた甲虫はクワガタによく似ている。
二匹の甲虫をナンバーズのところへ向かわせた所で、アームズ陣営に動きが出たようだ。




