〜主様・・・見る目ないなぁ・・〜
朝早く俺は蜂妖精に叩き起こされた。
というのも昨日、深緑様への質問ができなかったので、再度確認をしたいと思って早めに行動したかったからだ・・・・が・・・
すでに、深緑様の側仕えが白びかりするロウの様なもので出来た石版(?)をもって俺の部屋に訪ねてきたのだ。
『昨日は大変申し訳ございませんでした。』
『主も申し訳ないと申しておりまして、本日はご自分で謝罪にと言っておりましたが』
『何分二日酔いで身動き取れないようでしたので、代理として私がコチラをお持ちした次第です。』
『先日のニック様より有りました質問の答えをまとめたものになります。どうぞお納めくださいませ。』
・・・・此の側仕えは苦労してそうだ・・・・・赤熱様の所とはわけが違う・・
「すみません。ご丁寧に有難う御座います。」
『それとですね。ついでで申し訳ないのですが・・・主様がお持ち帰りになった物をお返しいただけますでしょうか?』
「あ・・・あれね・・・汚くなってるけど、いいですか?」
『・・・仕方ないと思われます。 アレがないと深緑様も悲しまれますので・・・・』
「わかりました。」
オブジェの頭を抱き枕にして寝てる主様から引き剥がし、側仕えにわたす。
「これですよね?」
『誠にお手数おかけしてすみません。』
「はい。深緑様にはよろしくとお伝えくださいませ。」
『重ね重ね、有難う御座います。私はコレにて、失礼いたします。』
俺は、石版を受取とり側仕えをみおくった。
さて・・・石版、石版・・っと・・・・・・ん?
やべぇ・・・・・俺・・蜂の文字・・・読めねぇじゃんか!
・・・・今度、この巣の文字勉強しとこっと。
しかし・・蜂に文字の文化なんか有ったの?
すげーびっしり書いてあるけど・・条件多そうだな。
「蜂妖精さん。コレ読める?」
『あぁ・・コレは・・難しいですが・・読めますよ? 読みましょうか?』
「お願いできる?」
どうやら蜂妖精さん文字読めるらしいので朗読してもらった。
深緑様が番に求める条件は要約すると以下のようなものだった。
1.感受性が豊かである事。
2.芸術に敏い事。
3.創造性に明るい事。
4.忍耐強い事。
5.生産の技術を持っている事。
なのだそうだ・・・・
正直、条件きびしい・・・
五つも条件付けられると厳しいな・・・どーしたものか?
まぁ・・・なんとかするか・・・なんとも成らない気がするが
ってかさ・・そんな条件に当てはまる蜂っているのかね?
まぁいいや・・取り敢えず深緑様の条件聞けたんだし、黄土様の所に行くか・・
俺は、黄土様の所に向かった。
・・なぜか今回は主様付いてこなかったけど・・・・どんだけ興味ないんだよ・・
黄土様の部屋の前まで来たが・・誰も出てこない・・・
取り敢えず、俺はドアをノックしてみたが、反応が一切ない・・・・・
・・なんだこれ?
・・・深緑さまが言ってた通り、人見知りだからか?
それにしては、側仕えさえ出てこないなんて・・・・どーやってコンタクトとればいいのよ?
取り敢えず声をかけてみることにした。
「恐れ入ります。黄土様のお部屋でよろしいでしょうか?」
「どなたか居られますか?」
「・・・・・」
反応ナシ
ぇー・・・・・側仕え・・・働けよ・・・居ないってどういうことだよ?
外出でもしてるんだろうか?
・・・一旦、出直すか・・・
俺は、出直すことにした。
自分の部屋に戻ると、蜂妖精がどうだったか訪ねてきた。
『お早いお戻りですが、黄土様とはお会い出来ましたか?』
「いや・・側仕えさえ出てこなかったよ」
『そうですかぁ・・・』
「んー、蜂妖精さんは黄土様のこと何か知ってる?」
『そうですね・・正直あまりは知らないのですが、もしかしたらお部屋で臥せって居られるのかもしれませんね。』
「そうかなー? それにしては、側仕えも出てくる様子無かったんだけど・・・」
『あぁ・・そうですね・・というかですね。伝え忘れていたのですが、黄土様には側仕えが居ないのですよ・・・・』
「えっ!じゃぁ・・どーやって暮らしてるの? ってかその情報早く欲しかったんだけど・・・」
『わたしも失念していました。申し訳ありません。』
『ですが、黄土様には兵蜂と働き蜂がお世話をしているはずなので、もしかしたら近くの兵蜂に声をかければお会い出来るかもしれません。』
「兵蜂かぁ・・・俺、兵蜂の声きこえないんだよね・・・どーしたものか・・」
『そうでしたね。 それでしたら、私がお供いたします。よろしいですか?』
「あ・・うん。王次郎のことは主様にまかせるわ・・・不安だけど・・・」
まだ、二日酔いで寝込んでる主様に王次郎の事を任せて俺と蜂妖精は、再び黄土様の部屋へ向かった。
黄土様の部屋まで行くとちょうど働き蜂が部屋から出てくるところだった。
「蜂妖精さん。働き蜂に黄土様のご様子聞いてもらえます?」
『畏まりました。』
蜂妖精が働き蜂に何やらコンタクトを取っている横で俺は少し開いているドアの隙間から部屋を覗いた。
・・・・あれ?・・・黄土様居ないみたいなんだけど・・・・?
おれは振り返って、蜂妖精を見た。
「蜂妖精さん・・・黄土様いないみたいだけど・・?」
話し込んでいた蜂妖精さんは首をかしげ
『働き蜂は中で、臥せっているっていってますけど・・・・』
「マジで?・・・・」
『それよりも、無断で中を除くのは・・・ちょっと・・・黄土様もお年頃ですので、ご遠慮ください。』
「・・・・・・ごめんなさい。」
おこられた。
蜂妖精が働き蜂と話終わり
『私が先に部屋に入りますので、お声をかけましたら入ってきてもらえますか?』
といって部屋の中に入る。
手持ち無沙汰で其のへんをブラブラとしていると、
蜂妖精から中へ入れると声がかかったので、俺は部屋の中へ入ることにした。
黄土様の部屋の中は
良くで言えば素朴、悪く言えば貧相な作りだった。
俺が中に入り辺りを見渡すと蜂妖精が30センチほどの働き蜂と話している。
「蜂妖精さん。 黄土様はどちらに居られますか?」
『・・・・・・・』
『ニック様・・・此方においでですよ・・?』
「ん?」
蜂妖精さんの横のずっと働き蜂と思っていたのが黄土様だった・・・
確かに目の周りが金縁だわ・・・まるで丸い眼鏡してる感じに成ってる。
・・・主様の情報、正確だったわ・・・・・確かに地味・・・ってか地味通り越してる・・
あれどう見ても働き蜂にしか見えないじゃん・・・
黄土様はどう見ても働き蜂にしかみえないのだ、しかも羽の形成が失敗したのか羽がくしゃくしゃに縮こまったままである。
・・・これ・・完全に近親交配の劣勢が出ちゃったんじゃないかな?
・・まぁいい取り敢えず話をするか。
「先程は失礼致しました。」
「私この度女王陛下より姫様方の番選出を任されましたニックと申します。」
「以後お見知りおきを。」
・・・・・?返事がかえってこない・・・・
『黄土様もよろしくとのことです。』
蜂妖精さんが代わりに答えた。
「蜂妖精さん。黄土様は念話が出来ない感じですか?」
『ええ、どうもあまり得意ではないらしいです。何でも周りに働き蜂や兵隊蜂しか居ないので使わなかったためらしいのですが・・・』
「こまったなぁ・・・ じゃぁ、此の場で通訳お願いしちゃえます?」
『其のつもりで居ます。』
「じゃぁ、黄土様に番の条件をお聞きしてもらえますか?」
『畏まりました。』
蜂妖精さん・・・・連れてきてよかった・・・・ってかさ
黄土様の様子から見るとあまり体調というか・・・生気があまり感じられない・・・
寿命もながくないのかもしれないなぁ・・・・・
こまったわぁ・・・番が見つかる頃に亡くなられても困るし・・
『ニック様、黄土様はこう申しております。』
『ニック様にはご足労頂いて恐縮なのですが、私は体があまり丈夫ではないので、番を見つけていただいても繁殖に体がついていけないでしょう。』
『ですので、お母様には大変申し訳ないのですが、番の件はお断りすることになると思います。』
『だそうですけど・・・・』
「・・・・・」
「蜂妖精さん。黄土様はそんなに体が弱いの?」
『そうですね・・私ではよくわからないのですが、羽化に失敗したためでしょうか?とても不自由な生活をしているようです。』
「・・・・・」
・・・マジかぁ・・・可哀想に・・・羽化の失敗かぁ・・いや、昆虫にはよく有ることでは有るのだが・・・
自然環境下で羽化不全は確かに繁殖出来ないケースが多いし・・・
通常は自然淘汰されてしまうんだがなぁ・・・こまったなぁ・・
「黄土様、番の件をお断りするということは・・・その・・」
いいずらいなぁ・・・
「姫の義務をまっとうしないということに成って・・粛清されてしまうんではないでしょうか・・?」
蜂妖精が気まずい顔で、黄土様に話している。
『粛清は覚悟の上だそうです。』
『そもそも、正常に羽化出来なかった自分の落ち度と・・・』
「そうですか・・・」
・・・・・・・・黄土様・・・覚悟できちゃってんのか・・・
う〜ん。不憫で仕方ない・・・黄土様の体・・なおせないかなぁ・・・なんとかならんかね?
『ニック様、黄土様のお言葉です。』
『此の度は我ら姫達の為に尽力、心より感謝しております。』
『私は番を持てない身ですので、私に割いて頂ける時間の分』
『どうかお姉様達の番の件でお使いくださいませ。』
『此の度の慣例廃止の件では、お姉様達に明るい未来が開かれたと思います。』
『それが私は嬉しくて嬉しくて仕方ないのです。』
『来生が有るとすれば、私も此のような慣例のない巣へ産まれたいと願っています。』
『重ねて申し上げます。お姉様達の事よろしくお願いいたします。』
『だそうです。・・・・』
・・・蜂妖精さん・・・・ちょっと泣いちゃってるけど・・・
・・・・・・ちくしょう!
なんだよ!・・・めっちゃいい子じゃんか!・・・・
・・・・主様・・雌見る目・・養っとけよ!・・・・・姫様達の中で抜群に心がキレイだぞ!
「黄土様・・・畏まりました!黄土様のお心に背かぬよう全力で姫様方の番を選出させていただきます!」
俺は心に誓った・・・絶対・・・・新しい血を入れてリスクを減らす様にしようと・・・
俺と蜂妖精が黄土様の部屋から自分の部屋へ戻ると・・・
・・・どうして・・こうなった・・・・・・・
部屋の中がぐちゃぐちゃに掻き回されていた・・・・・
蜂妖精も口をあんぐりとしている。
「ちょ!主様!どうしたの?なにがあったの?」
「王次郎!何か変わったことでも有ったの?」
『ママァァァァァ!』
王次郎が泣きながら突進してくる・・俺はヒラリと避けたが・・・
あの巨体だ・・避けきれるものではない。
俺は、死の覚悟をして目をつぶった。
衝撃が俺を襲う・・とおもったら・・あれ?
衝撃は無かった。俺、助かったのか?
王次郎が目の前で止まっていた。
「ど・・どうした?王次郎・・・」
『ママァァァ!王次郎ね。 起きたらママが居ないし、妖精さんもいないからさびしかったのー!』
・・・・・
「あれ?主様は?居ないの?」
『居ないよー』
「取り敢えず、王次郎・・ママかえってきたからね?泣かないの!できるかなぁ〜?」
『ぅぅぅぅ。 うん』
・・・・主様・・・どこ行ったんだよ・・王次郎任せたのに・・・・
「王次郎、主様がどこ行ったかわかる?」
『ぅぅ。 グスン。 あるじのおじちゃんなんか呼ばれたーとか言ってー消えちゃったよー?』
「・・・・・え?」
『?』
「王次郎・・主様部屋から出ていったんじゃないの?」
『んー? 出てないよー。 消えちゃったのー・・だから僕、怖くなっちゃって・・・グスン』
「・・・そうか・・・怖い思いしちゃったね〜?でも大丈夫だからね?泣くのやめようね?」
『うん!』
「そうか!えらいなぁー!王次郎はー!」
『ママー!お歌うたってー!』
「おお!いいぞー!どんな歌ききたいの〜?」
『ヘイヘイホー!ってやつー!』
「おし!じゃぁ、一曲いくか!」
俺は、木こりの歌を歌った・・・・・・・・・拳はグッといれて・・
一曲全力で歌った後、余韻に浸りながらウンウンと俺が頷いていると
ドアの方から兵隊蜂が入ってきて蜂妖精に何やらはなして出ていった。
『ニック様・・・女王様より・・・騒音の苦情が・・・・・』
「・・・・・・」
「ご・・ごめんなさい・・・」
『ママー!次ー!』
「・・・・」
俺の歌・・そんなに響くのか?
女王の部屋とはかなり距離があるはずなんだが・・・・
その後、王次郎を慰めるのに一苦労して一日を終えた。
・・結局、主様帰ってこなかったなぁ〜?・・・・




