〜王次郎に手を出すな!〜
ドオオオオオオオオオオオオオオオン!
俺達はビクッ!となって音のする方をみた・・・が結構遠い上にもう夜なのでよく見えない。
『ニックさん。何が起きたのですか!!?』
『ちょっと、私にもわかりません。 ・・・もしかしたら仲間があまり良くない事に巻き込まれた可能性がありそうですね。』
『ニックさん。 先程の件ですけど、報酬しだいで引き受けるときまりました。 いかがでしょう?』
『報酬ですか・・・。 コレと行って金銭は持ち歩いていないですし、どうしましょう?』
『それでしたら、依頼の後に相談でいいです。』
『ほう・・。 では、依頼しましょうか。 縄をときますので暴れないでくださいね。』
俺は、レーナの縄を解いた。
レーナが続いて男どもの縄を解く。
男どもは兵隊蜂にやられたためか腕を抱えていたり、足を引きずっていたりしているが、
まぁ、死には至らないだろう。
装備を抱えるくらいには元気そうだし、良しとするか。
・・・さて・・向かうかな・・・ってか、俺ら徒歩で対岸までいくの?
結構な距離だよな?・・・・時間かかりそうだ・・・・
俺らが立ち上がり、出発しようかとした時。
対岸の方からちっこい虫が飛んできた・・・・・主様だ・・・
主様は俺に飛びつくと何か忙しなく説明じみた事を知ている。
「ちょ!ちょっと! おちついて!なに?どうなったの?やっぱりあそこに王次郎いんの?」
「・・・えっ!・・・・マジかよ・・・エライことに成ってそうだね・・」
主様が言うには、対岸辺りで游んでいたら暗くなってきてソロソロ戻ろうと成った時に、
湖から大きな虫がはいでてきて王次郎に噛み付いたのだそうだ・・・
王次郎がギャン泣きして暴れ始めると、更に大きな虫がゾロゾロと湖からはいでてきては追っかける・・そんな状態だったのだそうだ。
兵隊蜂が、駆けつける頃には王次郎が虫達に囲まれている状態だったので虫達を倒して回っていたら、何処からかデカイトンボが無数に襲ってきたらしい・・・
「主様・・さっきのあの音だけど・・あれは?」
「え・・わかんないの?・・。 あー、そうなる前にこっちに逃・・戻ってきたのね。」
「いたたた! 引っかかないでよ!逃げたなんていってないじゃん!」
どんなテンションだかわかんないが、主様が激オコなんで、取り敢えず向かおう。
『ニックさん。その虫はなんですか・・?さっきから会話しているようですが?』
『ああ・・ コレは、アレです。 気にしないでください。』
『それよりも、仲間が大変な事に成っているようです。助けに行きたいのでお手伝いお願いできますか?』
『はい。 依頼ですよね?』
『依頼です。 お願いします。』
『わかりました。』
レーナが何やら男どもに話すと男どもは頷き自分のバッグから小瓶を取り出してグイッと飲み干す。
『ニックさん。対岸まで回っていくと時間がかかりそうですから湖を渡っちゃいます。』
『渡れるんですか?』
『魔法で水の上を歩けます。 全員分魔法を掛けるには力が足りませんので、誰かに掴まって居てください。』
・・・・・魔法・・・魔法・・・・・・やっぱり・・魔法あんじゃんか!・・・・どういうことだ!主様!
『わかりました。じゃぁ・・・・・レーナさんで・・・・』
「いでっ!」
主様に殴られた・・・・
「おまえだって、こっちに来てからいい思いしまくってんじゃんかよ!少しくらいいいだろ!」
「・・あ・・はいはい・・・急ぐのね。」
俺は、一番難いが良い大剣のボークスの背中にひっついた。
レーナが何やら呪文を唱えると、一行は迷わず、湖へ走り出したのである。
・・・ほー・・・ホントに水の上走ってる・・・すげぇ・・・・
・・・魔法かぁ・・・・魔法覚えよう・・・必ず!
取り敢えず、あとで主様しばこう。
俺達が湖を走っていると対岸でまたも大きな爆発音がした。
ドオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン
ズズゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン
さっきよりも大きい。
『レーナさん。あそこで戦っていると思われるのは全部虫なので、私が良いと言うまでは近くで身を隠すようにしてください。 乱戦で仲間を傷つけると取り返しがつかなくなる恐れが有ります。』
『わかりました。』
レーナ達が現場で混乱しないように予め言っておかないときっと兵隊蜂が攻撃するはずだ・・
気おつけなきゃな。
やはり遠回りしないと早いもう対岸の様子が徐々に見えてきた。
・・・・王次郎・・・・こう見るとやっぱりデカイな・・・
・・ってかあのデカイトンボ・・やっかいだな・・
対岸の岩場に成っている辺りで、岩場を背にしたデッカイ塊がトンボや地面を這う大きい虫に突っつかれている。
ここからでも王次郎のギャン泣きが聞こえてくるくらいだ・・さぞ痛いのだろう・・
早く助けなきゃ・・・
『レーナさん。あそこの塊。 あのデッカイ芋虫が私の息子です。絶対傷つけないでください。』
『わかりました。 ・・・・息子?』
レーナさんは首がもげるかというくらい頭をひねっていたが事実だ。
王次郎!ママがいまから迎えに行くよ!あんまり泣かないでね!
対岸までつく頃には、あたりは真っ暗だったが、岩場に付着してる例の苔のお陰か全く見えない程の暗闇ではなかった。
凄い喧騒がひしめいている中、戦闘中の王次郎達の近くまで息を潜めて一行はにじり寄ることに成功。
岩場の影に隠れて俺らは王次郎達の様子を見た。
王次郎は岩場を背にしてうずくまり、兵隊蜂が前で死闘を繰り広げている。
兵隊蜂は、結構消耗しているようだった。
3本有る剣の内一本が何かに溶かされたのか、
ダメに成っているし前足の鉤爪も片方失っていた。
蜂妖精の姿が見当たらない。
・・・蜂妖精・・どこだ?・・・もしかして、巣に応援でもよんだか?
・・取り敢えず・・あの厄介なトンボがいなきゃ、兵隊蜂でなんとかできそうだ・・
・・レーナさんにファイアーボールを叩き込んでもらえば、トンボも逃げ出すかもしれない。
『レーナさん。標的はあそこに飛んでいるトンボと地面を這っている虫です。ほかの虫は仲間になります。くれぐれも気おつけてお願いします。』
『取り敢えず、トンボをなんとかしましょう。そうすれば兵隊蜂だけでも地面のヤツを何とかできそうです。』
『あと、さっき見た火の玉とかで、トンボを撃退できればいいのですが・・・』
レーナは頷き、男どもに説明。
男どもは、「えっ!あれをやんの?」みたいな表情だったが・・・・まぁいいだろう・・
そして、レーナが此方に向き
『ニックさん。 ニックさんは小さいのですからここで隠れていてください。
依頼主が死んでしまうとかは、流石に避けたいので・・』
『そうも行きません・・。 あそこでうずくまっている息子に声を掛けないと恐らく移動できませんから・・』
『・・そうですか。 では、私達がトンボの気を引いた隙に移動してください。』
『わかりました。』
レーナ達は皆頷き、現場に躍り出た。
初めにボークスが手前の大きな虫を切り伏せる。
次にニルスが、何処からか取り出したナイフを投げ、トンボの羽の付け根に刺す。
続いて、レーナがファイアーボールを3発ほどトンボめがけて叩き込んだ。
トンボ達はレーナ達の奇襲に驚いたのか攻撃目標をレーナ達に向けて向かっていく。
それを見たレーナ達は、湖の中央を目指しはしりだした。
・・・結構、奇襲が成功してそうだ・・・いいな・・・連携取れてるようにみえるし・・・
・・・注意がレーナ達に向いたな!・・・・いまだ!・・・
お陰で俺は、岩場の影から敵の注意を引かずに王次郎の側までにじり寄ることが出来た。
「王次郎!王次郎!大丈夫か?! 怪我はないか?」
『ママー! イダガッダよー! ヴァアアアアアアアアアン』
「何処か怪我してるのか!? トンボが戻ってくるから泣かないの!できる?」
『うん・・・。 ボクは痛かっただけだよー・・・でもね、ようせいさんがけがしちゃったのー』
「!蜂妖精はどこにいるの?」
『ここー』
王次郎が背にしていた岩場から少しずれると、岩の切れ目が見える。
其の中にお腹の辺を怪我して蹲る蜂妖精がいた。
「蜂妖精さん!大丈夫か!」
『ニック様・・・・不覚をとりました・・・・王次郎様に噛み付いた虫を払おうと近づいたら此の始末です・・・すみません。 王次郎様が守ってくれたので、何とか隠れることは出来たのですが・・』
「いいから!喋るな!腹ヤバイことになってるじゃんか!」
『私のことは気にしないでください。王次郎様を連れて先ににげて・・・・』
「ムリだろ! ・・・・幸いお前は小さい。だから王次郎に乗せて運べる・・動けるか?」
『はい・・。』
「いまは少し無理するけど、ちゃんと治療すれば大丈夫だ!がんばれ!」
「王次郎いけるか?」
『うん。ボクは大丈夫。いけるよ!』
「よし!いい子だ!」
王次郎が蜂妖精を器用に背に乗せる。
兵隊蜂は!?と思い辺りを見回すと
兵隊蜂はさっきレーナ達が惹きつけた集団に特攻している。
取り敢えず大丈夫そうなので、俺は王次郎の頭の辺にまたがり移動を開始した。
「王次郎あそこの光の有る所わかる?」
『うん』
「あそこまで、移動するからね。」
『わかったー!』
・・・・王次郎・・・あんだけトンボや虫に噛みつかれてたはずなのに・・ピンピンしてんだけど・・
・・ホントに痛かったの?・・・・ってか痛いだけですんだのか?
・・・兵隊蜂結構損傷してたよな?・・・・まぁ、女王の頭剣くらってもピンピンしてるくらいだからな・・・
それより、蜂妖精だ・・・さっきは治せるとかいったけど・・あれはだめだ・・あんなに腹けずられちゃ・・
・・・いまはよそう・・変なこと考えるまえに・・安全を確保しないと・・
いつの間にか月が登っていたようで、辺りはある程度見えてきた。
湖の方に目をやるとレーナ達はまだ走って居る、トンボがその後を追いかけているのがみえた。
兵隊蜂は、トンボの最後尾に切りつけては湖に叩き落としている。
・・・この分ならなんとかなりそうだ・・・・




