爆炎
...
.....
..ぐうっ。
気付いたら視界は輝く赤に染まっていた。
音...燃える音。
感覚...動く...だと。
だけど喋ることはできない。
どうなっているかは分からない。
でも、一つだけわかることはある。
俺は生きている。
だから、動く。
音源に向かう彼。
元いた場所にはまた、炎が。
瞬時に察し、判断した。
そう、あの時..
桐生は炎に迫っていた。
俺だけでも生き残らなければ。
そう思ったのだろうか。
奴の背を押した。
すごく嫌な気分である。
自分の選択を悔やむ。
罪悪感が生まれる。
でもそれは断ち切る。
まだ救える。
奴が中心となって発し続けている炎の中に桐生はいる。違いない。違うはずがない。
そう思って走る。
ロベルトは風を切って行った。
近いはずなのに遠く感じる、奴...そして、桐生...翼。待ってろ。
彼の心に二つの芽が出た。
そんな気がした。
兵士が残り百、となった戦場で。
突如、夜を照らした。
そこには炎が上がっていた。
「あれは、ボルケーノボンバー。まさか、あいつやりあがったのね。でもあれでは約束より多いのでは...?」
過去を思い出す。
ザァッと波の音がした。
「さて、アレット島に着いたのね。」
息切れたような声に達成感があるような気がする。でも勝負はここで終わりではない。
ロベルト、スフィアに見つかったらこの作戦は失敗に終わる。
ここには私以外味方はいない。
アルスト大佐は今、軍部にいる...
自分から兵士も捨ててきた。
「夜中まで待ちますか。」
遠く聞こえる、人の声が。
その場所とは逆方向、森に向かっていった。
見つかってはいけない。
気がつけば夜になっていた。
星は輝き、月は辺りを照らす。
「そろそろ亡霊の時間ね.,.」
剣を構える。
その時だった。
おや...
遠方からお客か...
木陰から現れたのは大蛇。
私の兄を殺した大蛇。
私の父を...
「貴様ぁぁ!」と声を上げたいが声をあげれば周りに気づかれる。
そんなことをすれば元も子もない。
それに私はこいつと交渉をしに来ている。
「ねえ、私はあなたと戦うつもりはないの。その代わりに交渉をしない。」
剣をしまいながらぼやく。
「なんだ。」
珍しく強い声だった。
「私たちに幻覚の魔法..,パクチュアリーを使ってくれないかしら。」
「詳しく言え。」
命令調?
「だいたい一週間。この島の住民全員に使って。私の位置はポジショナリーで特定できるでしょ。」
「ポジショナリーは使えるが魔力が持たん。拒否するぞ。」
「待って。魔力の石...三百ほど持ってきたわ。それも、バルサク炭鉱。あと、成功したら、兵士を三千奪っていいわよ。」
「どれぐらいの内の三千だ。」
「一万五千の内の三千。」
「よし、手を打とう。また。」
そう言って影に消えていった。
私も浜辺から泳いでいった。
地図を残して。
三千、か。
残りは百ぐらいかしら。
ボルケーノボンバーの前に二千五百。
これで五百。
残り...百。
一度集合させようか...
いや、気づかれてしまう...
策を考えていった。
夜を照らす火柱がたった。
「おい、ロレイス!あれはなんだ!?」
エシュクが叫ぶ。
「兄ちゃんどうした...ってロレイス!」
アファイスも。
顔を上げれば火柱。
魔力の石を食べて正解だった。
もしも食べてなかったら承太郎が目を開けてなかったかもしれない。それにこれも...
強烈な不味さと引き換えに魔力を全回復できる。一長一短の石。
「承太郎。体はどうだ。」
「ああ、だいぶ良くなった。それより兵士はどうなったんだ?」
「もうほとんどいない。」
あの熱気、あの金切り声、あの剣を打ちあう音...全てが消えた。消えていった。
それは良いのだろうか。
いや、亡霊退治に使えたのかもしれない。
そう考えれば。
でも、すでに亡霊は片付いた。
残りは敵兵。
魔力の石を握りつぶした。




