〜持つべきものは息子〜
・・・・・ガシャァァァァァ・・・ズズン・・・ズシィン・・・
『・・・・・・・』
「・・・・・・・」
バキュッ・・バリッ・・・ズズン・・
『んんんんん!んあぁ!其の方!先程よりあそこで飛び跳ねているアレはなんじゃ!うるさくて気が散るではないか!』
「・・・・・・」
『何じゃアレは!』
「・・・・・・王子です・・・・・・・・」
ズン!ズシィン・・ズシィン・・
『・・・・・・は?』
「王子です。」
ドゴン!ズシィン・・
『・・・・・・・・・・・・』
「王子ですっ!」『マッマー!タノシー!』
・・ズシィン・・ズシィン・・
『なにっ!王子と申したか!・・しかし・・王子は行方不明と先程申したではないかっ!』
「あ・・い・・いや・・あのですね・・・」
『重ねて謀りおったか!!』
「めめめめ!滅相もございません!多分絶対王子です!」
『!??多分なのか!?絶対なのかどっちじゃ!』
「・・・絶対です!・・・・・・・・・・・・・・・・多分・・」
『じゃからどっちじゃ!』
「私にもわかりません!」『マッマー!マッマー!ミテー!』
ズズン・・バリッ!
「私が、助かりたいばかりに王子を産み出せればとの思いが実を結んだ結果がコレでございます。」
『!?!王子じゃと!?王子と申したか!・・・・・其の方・・・雌であったか・・・』
「あ・・私は男・・紛れもなく人間の雄にございます。」
「女王様がお産みになられました卵を一つ拝借させてもらいまして・・王子にしようかと・・・」
『なにっ!妾の卵を拝借じゃと?!』
『・・・・仮に妾の卵を利用したとしても人間にはムリじゃろう!』
『通常、王子種の誕生は妾が極めて厳選した卵を特定の溶液で育てなければならないはずじゃ!』
「・・あ・・あの・・それっぽいのは・・できちゃったんですが・・・」
『・・・・・』
『そこの者が、それっぽいのということか?』
「はい・・」『マッマー!!コレ、ナゲテー!』
『ふむ・・・その巨大な幼生体が・・・』
「・・ハイ・・そだっちゃいまして・・今じゃ、女王陛下よりも大きなお子様にございます・・・」
俺が、王次郎に視線を向けると、王次郎はどこで見つけたか卵を咥えてコチラに駆け寄ってくる。
『マッマー!ヒロイー!タノシー!』
『マッマー!アソンデー!コレナゲテー!』
・・・ママは今、絶対絶命なのっ!
遊んであげれる余裕皆無なのっ!!
だからその卵を口から話しなさいっ!
ソレはきっとお前の弟か妹になる卵だ!
投げちゃだめだぞ!
『・・・・其の方・・・妾は・・・あの様な巨大な幼生体を見たのは初めての事ぞ!』
『それに其の方を母親と呼んでいまいか?どういうことじゃ?』
『やはり・・其の方・・雌なのではないか?其の方が産んだのではないのか!?』
「あの・・先程も申し上げましたが私は人間の雄・・男でございます。」
「・・・産めるわけないじゃないですか・・よしてくださいよ・・」
『ふむ・・・・確かにあの種は我らが種では有るようだが・・・今までに此のような個体が誕生したことは無い・・』
『しかも様子を見るに雄であることは間違いなさそうじゃ・・・王子種ということか?』
「やはり!王子だったんですね!・・隣の姫蜂とはどうもちがうなーとはおもってたんです。」
俺の周りでズシンズシンと飛び跳ねながら遊んでる。
王次郎は今まで蛹室以外出たこと無いためとてもはしゃいでいようだ。
『マッマー!コレナニー?』
「・・・コレとかいっちゃだめよ・・・そちらが王次郎のホントのママなの・・」
『ンー?マッマハーマッマダケダヨー?』
「・・・・」
『王子・・・王子なのじゃな・・・・・・・ふむ!』
『コレ!そこの者・・・王次郎とやら少しおとなしくせい!』
『ヤダー!マッマトアソブー!』
『コレ!おとなしくせい!』
『ヤダヤダー!マッマー!タスケテー! ゥゥゥ・・・ビャァアアアアアア』
・・・王次郎・・・ギャン泣き初めてるじゃんか・・・可哀想に・・うぅぅぅ
・・・ズザザザザザザァァァ!・・・ガシャァン!・・・・ズン!ズン!ズン!・・・
『!コ・・コレ!おとなしくせい!誰ぞ!誰ぞおるか!』
『此の者!王子を鎮めよ!取り押さえても構わん!!』
ドアの向こうから近衛兵が二匹出てきて王次郎に飛びかかった!
・・・が・・はねとばされた・・ってか、近衛兵壁に頭からささってねぇか?動かねぇし・・・
『ヴァアアアアアアアアア!マッマー!ダズケデー!』
バキン!ズシィン!ズシィン!
『コレ!其の方! ニック!ニックよ! 落ち着かせよ!早う・・早うせぃ!!』
「・・・・いや・・・俺じゃあムリッスよ・・・マジで・・俺の10倍以上あるんスよ?飛びかかったら死んじゃいますって・・・」
グシャッ!グシャッ!ズズズズッズ
『其の方の生死など、どうでも良い!早う!早う!落ち着かせるなりせい!』
「いやいや・・・ムリ言わないでくださいよ・・・女王様のが大きいんですし女王様が取り押さえたらいいじゃないですか・・」パキンッ・・バキバキバキ・・・
王次郎が飛び跳ねる度にそこらの物が割れる、折れる、形がなくなる・・・
流石に部屋をこれ以上壊されるのが嫌なのか、女王が必死に止めに入る・・が・・
・・・王次郎・・・お前・・強くないか?・・何その力・・女王がタジタジじゃんか・・
『むむむ・・・妾より力が強いではないか!・・・くっ・・巨大過ぎる!』
『こうなっては致し方ない!妾の頭剣で・・!』
ボヨ〜ン
・・・さっき俺達に向けられた剣・・・あの破壊力やばかったよな・・?
・・・王次郎・・なんで普通に受け止めてんだよ・・・大丈夫か?・・痛くないの?
『ぐぬぬ!妾の頭剣が効かぬ!・・・・・』
『くっ!・・其の方を母親と言っておるのだし其の方がなんとかするのが道理であろう!』
「いやいや!産んだのは女王様じゃないですか!」
「俺はただちょっとテンションにまかせて育てただけですよ!」
ドシン!
『なんでもよい!早う落ち着かせよ!妾の産卵室が壊れてしまうではないか!』
『ぁあっ!王子よ!そこは!そこはだめじゃ!』
『ニック!ニックよ!早う!』
「ぇー・・・じゃぁ・・俺へのお咎めはナシにしてくれるのでしたら・・・なんとかしますけど・・・」
『くっ!んんんー!・・・わかった!其の方の咎は忘れよう!だから早う落ち着かせよ!』
「・・・わかりました・・・・やってみますけど・・俺が死んだら王次郎のことよろしくお願いできますか?」
『なんでもよい!早う止めよ!』
・・・・・取り敢えず・・なんとかなったのか?・・・
「王次郎!やめなさい!騒ぐと遊んであげませんよ!歌も無しです!」
そこまで言うと、王次郎がピタッと止まる。
『マッマー!オウタウタッテー!』キャッキャッ
『・・・・』
「・・・女王様・・お聞き苦しいとは思いますが・・ひとまず一曲・・」
『・・ヨイ!早うせい!』
それでは、心を込めて歌い上げます!
〜〜♪〜〜グッ〜♪
♪〜〜〜〜グッ♪
グググッ〜〜〜〜〜♪
一曲フルで歌い上げた。
ふぅ・・・少し、拳ききすぎたか?
我ながら良い美声だわ!
ハッハッハッ!
・・・
そして部屋は静まり返った。
主様・・・なんで俺を凝視してんの?
壁に刺さったままの近衛兵からもなんか突き刺さる雰囲気が・・
・・女王に至っては完全に青筋立ってる気がする・・・やっちまったか?
『マッマサイコー!』
「お〜!王次郎だけだぞー!俺の歌の良さが解るのは!くぬぅ〜かわいいやつめー!」
『・・ニックよ・・王子は落ち着いたよう・・じゃな・・・』
『ところで・・その騒音はなんだ!』
『妾を殺すきかっ!』
「いえいえ!めっそうもございません!王次郎は俺の歌を聞くと落ち着くのです。」
『んんむ・・・まだ耳鳴りを起こしておる・・』
「大変申し訳ございません。私としましても歌の道は、まだまだ歩み始めたばかりでございますのでご了承くださいませ・・・次こそはもっと拳を聞かせた美声をば・・」
『其の方の歌はもうよい!妾の胎教にも良くない!まだ、ゴブリンの鼻歌のほうがマシじゃ』
「さようでございましたか・・・」
・・・演歌はうけがわるいのかな?・・・POPミュージックなんて学生時代に聞いてた御三家の曲ぐらいしかしらんし・・・あ・・あれは歌謡曲か・・・POPなんてしらんわな・・
『ニックよ王子も落ち着いたようじゃし話を続ける。』
「はい・・」
『此度の罪じゃが・・・妾への謀りの件確かに許すまじ行為ではあった。 が・・・』
『じゃが、我ら種の繁栄には王子は絶対に必要なのじゃ・・・』
「左様でございますね」
『其の方が育てたその王子・・・王次郎とやらを立派に成体へと導く事。」
『此れを持って此度の全てを無かった事にしてやろう。』
『今後も責任を持って王次郎を立派な王子へと導くのじゃ!よいな!』
「ははー!」
『ニックよ。其の方を王子付きの養育役に任命する』
「ははー!ありがたき幸せにございます!」
『うむ、よろしい。 励め!』
・・・なんとか助かった・・・
・・・・かな?
『それとだ、其の方は王子の養育ははじめてであろう?』
「はい・・初めてというか・・・そもそも人間はしないですからね・・」
『なればこそ、王子の養育に関し慣れている者からの助言を受けるようにせよ』
「はい・・?しかし、どなたが王子の養育経験者かわかりかねますが・・?」
『ソレならば、先の王子を育てた者をそばにつける』
「ははー!助かります!」
『うむ!では、王次郎と共に自室へ戻ると良い!』
「畏まりました。」
・・・・・・なんとか・・・・・助かったが・・・王次郎・・GJ!
俺と王次郎は女王の部屋から出よとすると女王に呼び止められた・・
『それからニックよ!』
『妾の前での歌は金輪際、御免こうむる!よいな!』
「あ・・・はい・・・」
俺が気の抜けた生返事を返し、謁見の間を出るとそこには体長30センチほどのフェアリーがいた。
・・・・コレが・・・お側なのかな?




