■不明瞭な男の動機2
母屋とは違う場所にあるガレージ。マイカーではなく、農機具が収められている。
近づくとすぐに僕を見つけた。
「久しぶりだね。大学生活はどう?」
ガレージの片隅に作られたスペースで絵を描いていた。キャンバスを挟んで対面する。
「良くもなく、悪くもなくって感じだな」
「あっ、カメラ……」
首から下げたカメラに目を留めた。絵を書くために必要な資料を撮るために彼女もカメラを持っている。
「まぁ……なんだ……その…成り行きでな」
「教えてあげてもいいよ?教えてあげよっか?」と、いたずらな顔をしながら訊いてくる。
「いや…いいよ。それより、そっちはどうなんだ?」
迷わず否定し、話題を変える。
「この間、県が主催する美展に出品したら、選考委員賞に選ばれちゃって……美術館の結構いいところに飾られたんだ」
自慢話のはずだが、感情がこもっていない。まるで、淡々と近況報告しているようだ。
自慢話と取り、話を続ける。
「へぇ、じゃあ順調だな?」
「そんなことはないよ……」
謙遜ではなく、本音のようなトーンでそう言い、すぐに話を逸らした。
その応対が少し引っかかった。
「そんなことより、カメラは…どう?…面白い?」
「さぁ、どうかな……」
その返答に目立った反応はせず、筆をとったり、画材を片付けるような素振りをしながら、もじもじしている。
風の音と虫の鳴き声しか聞こえない。むしろ心地よく思えるような沈黙の時間が数分続いた後、彼女が口を開いた。
「その……久々に素材集めにいきたい……かな……?」とカメラ片手に言う。久々な割には準備がいい。
「…つ、付き合ってやってもいいぞ」
断る理由など、探しても見当たらない。乗り気ではないが、引き受けることにした。
それを聞いて、彼女は少し嬉しそうにした。




