閑話〜混乱〜
ちょっと、のやつですけど・・この閑話は連続で行こうと思います。出来る限りですけどw
その日、王都に緊急の知らせが入った。
ーー報ーー
王歴八百九十六年 紅玉十二
長雨からも解放され、木々には、色とりどりの実がところ狭しと頭を垂れる。
先の黄昏時、薄暗い森の海にて天と地を別つ光有り。
識者曰く、森奥深く長きに眠る太古竜の目覚めとの告。
草曰く、森に不穏な動き有りとの告。
雑文
王都の南部守護を行ってより200年、此のような天変地異はいまだかつて記録にはありません。
王都の識者のご意見が伺えれば助かります。
先日より南の魔物が活性化しています。
真に太古の竜が目覚めたのであれば、早期に討伐を組む必要があります。
岩壁都市グレートウォール十三代領主
アブリミヌ・ギ・デボイス・グレートウォール
ーー印ーー
王都より南に位置している岩壁都市グレートウォール。
南側、つまりジャングルより押し寄せる魔物から人類を守る為、
岩や泥砂等で作られた幅5キロ、高さ20メートル奥行き10メートルはある壁に
最も近く存在する都市である。
都市の規模はそれなりに大きかった。
主要産業も農業の他に
森へ出ては狩りをして戻ることをなりわいとする狩人を中心とする狩猟産業も盛んで、
都市全体が潤っている。
更に森から魔物が頻繁に都市付近の村を襲うため毎日の様に討伐依頼が有る。
其の為、冒険者と言う職業の者は食いっぱぐれないということも有り数多く存在していた。
都市は領主の館を中心に放射状に広がり、工場地区、商業地区、歓楽街などと区分けれて住み分けがなされている。
都市に住む民はとても活気に溢れ、毎日が輝くような日々を過ごす良い都市といえた。
しかし、先日、南の森より見たこともない破壊の光が突如現れたのだ。
都市や壁には一切被害は出ていないのだが、前代未聞の天変地異に対し民を始め荒くれ者であるはずの冒険者の中にも恐れるものが出始めている。
あの光、あの轟音、あの振動・・・正に伝承に聞く竜の咆哮といえよう・・・
私はアブリミヌ・ギ・デボイス・グレートウォール。
この都市を代々任される領主だ。
私は、まだ若い・・・
人は15歳に成ると成人として扱われる。
私の歳はまだ、17歳・・
不慮の事故により領主の父が亡くなられたため・・
急遽私が後釜になったばかりだと言うのに・・・
「領主様、狩人組合より毎日のように魔物が岩壁へ近づいて仕事に成らないとの報告が来ております・・・王都への報の答えは如何でしょうか?」
「うん・・まだ、届いたばかりだろう・・王の手に渡るのはまだ先だ・・」
「民も不安を訴えております・・アノような・・現象は文献や詩にも出てきません・・・アレは一体何だったのでしょうか?」
「たしかにな・・・。 アレが在ってからまだ一ヶ月も立っていない・・・油断はできないだろう」
「もしや、識者の話による太古の竜が目覚めたと言うお話しは・・・」
「難しいところだな・・識者も明確に太古の竜とはいっていなかったし・・・・」
「ただ、調査に出した者からの報告では森の奥へ一直線で続くほどの破壊が在ったということらしい・・」
「正に、竜が吐いた咆哮と言えなくもない・・という印象だろう・・・」
「領主様・・・今後はどのように対処いたしましょう・・」
「まぁ・・引き続き森の調査をさせよう・・それと、民へは、この現象は一時的なもので恐れることはないと触れ回ってほしい」
「わかりました。では失礼いたします。」
執事が部屋を出た後、私はため息混じりに窓の外を眺める他無かった・・・
所代わり、冒険者組合、通称ギルドにて、
今回の天変地異を詳しく調査するための調査隊募集が張り出されていた。
「だれかこの依頼うけてくんないかなぁー・・・」
「なんだ?どうした?」
「こないだのアレよアレ・・アレの調査しなきゃいけないんだってさ・・・」
「あー・・そりゃ誰もやらんだろ?」
「そーなんだよね・・魔物退治だけで十分お金になるからね・・いくら稼げるからって・・危険そうだしさ・・」
「でも、領主様からの依頼なんだろ?」
「それでこまってんじゃーん」
「う〜ん・・・なら、腕の立つ奴に声かけてみたらどうだ?」
「腕の立つって・・ボークスのチームくらいしか知らないよ?・・ほかの腕の立つチームは・・もう断られたんだよ・・」
「では、ボークスのチームに頼めばいいだろ?」
「それがさ・・ボークスのチーム・・最近見ないんだよ・・」
「確かに見ないな・・・最後に見たのは?」
「2ヶ月くらい前に依頼した魔物退治が最後だったとおもいます。」
「そうか・・すると、2ヶ月も戻らないと言うなら・・何かの不運に見舞われた可能性が高いな・・」
「え!・・じゃあ、ボークスのチーム・・全滅ってことですか?」
「そうなるな・・2ヶ月も気づかないなんてな・・ギルド員失格だ・・急いでマスターに報告しないと・・」
「でも!まだ生きてるかもしれないじゃないですか!」
「・・2ヶ月だぞ?・・・食料は森で賄えるとしても・・・流石に無理が有るぞ?」
「それはそうですけど・・・」
「まぁ成っちまったもんはしょうがない・・マスターに報告はあげないとな・・」
「はい・・・」
「それより、お前は、その仕事早く誰か見つけないと成らないと思うぞ・・」
「そうですね・・・はぁ〜・・・だれか引き受けてくんないかなぁ〜・・・」
ギルド員の男が席を外し、マスターへの報告に赴く其の頃。
岩壁都市の最南に位置している壁門。
通称、南門へ二人の冒険者が入国を果たそうとしていた。
南門とは、一般に対魔物用の門であり、入国の手続きを行う設備も設置されておらず、出入りするものと言えば、冒険者や狩人といった森へ獲物を取りに行くもので締められる。
しかし、稀では有るが入国をする者が居ないわけではなかった、
例えるならエルフなどの亜人種であれば、森での生活に困窮した際には国へ入ることが有る。
今現在、二人の冒険者は片方は人間の男・・もう一人はどう見ても子供・・・いや亜人なのかもしれない・・・
南門の警備にあたる者として、眼力を磨く事は必須であり、一目で物事を看破できなければ、役に立たないはずなのだが・・・・・
現在俺はどうにも困っていた。
目の前にいる片方・・冒険者と言っているが・・確かに冒険者風の格好はしている・・
しかし、装備・・綺麗過ぎる・・・
新米なのか?・・新米で鎧や武器を新品で用意できるのは貴族出くらいだ・・・
しかも、どうにも胡散臭い・・なぜならこの方向から入国を果たす者に人間は居ないからだ・・・
よしんば、亜人だとしても・・この出で立ち・・明らかに浮いている・・
「お名前をお聞かせいただけますか?」
「ボー・・ボーレクスと言う。」
「それで?入国の目的は?」
「故郷へ帰る旅の途中だ」
「そうか、故郷は?」
「言いにくいことだが、帝国だ・・」
「なに!・・・帝国・・そうか・・お前帝国の出だったのか・・」
「ああ・帝国から亡命して王国に入ったのだが、故郷に残した妻と子を引き取りにな・・戻る途中だ」
「そうだったのか・・しかし、なぜこの南門から?」
「ああ、東の森の方で仕事が有ってな、その際トラブルに巻き込まれ・・森の中を彷徨っている時コイツに助けられたのだ。其の際に装備もろとも入国証もギルド証もなくしてな・・。」
「そうだったのですか・・・。で?そちらさんは?」
「ああ・・俺はニックだ。」
「どのような目的で入国を?」
「あー・・そうだな・・適当に王国を見て回りたいだけさ・・見聞ってとこか?」
「あの、見た所、亜人種の方ですよね?」
「あー・・そうだね・・亜人種ってことに成るのか?よく判らん。」
「ご自分の種族もわからないのですか?」
「いや・・そうじゃないんだよ・・正確には人間なんだがね・・どういったらいいか?」
「人間ですか・・?どう見ても・・人間には見えないのですが・・」
「ああ・・まぁそうだよな・・人間には見えないか・・正確には人間だったといったほうが良いのか?」
「元?」
「警備の方、あまりツッコンでほしくないんだよね・・俺も好きでこうなったわけじゃないしね」
「ああ・・なるほど・・・もしかして・・森でのトラブルというのは?」
「まぁそういうこった・・俺も当事者だしね・・まぁ察してくれるとありがたい」
「わかりました」
あやしい・・怪しいが・・・・入国させざる負えない・・犯罪者というわけでもなく、敵意なども持ち合わせていない・・・取り敢えず入国章は出すが・・一時のやつでしのいどくか・・・
「では、二人に一時入国章を預けます。
入国より一ヶ月は有効です。
それを過ぎるようでしたら更新の為に兵役所を訪れてください。
それと、国内での犯罪行為は行わないようお願いします。」
「わかった。」
「ああ・・そんなつもりないしね」
「では、お気おつけて。」
「ああ・・」
「バイバーイ」
ふぅ・・・・出ていったか・・・さて・・本部に連絡しないとな・・怪しい二人を入国させたんだ・・・監視してもらわないと・・何か有ってからでは遅いな・・・
俺は、木札に二人の名前、容姿などを詳細に書き記し、早馬で本部へ送った。




