〜人間・・・・・・〜
ベースキャンプから離れ森に分け入って辺りを物色する。
手頃な木があれば兵隊蜂にたたいてもらったり
木の虚に何か居ないか見てみたりと、結構な時間を費やした。
そこそこ虫は見つかっているのだが、コレと行って大きな昆虫はいないようだな・・
巣で作ってもらったツボの様な容器にドンドン昆虫を詰め込んでいく。
・・・まぁ、虫籠みたいなのが作れなかったんだし・・取り敢えずコレをもってくとするかな・・
そうこうしていると、辺りが段々暗くなり始めてしまった。
ソロソロ戻らないとまずいな・・
明日には戻るんだし、王次郎や主様を蜂妖精だけで抑えて入れないだろう・・・
アイツら完全に舞い上がってるしな・・
俺は、来た道を戻ることにした。
ベースキャンプが近づいてきたが、
もう結構な暗さに成ったので、方向が判らなくなり始めていた。
俺は道が判るらしい兵隊蜂に道案内させ其の後ろをついていく。
木々を掻き分け、進んでいくと明かりが見えてきた。
・・・・ん?・・・・・・焚き火?
あれ?・・王次郎達・・焚き火はじめたのか?
火を起こす道具も無いはずなのに・・・
それに、蜂達も妖精と同じで、火が嫌いだったはずなんだがなぁ・・?
主様がやったのか?
前を歩いている兵隊蜂が森を抜けベースキャンプが見えるところまで来ると、
突然止まり、辺りを見回した後、何やら物騒な雰囲気になった。
俺も、森を抜けそのベースキャンプの様子をみてビックリした。
・・・人間だ・・・・・しかも・・焚き火で暖を取ってやがる・・・
・・俺らのキャンプなのに・・・・・・・
人間らは3人、革鎧を身に着けている者が二人と着流し・・いやローブを着ている物が一人。
まだ此方に気づいていない。
・・どうする?・・兵隊蜂は完全に戦闘モードに成ってやがる・・・
話ができればいいのだが・・・俺は恐らく此方の人間が使う言葉はわからないだろう・・・
・・・それよりも・・王次郎は?・・蜂妖精はどこだ?・・・主様はどうでもいい!
王次郎!・・王次郎はどこだ!
俺は迂闊にも叫んでしまった。
人間たちは俺の声に気づき、
何か叫んだかと思うと手に武器を持ちたちあがる。
・・・ヤバくないか?・・兵隊蜂・・一匹しか居ないんだが・・俺絶対戦力外だし・・
・・どーするよ!
人間たちは、焚き火の明かりで照らされているもののなかなか判別つきにくいが
男2名女1名のようで、
男の一人は剣と丸い小さい盾を持ち革鎧を着ている。
もう一人は大きな剣を両手で持っており、金属で出来た胸当てを付けている。
女は着流しに1.5メートルほど有る杖をもって居る。
・・・ってかさ・・あの女・・どう見ても魔法使う人じゃないのか?
・・ふむ・・・この世界、即席の魔法とか使えないはずなんだがな?・・
兵隊蜂と男達が対峙して距離を詰め始める・・・
女は後方で何やら呪文のような物を唱え始めた。
・・・おいおいおい・・・・魔法?・・・そんな・・・・
先手を取ったのは、後方の女だった。
おもむろに出した手の平に火が灯るとそれが大きくなりバレーボールくらいの大きさに成った。
それを、女は振りかぶって投げたのだ!
・・・ちょw・・・それ・・ファイアーボールとかじゃないの?・・・なんで?
・・・魔法・・・即席魔法は無いんじゃなかったか???
・・なんかの間違いか?それとも主様ウソついたか?
・・・何はともあれ・・人間の中には即席魔法を使えるやつが居るってことがわかったが・・・
バレーボールほどの火の塊が兵隊蜂にぶち当たると弾け結構な明るさで散っていった。
それを皮切りに大剣をもった男が兵隊蜂に斬りかかる。
ごいぃぃぃぃぃん
なんか凄い音がしたが、兵隊蜂は微塵も動かない。
・・・大剣の男・・すごく驚いてる・・・
空かさず、軽装備の男が兵隊蜂の横から節の間に向け剣を突き出した。
キーーン
かなり、金属音が響いたが兵隊蜂は微動にしない。
男たちは驚愕の顔をしながら一旦退くと、
また何やら唱えていた女の手の平から長細く成った火の塊が飛び出した。
兵隊蜂の顔に突き刺さるように火の矢が当たったが・・・当たったところが少し煤けただけで終わった。
・・・あ・・女の顔が恐怖に染まってやがる・・・・やっぱ・・兵隊蜂・・強いんだな・・
かなり戦闘訓練を積んだのだろうと思えるパーティーなのだろうが、
兵隊蜂は一歩も動いていない。
人間たちは、勝てないと思ったのか頻りに辺りをキョロキョロし始めている。
・・逃げ道でも探してるのか?・・・・・・
・・・本当なら此のへんで俺が声を掛けるべきなのだろうけど・・・・・
俺は、人間の言葉が理解できないし喋れない・・・・
さーどする?
俺は、兵隊蜂の後ろまで行くと声をかける。
「兵隊蜂さん。 あの人間達・・殺さないように捕縛できない?」
兵隊蜂は此方に顔を向けて、承諾したようだった。
兵隊蜂による捕縛劇はあっという間だった。
羽を広げ突撃したと思ったら大剣の男がふっとばされて湖に落ちた。
そのまま、頭剣を横薙ぎに振り回したのを軽装備の男が盾でガードしたがあっさり吹き飛ばして、軽装備の男も湖にポチャリ。
それを見ていた女は武器を捨てて逃げ出そうとしたが、兵隊蜂が後ろから覆いかぶさり押し倒して捕まえたのだ。
兵隊蜂は女を抑えながら此方に顔を向ける。
・・・あ・・縄とかですかね?・・・もってないですけど?・・・どうするかな・・・
俺は取り敢えずベースキャンプに残してきた荷物を調べた・・・
・・おぃおぃ・・・結構盗られていたんじゃねーか・・・
荷物の中はかなり荒らされていて、無くなっているものも多かったが、
天蓋を結ぶ用のロープは残っていたので、それをもって女に近寄る。
俺が女に近寄ると、なんか喚いている・・・・・
・・ほんとすいません・・言葉わかんないんですよ・・・
・・いやね・・俺をみてすんごく驚いているのは、なんとなくわかりますよ?・・・
・・・取り敢えず、夜になるので静かにしてもらえますかね?・・・・
俺は女の手と足に縄を縛っておいた。
兵隊蜂は縄を縛り終えたのを確認すると、女をキャンプの辺まで引きずっていき放置。
次に湖に落ちた男どもを一人ずつ湖から引き上げ、
また「縄を縛れ」とでも言うようにコチラを向くので、俺は縄をもって男どもの手足をしばる。
・・・さて・・これで、一段落着いたが・・・王次郎達は・・?
・・未だ帰ってこないのか?
・・・・仕方ない・・・兵隊蜂に探しに行ってもらうしか無いな・・
「兵隊蜂さん。 度々ごめんね。王次郎達探してきてもらえます?」
兵隊蜂は俺と捕まった人間を見て、頷くと飛び去っていった。
「さて・・・・どうしたもんかな・・・」
人間達も俺が一人になったからと隙きを見て逃げ出すかもしれないが・・・
まぁ、それまでの内に色々情報を引き出そう・・・
「あの・・手荒な真似してすいませんね」
俺は捕まっている女に話しかけた・・・なぜ女なのか?・・それは、母性に訴えかけるためさ!
ってのはウソで、恐らく此の中じゃ頭使えるのがコイツぐらいだろうからだ。
女が俺をみて、何かいってるんだけど・・やっぱりわかんないんだよなぁ・・・
さてさて・・・・・・・・ん?!
蜂の文字・・・伝わるかもしれん・・・
おれは、地面に”始めまして”と書いてみた。
すると、女は何やら難しい顔をしたかと思おうとコクコクと頷き、
後ろ手に縛られた手を器用につかって古代語で文字を書き始めた。
”あなた・・古代語がわかるの?”
よっしゃ!言葉しつうじた!・・・・・・しゃーない、筆記でなんとかするか。
俺は、筆記で
”自分の使う言語は、あなた達と違うので、筆記だけに成ってしまいますがよろしいですか?”
と書いた。
女はコクリと頷き器用にまた文字を書く、
”私達をどうするのですか・・・?”
”あなた達は私達のベースキャンプを侵略していたので、捕縛したまでです。後のことは知りません。”
”私達を逃してくれませんか?”
”仲間が戻り次第相談することになると思います。今は逃しません。”
”それよりも、少しお話を聞きたいです。 情報が取れれば逃がすことも出来ます。”
”わかりました。お話しましょう。”
そう言うと、女は男どもに何やら話しはじめた。
男どもが俺をみてすごく驚いている・・・やっぱり、二歳の子供がこんなことしないよな・・・
”すみません。申し遅れましたが、私の名前はレーナ。”
”こっちの大剣の男が、ボークス。 あちらが、ニルスといいます。”
”私達は、ここより1ヶ月ほど北に行った辺りの街で冒険者をやっているものです。”
・・・・・ほう・・・・・・冒険者・・・ですか・・・・ここにきて、ファンタジーが復活しやがった・・・
”私の名前はニックと言います。 生後二年ちょっとです。”
”二歳!?? ホビット族ではないのですか?”
”ホビットですか? そんな種族も居るんですね。 私は人間だと思いますが?”
”ありえない! 二歳で、言葉も理解できるなんて・・・”
”そうでしょうね。 私は特殊な方だとは思います。 ですが、理解出来ますよ。”
”そうですか・・。 それで、どんなお話が聞きたいのでしょうか?”
”まずは、あなたが今喋っている古代語ですか? それの発音を教えてほしい。”
”・・発音ですか・・・”
”それと、人間の街で使っている言葉も教えてほしいです。”
”人間の言葉もですか・・・?”
”はい。 私は、妖精達に育てられたため人間の言葉が理解できません。”
”運良く、この文字は習得出来ましたが、声を発するものが居ないため発音も出来ないのです。”
”なるほど。 それでは、古代語から発音を覚えましょうか?”
”お願いします。”
こうして、兵隊蜂が王次郎を見つけて戻るるまで、レーナに蜂の言葉?古代語を教わる。
文字自体は覚えていたので、発音を覚えるのは結構簡単だった。
・・・・たしか・・・元の世界でも・・子供は覚えるのが早いって話し聞いたこと有るけど・・
・・この世界にきてからこの身体のポテンシャル高いなぁ・・とはおもってる。
・・・発音だけってことだったけど、僅かな時間でたどたどしいが話せるように成ってるし・・
『これで、一通りの古代語の発音は出来るように成ったと思います。』
『有難う御座います。なかなか・・・・たどたどしくて、聞き取りづらいかもしれませんが、申し訳ない。』
『いえいえ! この短時間で凄い学習能力です。驚きました・・・本当にホビットでは無いのですよね?』
『自分の姿をあまり見たことがないので、正直なんとも言えませんが、生後二年とちょっと程なのは確かです。』
『・・・そうですか・・・ ところで、そろそろ私達の縄をといていただけませんか?』
『私もそうしたいのですが、仲間が戻らないのでなんとも出来ないのです。』
・・・・ってか・・・ホントに遅いな・・・・・何かにまきこまれたか?
『レーナさん。もしよければですが、冒険者として依頼を受けていただければ、縄を解くことが出来ますよ?』
『・・どんな依頼でしょうか?』
『私の仲間。先程の蜂が探しに行ったのですが、戻りが遅いので、探しに行こうと思います。』
『・・・・・つまり・・・一緒に探しに行くという依頼でしょうか?』
『はい。 そうなりますが?』
『すみません。私の一存で決めることが出来ませんので、彼らと相談させてください。』
『そうですか。良い返事をお待ちします。』
・・・・・まぁ、古代語を話せるくらいに成ったんだし・・・とりあえず・・逃しても良いんだがな。
・・・利用出来るものは利用しよう。
レーナが、男どもと話している中、
突然、俺らの居る場所の湖を挟んだ反対側で、爆裂音がした。
ドオオオオオオオオオオオオオオオン!




