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閑話〜暗き森、小鬼は踊るあかしまに〜

パパンの話。

今年は森の恵みに恵まれなかった。

例年ならば毎日数羽ほどのウサギがとれていたはずなのだが、今年はこの時期になってもまだウサギの収穫の報告がない、


極めて異例の事態である。


噂では遠く離れた地より、人間どもがこの森まで狩りに来ているらしい。


人間・・・奴等は本当に浅ましい。

数が多いためかすぐに自分達の土地だけでは飢えを満たせずに侵略を仕掛けてくる。

しかも侵略に飽き足らず殺し合いまで起こすのだ。


あのような生き物はこの森…いや、この世界に取っても極めて害であろうに…


ただ、人間は非常にこずるい、その為か中々に手強い相手なのだ。

しかも集団で動く。


まさにネズミ共と一緒だな。


なぜ、あのような生き物が繁栄しているのか不思議で仕方ない。

まぁ、そんな人間共がこの森にやって来ているとなれば…近々、鉢合わせすることに成やも知れんな。


そんな事を考えてゴブリンは獲物を探していた。



此の場所は大きな大陸の南側に位置しており、

面積はおよそ300キロ平方はあり、大陸のおよそ半分ほどを占める巨大なジャングルである。


ジャングルには様々な生き物が生息しており、

中心部に向かうほど、強い体、高い知能、狡猾な性格の魔獣が生息していた。


ゴブリンはそれほど強い生き物ではない。

其のため、ゴブリンはジャングルの北側の外周付近に集落を作り

ほそぼそと狩りや農業で生き延びていた。


ジャングルを北へ抜けた辺りには人間が生存圏を広げており、

ゴブリンはしばしば人間の脅威に晒されるのであった。



「う〜ん・・此の辺りはもう獲物が居ないのかもしれん・・どうおもうか?」

「そうかもしれないですね。最近めっきり狩がおぼつかないんですよ」

「やはり人間が侵入しているという話・・本当かもしれんな」

「そうですね・・先日仕掛けた罠に獲物がかかった形跡は合ったのですが・・罠ごとなくなっていましたから恐らくは・・」

「人間どもめ・・」

「まったくです。」


ジャングル外周は太陽が見えないほど大きな木々が立ち並び昼でも薄暗くオレらにとってはとても過ごしやすい環境なのだが、人間が侵入しては獲物よ掻っ攫っていくため食料とくに肉にこまる・・


「先輩・・どうしましょうか?此の辺りではもう獲物が手に入りにくいですよね?」

「うむー、仕方ないな・・少し遠出してでも獲物を見つけるしかなさそうだな」

「やっぱりですか・・・オレ・・あんまり森の奥には行きたくないんですけれどね」

「オレだってそうさ・・しかしなぁ・・このまま肉が手に入らないと集落のみんなに顔向けできん」


オレと後輩は森の奥を目指し進んでいく。


「先輩・・」

「ん?」


「最近、奥さん達とはうまく言ってるんですか?この間うちのに先輩のところが心配だといわれましてね・・・」

「ん〜、心配はありがたいが大丈夫だぞ?」

「でもアレですよね?この間子供が産まれなかったとききましたよ?」

「あ〜・・あれな・・あれは仕方ないんだ、5番目が身重なのをムリしてな・・流れてしまったんだよ」

「あぁ・・そうなんですか、じゃぁ奥さん達の間の諍いとかじゃないんですね?」

「うむ。 うちは諍いを起こすような連中ではないからな、むしろ5番目の面倒を見るために協力してるくらいだしな」

「それならいいですね。うちはまだ一人しかいないんで大丈夫なんですが・・」

「オマエこそ、一人のみを愛すとかいっておいて他の若いやつに手を出してんじゃないのか?」

「え!・・そんなこと・・してませんよ・・・」

「ほんとか?」

「いや・・酒によった勢いで・・こないだちょっといい雰囲気になっちゃったことは有るんですがね」

「結局手はだしてないのか?」

「ええ・・手を出す前にうちのに見つかって鍋で叩かれましたよ」

「ははは それは、災難だったな」

「まぁ、うまくやるこっった」


そんな事を言いつつしばらく森を歩いていた。


「ん?・・・・森の木の種類が変わり始めたぞ」

「本当ですね・・オレこの辺に来るの初めてなんですけど・・」


いつの間にか天井を覆っていた木々の葉がなくなっているのに気づき、

もの珍しそうに辺りを観察している後輩の後ろにヤバイ気配を感じた。


「っ! よけろ!」

ヒュッ!  ザクッ!


「イデェ!」

「オイ!大丈夫か?!」


後輩は肩に刺さった矢を苦痛に耐えながら抜き、

傷口を抑えてうずくまる。


「先輩!ありゃ人間の弓ですよ!・・か・・かこまれてる?!」

「ッチ!・・・何匹だ?」

「三匹くらいだと思います・・・」


オレは棍棒を抜き辺りを警戒していると、

獣の皮を身にまとった人間の雄が二匹、手には剣を持って現れる。


「っ! こいつら狩人じゃねぇぞ!」

「こりゃ・・冒険者ってやつか!」


オレは、後輩と冒険者の間に立ち棍棒を構える。


「先輩!にげてください!」

「なにいってるんだ!オマエこそ足はうごくだろ! 早くにげろ!」


ヒュッ! ザクッ!


森の木々に隠れながら矢を放っているものが一人居る・・

後輩が足をやられた!


「後輩!」

「先輩!オレはもうダメです!今の内ににげて・・!」


「そうもいかん!オマエを置いて逃げればオマエの家族になんて言えばいい!」

「こうなっては仕方ない・・やるぞ!」


オレは、剣を持った二匹に飛びかかる。

一匹の雄がニヤつきながら剣で応戦してきた。


いっちゃぁ悪いがオレの棍棒はそんじょそこらの木で出来ているわけじゃない。

何時だったか、森の奥地から戻ったオレの親父が持ってきた非常に硬い枝から削り出したものだ。

剣で受け止めようとしても無駄だぞ!


体重を乗せた棍棒は雄の剣を見事折ることに成功した。

驚愕の表情をした雄の隙を突きオレは頭をかち割ることに成功した。


が、ここでオレにも隙が出来てしまった。

もう一匹がオレの腹めがけて剣を横薙ぎにしてくる。

オレはなんとか棍棒を盾にして、しのいでは見たものの腹にかなり深い傷を受けてしまった・・


・・・このままじゃやられちまう・・・

後ろに目を向けると後輩の頭に矢が生えていた・・・やられちまったか・・・


まずい・・・このままだと目の前のやつを下しても後方の弓にやられちまう・・


・・・どうする?・・


腹を抑え棍棒を剣を持った雄に向け、後方の弓に注意する。

なんとか切り抜けれないだろうか・・


そうこうすると、目の前の雄がなにやら喚き始めた。

人間の言葉は良くわからない・・平坦で擬音も少なく聞き取りづらい・・・

だが、恐らく仲間を殺された事に腹をたてているのだろう・・


気持ちは分かるがオレも後輩をやられちまったしな・・

それに仕掛けてきたのはソッチだ。


一通り喚いた雄は剣を振りかざし襲ってきた・・・ありゃオレの頭ねらいか・・なら!


オレは、棍棒を斜めに構え雄の剣を受け流す。

剣が棍棒を滑りオレの後方へと流れる、同時に雄の体制が崩れたのを見計らい棍棒を頭に叩きつけた!


脳症を撒き散らし雄が倒れ込む・・・・残り一匹・・

そう思っておれが振り向く・・・ことは出来なかった。


背中に鈍い痛みが・・・

いつの間にか矢が・・・これは!肺にたっしているな・・息ができん!

力が入らずオレはそのまま倒れ込んだ。


肺が血の海とかしているようで、ほとんど息ができなくなると意識が闇に落ちていった。


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