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閑話〜今回は2本だよ〜

ーーーーーーーーーーーーーーーー

閑話〜壁に耳在り、障子に目在り〜

ーーーーーーーーーーーーーーーー


王国の都より西方へ離れた荒れ地があった。

荒れ地には地面が隆起して出来た洞窟が点在しており、

その一つの洞窟の中で、

盗賊達は、儲け話で盛り上がっていた。


「お頭!こないだの貴族の顔みましたかい?」

「そうそう!あのすっとぼけた顔!サイコーでしたね!」

「最後には、アイツちびってましたよw」


「おまえらなぁ・・・いい加減、貴族には手を出すなよ」


「しかしですね。あの貴族、平民の敵ですよ?」

「そうそう!ヤツは自分の領地に重税を掛けているって話をでっち上げ、領主様から食料ふんだくってた悪いやつだ!」

「俺のかーちゃんもアイツには、困らされたからな!当然の報いさ!」


「あのなぁ・・。貴族を敵に回すと俺らすぐにとっ捕まるぞ?」


「何いってんスカ、お頭!叩いてホコリが出ちまうような奴が討伐とか出すわけないじゃないですか」

「そうそう!アイツは他の貴族共からも煙たがられていますからね。」

「けが人さえ出してないんですから大丈夫だと思いますぜ?」


「まぁ・・。様子は見ないとな・・」

「それより、この奪った物を早く領主様に戻してこい」

「少しは俺らの取り分ってことで、取っておけよ?」


「「「ヘイ!」」」


「さて・・・酒場へでも行くかな・・・」

俺は近場の村に在る酒場へ赴いた。


酒場とは冒険者たちが仕事を求めて集う場所だ。


今回、いけ好かない貴族をとっちめたからな・・

酒場に泣きついてなければいいがな・・・



日もくれ、酒場だけが明かりを灯す。


「こんばんは。なんか新しい仕事はいってるかー?」

「あっ!ニルスさん。いらっしゃい。 新しい仕事ですか?」


「ああ。 貴族絡みの仕事があったら見せてほしいんだが?」

「貴族様のですか・・? ちょっと、見てみますね。」


「う〜ん。 今の所貴族絡みの仕事は入っていないようですよ?」

「そうか・・・。じゃぁ、酒をもらおうか」


「はい!いつものでいいですか?」

「ああ。いつものでいい」


俺は、少し酸味が効いているエールをかっ食らう。

・・しかし・・あの貴族・・荷を取り返しにくると思ってたがなぁ・・・まぁいいか・・


「しっかし、ここのエールはホントにまずいなっ!」

「なにいってるんですか!いつも飲んでるやつですよ?」

「いつも飲んでるからそーいってんだよw」


「いやなら飲まなきゃいいじゃないですか!」

「いやいや・・この酸味がな・・やみつきなんだよw」


「もー。じゃー好きなんじゃないですか!」

「はははwそうさ!俺はこの酒場のまずいエールがやめれないのさw」


「もー!」

「はははw」


「そう言えば、最近王都で変わったこととかないか?」

「王都ですか・・・? さー?王都から此方にくる冒険者からは何も聞いてませんけど?」


「そうか・・・」

「どうしたんです?急に」


「いやな・・・。俺が王都に居る頃、きな臭い噂があったんでな・・」

「きな臭い・・ですか・・・」


「まぁ、ないならいいさ」

「はぁ・・・」


俺はマズイ酒を飲み干し、酒場を後にする。


追手もかかっていない・・・王都の反応も無い・・今回の仕事は無事、

事なきを得たのか?・・・・・・それなら良いのだが・・


しかし、今回はアイツ等少しやり過ぎだな・・

この辺が頃合いかもしれねぇ・・・・


貴族に手を出して無事で済んだ盗賊は居ねぇからな・・

恐らく・・裏で追手がかかってるはずだ・・・

取り敢えず、集まりに出てみるか・・・


俺は、村から少し離れた場所に捨てられた教会へ足を運んだ。


辺りは物音一つ無く、夜ともなると周りが見えない・・・静まり返っている・・・

夜目が効くため、星明り程度あれば行動には支障ない・・・


俺は、教会の入り口にそこらで拾った小石を並べ帰路についた。



俺の寝床は、村の端・・魔物避けの外柵が有る付近に建っている荒屋にある。

なぜ、こんな荒屋かと言うと、この荒屋・・周りが良く見え、

しかも荒れているので近づく者がいれば、

朽ちた木々や割れた食器の破片等が音を立てるのだ・・しかも逃げやすい・・・


俺の家業は表向きは冒険者だが裏では盗賊だ

・・つまり、何時でも逃げることが出来る準備は怠らない。


まぁ・・冬は寒いが、屋根や壁がいい感じに残っているため雨風はしのげる。

そんな程度でいいのさ・・・


寝床へ着いた俺は、就寝につく・・・・・



朝早くに起きると俺の枕元に色とりどりの鳥の羽が落ちている。

夜更けに返事があったようだ・・・今回は鳥を使ったか?


鳥の羽の色で、集まりの時と場所が分かる・・・・・


・・・ほう・・・・・そうか・・・南の森の入り口・・明日の夜更けだな・・


場所は、この村から半日は歩く森の入り口と解る。

・・もう、でないと集まりにまにあわんな・・行くか・・・


目的地へ急ぐ俺は、村をでて一度西へ向かいそれから南に向かった。

集まりに参加するものは決まって、尾行に気おつけなければならない仕来りだ。


以前、横着をしたやつが、集まりに参加した時、

参加者が誰も居らず代わりに追手が待ち構えていたという話を聞いたことが有る。


念の為、進む方向は全て帰るほうが懸命だな。



夜更けに森の近くまで来ると焚き火の明かりが目についた。

・・あそこか・・・・

「よう!お隣さん。」

「ああ、お隣さん。」


合言葉は必要だ・・部外者が紛れ込めば皆でただの集まりのように振る舞わねばならない。


「さて・・これで全部かな?」

・・・取り仕切っている男が、周りを見る。

参加者は俺を含め全部で6人

其の中で、顔見知りが4人居る・・残り一人は・・・見ない顔だな・・・誰だ?


「おい、早く話せよ・・」

「おいおい。急かすなよ」


「皆に集まってもらったのは、この間とある貴族が強盗に襲われてな・・・」

・・・ふむ・・やはり、追手がかかってるのか?・・・


「殺されたようなのだ」

・・・!・・・アイツ等・・殺さなかったと言ったはずだよな?・・・どういうことだ?

・・・もしや・・俺に罪をなすりつける算段か?


「まぁ、その貴族は死んで当たり前の奴だからどぉってことはなかったんだが・・・」

・・・ほう・・・死んだ貴族は関係ないのか・・・・


「その死んだ貴族が領主から奪った品の中に・・・ちょっとしたものが有ってな・・・」

・・・・ふむ・・・・


「それが王都の方で、どうしても必要な物だったらしいんだ・・・」

・・・・では・・・・領主に戻した中にはいってるか?・・取り分に入ってるか確認しないとな・・


「その、”ある物”なんだが・・・それが、領主の手に戻ることをとある貴族が嫌がってな・・」

・・・・・そうか・・・そういうことか・・・・領主に戻すのは早計だったかもな・・・


「その”とある貴族”から領主の手に戻る前に抑えてほしいと依頼があった。」

・・・・・・・まずいな・・・・手元にあればいいのだが・・・・まだ確認していない・・


「この中で、最近この件に絡んだ奴はだれだ?」

・・・・・・


「おれだ。」

「ほう・・お隣さん」


「ああ。うちの山で起こったことだが・・・その”ある物”が今手元にあるか確認できない。」

「ふむ・・・」


「一度、巣にもどってから出ないと答えは出せないのだが?」

「そうか・・・・・・・」

「それと・・言いにくいのだが、一部は領主に戻すよう指示している・・・最悪領主の手に戻ることに成るかもしれない。」


「・・・・そうか・・・・」

そこまで、聞いていた者達の中から一人此方に近づく者が居る・・あの見ない顔の男だ・・


「お隣さん。・・・・・その指示は何時出したものだ?」

「昨日の朝には出している・・・まだ、領主の元には届いていない・・が・・・早ければ明日には届くだろう・・・」


「そうか・・・わかった。」

「・・・・・・・・」

・・・・・この男・・・・ヤバイ・・・かなり出来る奴だ・・・・・

恐らくここに居る者皆でかかっても勝てないだろう・・・・

・・・・・


「おいおい。そんなに殺気だつなよ・・・俺はちゃんとルールは守ってるはずだぞ?」

「ああ・・すまない。」


「それで、運び手はいまどの辺だ?」

「恐らく・・・まだそう遠くはない・・・・地図はあるか?」


「悪いな・・地図が無い・・というかこの辺の地理には詳しくない。」

「そうか・・案内が必要なら言ってくれ・・・」


「ああ・・頼む」

「判った。」


この後、俺はこの男・・ボークスと名乗った男と共に運びてである元仲間を探す事に成る・・・・・




ーーーーーーーーーーー

閑話〜帝都からの情景〜

ーーーーーーーーーーー


「兵士長、辛い任務を任せてすまんな」

「いえ。帝国の為ならば是非もありません。」


「しかし、兵士長自ら潜入とは・・・」

「皇帝陛下も何をお考えなのか・・・この場合は貴族どもか?」


「皇帝陛下も王国の状況に目を光らせておりますから・・何時かは誰かがやらねばならないことだったのでは?」

「しかしなぁ・・・。それにしても・・お前を指名というのもなぁ・・合点がいかん。」


「まぁ、俺は一介の兵士長ですから・・代わりなんていくらでも居ますよ。」

「そんなことはない。お前は、実力では俺より強いではないか・・・」

「お前の代わりは、まずいないとおもうがなぁ?」


「そうですかね?・・では、恐らくそれほどの案件だったのではないでしょうか?」

「そういうものか? ふぅむ・・・」


「まぁ、決まってしまったことだ・・仕方ないであろう。」

「ところで、後任は決まったのか?」

「ええ、若いですが、実力はそこそこの奴を見つけました。将来が楽しみな奴ですよ。」


「そうか・・お前が言うならそうなのだろう。」


「では、将軍。 また、お目見えできることを願って・・・」


「おう!ムリはするなよ? 寂しくなったら何時でも戻ってこい!」

「な〜に!任務に失敗したとかいって、戻ってきても誰もなんもいわんて。」


「ははは。ご冗談がうまいですね」

「俺は本気だぞ? ふはははは」


「では!失礼します!」

「頑張ってくれよ。 ボークス」


「はっ!」




俺は、帝国の首都、帝都の南側の関所を預かる兵士長だ。いや・・だった。

先日、帝国国内で起きた下級貴族の謀反に巻き込まれ、

俺を懇意にしていた子爵がお家断絶されたおり、

俺にまでとばっちりがきたのだ・・・。


平民でありながら帝都兵士長の地位まで上り詰めれただけでもよくできたほうさ。


まぁ、今までに幾度も似たような事に巻き込まれたことはあった。

今回も無事任務を完遂できれば、皆考えを改めるだろう・・・。


それにしても今回の任務は、難関だ。

王国に潜入して、王国内で活動する反国王派閥に渡りを付け、更に様々な情報を取得して来るという物だ。

身分を隠すために冒険者へなりを潜め潜入することに成るのだが・・・・

この歳で冒険者を始めるとなると、それなりに不審な目を向ける者も居るだろう。

うーん。なかなか難しい問題が山のように積まれているな・・

まずは、妻に事情をはなして許してもらう所から始めねば・・・


気が重い。



「おかえりなさい。今日は早いお戻りですね?」

「ああ・・」


「なにか困ったことでも合ったのかしら?」

「いや・・・」


「ちょうど、夕食をこしらえたばかりですからいかがですか?」

「ああ、もらおう・・・」


「ホントにどうしたんですか?今日は何か思い詰めているようですが・・」

「・・・・・・」


「カーシャ・・・あのな・・・」

「はい」


「俺、しばらく帝都を離れる事に成ったんだ・・・・・・」

「・・・・そう・・ですか・・・」


「この間の・・・お前の叔父・・・子爵の事件あったろ?」

「ええ・・」


「あの件で、お前にもお咎めが来ないようにと将軍に手を打ってもらったんだが・・」

「・・・・・」


「それが気に入らなかった貴族共の矛先が娘にまで向けられてな・・・まぁ、仕方ないんだよ・・・」

「そんな・・・・」


「だが、家の者には手を出さない事に成っている。だから、一度帝都を離れ貴族共が出した案件をこなさなければ成らないんだ。」

「・・・そんな・・・だって・・・・」


「分かってくれ・・・」

「まだ、あの子も小さいのに・・・・」


「ああ・・・・」

「貴方・・家族で帝都を出れば済むことじゃないの?」


「・・・それは・・ムリだろう・・すぐに手が廻る・・・」

「・・じゃぁ・・・・・いつお戻りに?」


「恐らくは・・数年は戻れない・・いや十数年は戻れないだろう・・・・」

「そんなに!・・・・・」


「ああ・・・。」

「・・出発は・・・・」


「明日だ。」

「!・・・・そんな・・急に・・・」


「済まない。」


「俺の留守中は、将軍の手の者がお前たちを守ってくれる。」

「だから、安心してくれ・・・必ず戻る。    許してくれ。」


「・・・・はい。 必ず・・必ずお戻りください。」


俺は、泣くカーシャを見ているしか無かった・・・・



翌朝、俺は荷物を纏め、冒険者という出で立ちで家をでた。

追いすがる妻を後にして・・



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