戦いの前
魔法か。
よーろっぱでは魔法が使われると聞いた事あるな。真偽は分からぬが。
しかし、話によればここはよーろっぱでは無い。だけど魔法を使える。
なるほど。面白いものだ。
「ロレイス。地下図書館まで案内してくれないか。ちょっと本を読みたいと思う。」
「僕はゆっくりしています。」
あいつ行かないのか。
ま、関係無いと言えば関係無いが。
「分かった。アループ・ベルンシア・アルクセシィア!」
魔法と同時に机から地下へとつなぐ扉が出現した。やはり魔法は本物の物だったのか。
お邪魔させてもらう事にした。
足音は反響する。
風が心地よい。
その中にある大量の本。
どうやってこの本を集めたのか。
「ずっと昔に貿易をしててね。その時の村長が本好きで集めたわけ。」
魔法で手に火を持ったロレイスが言う。
貿易か。旅はまだ続きそうだ。
「そういえば、ツバサ。調べたいものでもあったのかい。」
言われてみれば行っていなかった。
なんで見学させてもらったのだろうか。
「いや、俺も魔法を使えるのかもしれないと思いましてね。せっかくなら両方使えたほうが便利でしょ。」
「そうか。まあ、使えなくは無いよ。少なくともこの辺の魔物は武器を使わなくても倒せるけどね。」
魔物?聞かぬ言葉だ。
「魔物とはなんだ。」
「簡単に言えば敵だ。夜になるとどこかから現れる。もう20年近く戦ってきているよ。そうだ。あんたの刀の切れ味、見せてくんねぇか。魔物退治のついでに。」
ほう。なかなかいいこと言うじゃん。
「そうか。承太郎も誘っておく。」
「ジョウタロウとツバサ。どっちが強いのかね。楽しみだよ。」
笑いながら言う。期待してるのか馬鹿にされてんだか。全く。
「さっ、魔導書ならこの角を右。」
ズラズラと並ぶ魔道書。
俺にぴったりのモノは…これか。
えーっと、魔道の基本ね。
本をめくってみる。
魔道とは魔法のことである。
魔法とは生物が使う力以外の攻撃であり生活に役立つモノである。
最初に使い始めたのは3000年前のエレクシア山の麓に住むビクシリア一族とされている。
当初の機能としては火をつけて明るくしたり家を作る時に木材を多く運ぶ時に使用したりした。
難しいな。
「ロレイス、これ必要?」
「魔法を使うため?いらないよ。こっちが腕に叩き込ませてやるよ。」
向こうから大笑いしながら言ってくれる。
「これで終わりか?帰るぞ。」
無言で頷く。
また足音が反響する。
左右をちらっと見たら真の眼という本があった。真の眼。何が真の眼なのか。
「桐生さん。帰ってきましたか。」
机の上で刀を研いでいた。
「そうだ。今日から戦いに挑むから。」
「え、なにを…」
ロレイスが一歩前に出る。
そうか。
「私が説明するよ。」
「この周辺には魔物…敵が夜になると出てくる。正体は不明だ。生まれた時からずっと戦うことがこの街の掟。もちろん、あんたたちも例外じゃない。真夜中は街中が戦火に包まれる。それは当然の如くして恐怖とも言えるかもね。まあ、あんたとツバサ。どっちが強いのかね。楽しみにしているよ。」
首をぽかんと開けてる。
まあ、いきなりそんな話を言われても分からねえよな。
「あ、そうだ。こっちは腹減ってないんでその夜まで寝かせてくれ。」
「キリュウくん。了解。ジョウタロウはどうする?ベッドならあるけど?」
「では、私も寝させていただきます。観光なら戦いと共にやらさて頂きますので。」
「自信満々だね。じゃあ、夜までお休み。寝室なら上にあるよ。」
上に登ってみると寝るところが2つある。
なるほど、布団はべっどか。
「ジョウタロウ。また、後で。」
「キリュウさんもいいこと言いますね。」
夢の底で誰かが呼んでいる。
分からない。
それでもそちらに向かう…
「キリュウさん!きましたよ!」
「なんだと!おばさんは!」
「ついさっき出陣しました!」
まだ間に合うか。
「行くか!」
刀を腰に持つ。
二人の武士が熱い戦場へと駆けた。




