◆ひとりぼっちな写真部の日常13
結局、部員が増えないまま一週間が経った。
石田さん、木次川くん、新谷さんの四人で今後の活動について話し合った。
具体的にやりたいことがあるわけではない。先生が持ってきてくれた話を参考にした。
とりあえず、カメラ初心者もいるため、技術的なことから始めることにした。
同時進行で学生写真コンテストへ応募もすることにした。全国の学生が個人または部単位で入賞を狙う写真甲子園だ。
もし入賞すれば、副賞であろうと全校集会で表彰される。PRにはもってこいだ。
窓側の端に陣取る木次川くんは話の最中、ずっと外の方を見ていた。
「あんた、やる気あるの?」
そんな彼に新谷さんが喧嘩腰で声を掛けた。
「あるよ…」
だるそうに答える。
未だに小競り合いが絶えない、木次川くんと新谷さん。ただ、徐々に新谷さんが歩み寄っているように思う。
「じゃあ、これから私たちは何するの?」
今後の予定を木次川くんに確認した。
「甲子園だろ…」
また、だるそうに答える。
それを聞いた新谷さんはくすりと笑って言った。
「なにそれ、野球部みたい」
「うるせぇな。当たってるだろ!」
恥ずかしそうな顔をして反論した。
「ふふ、そうね」
いつの間にか、木次川くんに対する表情も柔らかくなっている。
「笑うなよ…」
木次川くんはこういうやり取りに慣れてないのか、困った顔をした。
素直にはふるまえない木次川くんだが、怒った顔より照れた顔のほうが多くなっている。
新谷さんも喧嘩腰ではなく、からかうようになった。
その後も新谷さんにからかわれていたが、それから数週間が経ったある日、校外の河川敷で撮影会をした時のこと。
それまでは二人きりで会話を交わさなかった、木次川くんと石田さんが二人で話していた。しかも、自分から話しかけたのだ。
石田さんはカメラのことで困っていたようで、二人がぎこちないながらも試行錯誤をする様は微笑ましかった。
「…これ…じゃないのか?」
「いや……たぶん…違う…と思います…」
「あんたら何やってんのよ!貸してみなさい……こうじゃないの!」
「いや、違う…」
「うん…違う…」
「えっ……わ、分からないから訊いてくるわ!」
「ハルミちゃん、ちょっと来てー」
段々と馴染み始めている姿にほっとした。
しかし同時に、部長として皆をまとめられていない自分に焦りを覚えた。写真しか取り柄のない私は、まるで専任講師のようだ。
次第に出来上がっていく写真部の輪に入りきれていない。
『部長としてしっかりせねば』と思う気持ちと『部長である前にひとりの部員にならねば』と思う気持ちがシーソーのように揺れ動いていた。




