閑話〜街並みと王国〜
「なあ・・この街も様変わりしたな」
「ああ・・俺は着いていけそうにないわ」
「だよな・・・」
「この国全体が変わり始めてるらしいぞ」
「マジでいってんのか?」
「ああ、こないだ女房の実家も建て直されたらしい。」
「お前の女房は確か、東の山脈近くの出身じゃなかったか?」
「ああ、そうだ。」
「あっちまで勢力伸ばしてるのか?」
「そうらしい」
「マジかー、まぁここの生活に不満がない訳じゃないが、ここに住んじまうと、もう、前の生活に戻れないよな?」
「ああ・・俺なんか毎日の朝食に肉が出る事に感動しちまって、毎朝が楽しみで仕方ない・・・・うぅぅ」
「おい、なんで泣き始めんだよ?」
「俺、こんなに幸せなのは夢じゃないよな?なぁ! 夢ならなんでこんな幸せを味会わせるんだ! 現実に戻ってからが辛すぎる・・・」
「安心しろ、現実だ!心配ない。」
「じゃあ・・・女房が毎朝出勤の時、機嫌がめちゃめちゃいいんだ!見送りのキスまでされるんだぜ?可笑しいだろ?それも現実だってのか?」
「・・・心配ない・・・家もだ・・・」
「なに!お前ん家もか!」
「ああ・・ウチは女房の体が弱いだろ? なのにここ最近、俺より元気なんだよ・・」
「それは、良かったんじゃないか?」
「・・元気すぎて、毎晩せがまれるんだ・・来年には、多分パパになります!・・・うぅぅ」
「なんでお前が泣くんだ!」
「始めての子供たまぞ!嬉しいにきまってるだろ!・・くっそ!なんでこんなに幸せなんだ!もう、以前の生活になんかも戻りたかねぇ!」
「ああ・・・全くだ」
「おーい!仕事はじめるぞー」
「「へーい!」」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「将軍!」
「おお!ボークスかっ!久しいな!」
「こんな所にいたのか?」
「将軍こそ何故こんなところに?」
「ああ、お前の安否が心配でな。がっははは」
「将軍、冗談になってませんよ。」
「まぁ、立ち話もなんだ、そこの酒場で話そうか・・・」
ここは岩壁都市グレートウォール。
領主の屋敷を中心とし、放射状に広がる街であったはずだが・・
現在は、領主の館が取り壊され、一帯全てが居住区として再建している途中だ・・
さらに、以前有った建物は撤去され、歓楽街、工業地区、農業地区、居住区・・様々な建物が新しく建てられている。
道といえば普通、土を踏み固め大通りとも成れば、馬車が通る物だが・・
現在は、石畳?・・いやニックに言わせると、粘液と粉砕した細かな石を混ぜた物を土の上に引いている・・らしい・・一度道路作りの現場を見たことがあるが、凄い異臭がする熱い物を均等に伸ばしてひいていた。
だからなのか?道を走る馬車は揺れが少なく、非常に乗り心地が良い・・
他にも俺が驚いたことは幾つもある。
馬車・・普通は馬が引く物だが・・なにやら奇っ怪な虫が引いている・・いや虫なのだろうか?
とにかく・・・こいつ等は排泄をしない・・ニックはしているが、見えないのだと言っていたが・・
そう、排泄をしないので、道が汚れない、清潔だ。
清潔は大事だ・・冒険の途中で体調を崩す原因の殆どが不衛生なためだからな・・
夜とも成れば、街のあちこちで光が灯る。まるで、夜中でも歓楽街は真昼の様に明るい・・眩しい・・
これも、熱を感じない光なのだが・・蜂の巣に有った光とにている・・魔法では無いらしいが・・
「しかし、この都市はなんだっ!至るところに魔道具が使われている・・・どこからこれだけの魔道具をかき集めたんた?」
「将軍・・魔道具ではないですよ。」
「なにっ!魔道具でなかったらなんた?」
「どう説明すればいいですかね・・・俺も良く仕組みはわからないんです」
「ふむ、そうか・・・。それより、ボークス・・そっちの方はどうだ?」
「ああ・・、色々ありましてね・・詳細は言えません・・申し訳ございません。」
「なんだ!はっきりしないな・・・弱味でも握られたか?」
「いや・・・握られてはいないが・・・」
「ふむ。」
「それより、将軍はなぜここに来てしまったのですか?」
「ああ・・お前は情報にさといから知っていると思うが、先の王国と帝国の争い・・・停戦協定がむすばれた。」
「知ってます。ですが、王国側は、また奇襲をもって開戦する準備をしてるそうですね?」
「ああ、其の事は皇帝も知っている・・・奇襲を受ければ諸国への言い訳も出来るからな・・王国を孤立させる案をねっているようだ・・」
「はぁ、王国はそれを知らないでやっているのですね?」
「うむ・・そのようだな・・。 なぁボークス・・お前少し変わったか?いや・・姿も覚えているものと違うような・・・」
「ああ・・それは仕方ないと思います・・まぁ・・こんなところでは話せないんですが・・」
「そうか・・・。 ボークス・・お前に一つ・・謝らなければ成らないことがあるのだ・・・」
「・・・・」
「お前の女房と娘だが・・ 俺がこの国に入ってきてすぐの頃に姿を消したらしい・・・」
「守ってやれなくて、すまん」
「将軍・・顔を上げてください・・気にしていませんから・・」
「なに?」
「将軍・・・ここではなんです・・一度俺の家に来ませんか?・・そこででしたら少しははなせるとおもいます。」
「ふむ・・・わかった・・しかし・・ここの酒もそうだが・・この料理はなんだ?・・うますぎるではないか・・」
「ああ・・そうですよね・・確かにうますぎますね・・・」
「なんだ?ボークス・・気が抜けてるのか?」
「いや・・違いますよ・・将軍、それも色々とお話できると思います・・・」
「そうか・・わかった。ついて行こうか・・」
正直、俺はどうしたら良いものか困惑していた。
ニックに報告すべきか?・・いやそうなると帝国も巻き込んでしまうかもしれない・・
しかし・・将軍は、もう・・帝国には戻れないだろう・・・ここで全てを話しておくか・・
そしてニックに取り敢えず、事情を話しておこう・・・
俺は、自宅へ将軍を連れて戻る・・
「今戻った・・」
「あら!あなたおかえりなさい・・・・・!しょ・・将軍!」
「ん?・・・んぁ!何故!・・・・行方不明になったはずでは?・・・」
「あー!しょーぐーん!」キャッキャッ
「む・・娘まで・・・」
「ボークス!どういうことだ!」
「将軍・・まぁ、座ってください・・一通りお話しますから・・」
「・・・・・・・・きっちり説明するんだぞ!」
「ええ・・ただ、話を聞いて乱心はしないでくださいね?」
「・・保証・・出来ぬ!」
はぁ・・困ったなぁ・・・何から説明するか・・・
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「国王陛下、至急の要件と訴えて来ている貴族がおります。如何いたしますか?」
「ふむ・・・・通せ・・」
「はっ!」
先頃、龍騎隊が成すすべもなく破れて戻ってきた。
その責任を取らせ部隊を率いた将軍は、ギロチンにかけた。
竜などという物に乗った騎兵など・・我らが王国にはふさわしくない・・
やはり馬であろう・・馬は良い・・人懐っこく忠実で・・慈しみがある・・
竜なぞ、何を考えているのやら・・皆目見当も付かぬ
次は、騎馬隊をもうけるとするか・・・
「国王陛下、失礼いたします。」
「うむ、入れ」
「私は東の農園を任されております。サンダース・ベルブス子爵に成ります。」
「うむ、ベルブス家の当主か・・うむ」
「国王陛下に置かれましてはご機嫌麗しゅうございます。」
「挨拶は良い。要件を述べよ。」
「はっ!」
「東に広がる農園を任されている我々の土地に魔物が押し寄せてまいりました・・・」
「いきなりのことで、文を出すことも出来ず此のような形での要件と成りまして、誠に申し訳ない次第でございます。」
「ふむ・・魔物か・・。 それは、南の魔物ではなかったか?」
「申し訳ございません。私は見ておりませぬもので・・ですが、此方に攻めてきた魔物に会ったと言う女を連れてまいりました・・中へ入れてもよろしいでしょうか?」
「女か・・目撃者ということだな?」
「はい。 其のように聞いております。」
「アイス、入りなさい。」
ふむ・・目撃者か・・どのような魔物であったかという報告は聞いておらぬな・・たしかに貴重な話しやもしれぬ。
・・・
おお、中々に美しい娘ではないか・・・ふむ・・しかし国外の者の血が混じっておるのか?
ふむ・・・余り見たこと無い人種じゃな・・
しかし、髪が白いとは・・相当な苦労をしておったのであろう・・
・・もしや、魔物と会ったショックで、此のように成ってしまったのではなかろうか・・?
「失礼いたします。」
「うむ・・アイスとやら・・話を聞かせてもらえるか?」
「はい 其の前に・・国王陛下、南の魔物とはどのような容姿であるかご存知でしょうか?」
「いや・・・聞いては居らぬ・・魔物風情の容姿似など興味ないのでな・・・・所詮は魔物じゃ・・大したものではなかろう」
「そうですか・・・」
・・・ふむ・・・村娘としては・・言葉遣いがなっておるの・・街娘あたりか?
「おい!女!国王陛下の御膳であるぞ!」
「よい!・・・ベルブスよ・・・」
「して、どのような魔物であった?」
「はい・・一言で申し上げますと、人間・・それに近うございます・・・」
ほう・・人間か・・近いといえば・・亜人あたりであろう・・
「人間だと?・・・・・それで?」
「始めは、小さな子供の姿をしておりました・・ですが、いつの間にやら人の形とは似ても似つかない巨大な魔物へと変貌いたしまして・・・・」
ほほぅ・・変化しよるのか・・・それはまた・・亜人でなないな・・
「ほう・・人間に化けるというのか・・・やっかいな・・。 ふむ・・続けよ」
「はい。 魔物がこう言いました。”お前らには勿体無いから此の土地は有効に使わせてもらうよ”と」
ふむ・・人語を話す・・か・・厄介この上ない・・となると・・・悪魔辺りであろうか?
古の文献にも悪魔が人に化け、国を陥れたと言う話もあったな?
「ふむ・・・人の言葉も話すのか・・・しかし・・魔物が土地を有効につかうとは?どういうことか?」
「申し訳ありません・・私にもわかりません・・・」
・・しかし、悪魔であれば、人から魂を抜き取り糧とすると有ったはず・・土地とな・・?
「ふむ・・続けよ」
「はい。 魔物は、手も触れずに住人達を瞬きをする程の時間で、深い眠りに落としました・・」
魔術を使いよるか・・やはり、悪魔・・・普通の魔物は魔術を使う術をしらぬ・・なれば・・
「ふむ・・・そうか・・魔術も使うのか・・もしや伝説に聞く悪魔のたぐいかもしれぬな・・」
・・・・しかし・・・なぜこの女・・アイスは眠らぬ?・・・あやしい・・・衛兵を待機させておくか・・・・
我は、周囲に気づかれぬように目配せすることで、衛兵をドアの前に待機させて置く・・
「・・・・しかし、女・・・・それを見ていたのか?」
「はい」
「女・・なぜ、魔術にかからなかった?・・・」
「・・・・・」
「女よ・・・・お主は何処の村の者か?」
「・・・・・・・・」
「女・・・・お主は何者だ?」
「・・・・・・フフフ・・・」
やはりか!・・女!コヤツは悪魔の手先よ!使い魔か!
『ニックよ!だから言ったではないか!こんな茶番ではすぐに分かってしまうと!』
”あー・・そうだよね・・わからないほうが可笑しいんだけどw”
女が声を上げると、何処ともしれず、声が聞こえる・・子供の声じゃ・・・人語じゃな・・
「何奴!衛兵!衛兵!」
「どうも、国王陛下。 始めまして。」
「・・・ベルブスよ!其の方間者を招き入れたな!・・・・」
「・・・・・・」
ベルブスめっ!・・・白目をむいて倒れておる!不甲斐ない!
衛兵!まだか!
「国王陛下・・衛兵は現在オネムでちゅよー?ベルブスくんにも眠ってもらってますしね。」
「くっ!・・・お前が、南の魔物・・悪魔かっ!」
「ええ!ヒドイこと言うなよ!俺これでも人間だぜ?なぁ?白氷」
「・・妾には人間と同じには見えぬが?」
「マジで?・・・・ショックなんだけど・・・・」
「お主等、何しに来た!・・・」
「国王陛下、そんなに興奮すると血圧あがっちゃうよ?見た所もう歳でしょ?体は大事にしなきゃ・・」
「お主に其のような心配をされる覚えはない!」
「えー・・折角心配してあげたのに・・」
「お主・・・何が目的でここへきた!」
「ああ・・えっとね。取り敢えず、物色とかして必要なものがあったら持ってっちゃうけど、邪魔しなきゃ殺したりとかしないから安心してよ。」
「なに!・・強盗にきたということか!」
「強盗・・強盗ねぇ・・確かにそうだな・・犯罪者になっちゃったよ・・俺・・・」
「ニックよ・・戯言が過ぎるぞ?」
「ごめんごめん。 取り敢えず国王陛下には顔見せでもしとこうかと思ってね・・あとは・・そうだな・・南の都市は頂いたからさ・・あんま手を出すのは懸命じゃないよ?」
「・・・やはり、南の魔物か・・・」
「そうそう、その南の何とかです。因みに俺はニックっていうんだ!よろしくね。」
「それから、こっちが、白氷っていって、俺の奥さんだよ!かわいいだろ〜?」
「くっ!・・・・お主達が、龍騎兵を子供扱いしたのか?」
「龍騎兵?なにそれ?・・白氷知ってる?」
「ニックよ・・あれじゃ・・あの二足歩行のトカゲじゃ・・あれに乗って攻めてきたじゃろ?」
「あーあー・・子供あつかいねぇ・・・あれってさ?改良した村人が普通にやっつけたって話しじゃなかった?」
「まぁ・・・そうなのじゃが・・・」
「なに!・・村人風情が其のような事を出来るはずないだろ!」
「えぇー・・でも・・村人には、けが人もでなかったよ?なぁ?」
「ええ・・確か戦闘のあとで、宴にかまけた相撲でけが人はでたはずじゃが・・・」
「まぁそうだな・・そんなもんだよ?」
「なんと・・・・・・」
「・・・・お主等は何の為に・・・」
「何のためにかぁ・・?哲学的な質問なの? ・・都市がほしかっただけだし・・巣分けのために・・・」
「じゃから言ったではないか!巣分けの場所は慎重に探さねばならぬと・・・」
「いや、そうなんだけどさ・・・ほら・・ノリってあるじゃん?」
「なんじゃその・・ノリとは?」
「・・勢い?」
「勢いだけで、都市を乗っ取り、あまつさえ住人を改造するなぞ・・ニックだけじゃぞ?」
「・・・ごめんって・・・いったら許してもらえる?」
「無理じゃろう・・もうやってしまったことじゃしな・・・」
「ってことで・・・東いただきますね。あと南はこないだもらったから・・次は西かな?いいよね?」
「・・・・・・・・・・お主等・・・・本当になのものだ・・・・・・我が王国になんの恨みが・・・」
「恨みは、一切ありませんよ?・・そこに山が在ったから登った・・・そこに王国が在ったから取った・・だけですし・・・」
「・・・・・」
「まぁ、そういうことで、近々王国全部もらうからあんま派手なことしないでね。人間は貴重な資源だからさ・・・損失とかだしたくないんだよね」
「ニックよ・・ソロソロ戻らぬか?」
「あー・・そうだね・・もう顔見せもしたしな・・これ以上いるとろくな結果に成らなそうだ・・・帰るか」
「国王陛下、そういうことなんで、近々王国いただきまーす。じゃねーwバイバーイ」
「国王よ・・・其の方のエロイ目・・妾は大ッキライじゃ!二度と会うまいて!さらばじゃ!フハハハハハ!」
悪魔等が窓から飛んで出ていきよった・・・・
・・・あれ?・・我の世代でこの王国はもうダメだな・・・・




